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選手権決勝後にみんなで撮った一枚も次への一歩に。東山CB新谷陸斗はあの敗戦も、高校選抜の活動も、目標達成に繋げる

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日本高校選抜選考合宿初日、CB新谷陸斗(東山高3年)が巧みにインターセプト

 20日、4日間の日本高校選抜選考合宿がスタートした。CB新谷陸斗(東山高3年)は昨年、U-17日本高校選抜で主将を務め、JヴィレッジカップでのU-17日本代表撃破、優勝を経験。この日、日本高校選抜候補として選考合宿初日を終え、「素晴らしい環境でできているなということと、レベルの高いチームなのでここにいられることに感謝という気持ちがまずはあります」と語った。
 
 この日はDFラインからのコーチングに加え、積極的に高い位置を取って味方のビルドアップをサポート。「味方のストロングを出すことが自分の評価も上げることにも繋がると思うので、今日はそれが出せたと思います」と振り返る。

 また、守備面でも圧倒的な推進力を誇るFW塩貝健人(國學院久我山高3年)から巧みにボールを奪い返すシーンも。「(塩貝に)持たれたらヤバいですね」と評した新谷だが、自分の強みが高校トップレベルのプレーヤーたち相手でも通用することを示していた。

「身体を当てずに勝つことが自分の特長というか、(海外では)身体当たってしまったら絶対に負けるので。それを使わずに勝てるように、それを海外で試したいので(高校選抜の海外遠征で)ドイツに確実に行きたいです」。他の屈強なCBたちに比べると、小柄な174cm。だが、その守備センスやビルドアップ能力、そして「チームをまとめる声だったりそういうところが僕は大事だと思っているので、それを全面に出して行って高校選抜の核になりたいと思っています」という武器を発揮して、チームを勝たせる意気込みだ。

 4日間の選考合宿の残り3日はトレーニングに加え、大学生との2試合とU-17日本高校選抜戦も組まれるハードスケジュール。その中で「自分のストロングである声というのは、別にプレーが悪くても常に良さとして出せる部分でもあるので、安定したプレーを出していければと思います」と特長である声を常に出し続けることを誓っていた。

 選手権は開会式での選手宣誓から始まり、決勝まで誰よりも充実した時間を過ごした。だが、結果は準優勝。「準優勝してめちゃ悔しいですし、それは今でも残っている」と話す一方、「ポジティブに言うと負けて次、大学に進みますし、この負けというのが大学に繋がると思う。悔しいですけれども、次に繋がる負けだったなとポジティブに考えるとあるので」と前向きだ。

 それは、東山の各選手の思いでもある。決勝の4日後、東山のSNSに数枚の写真が掲載されていた。そこには、首に“銀メダル”をかけた選手、福重良一監督らスタッフが笑顔でピースしている一枚も。新谷にとってもその集合写真が次への第一歩になっているようだ。

「(写真は)ホテル前で撮ったんですけれども、負けた後のロッカールームでは泣いている選手が全員というかいたんですけれども、冷静に考えた時に『準優勝というのは凄い』ということを改めて感じた時に、胸を張って帰れる結果だと。バスに乗る時からみんなは切り替えてじゃないですけれども、1、2年生は次へ向けて目がギラギラしていましたし、3年生は次のステージでと。引退する選手もいるんですけれども、『この経験を活かすぞ』というのがあったので、それが写真に出ていたのは本当に良かったと思います」

 新谷はセレッソ大阪U-15時代に全国準優勝。その悔しさを成長の糧とし、高校サッカーで輝いた。「優勝して満足してしまって落ちるのならば、準優勝で良かったなと思います」と語るDFは、今回の全国準優勝もまた成長に繋げるだけ。そして、大学サッカーで努力を続けて目標のステージに近づく。

「高校と比べて大学って練習以外のところで自分とどれだけ向き合えるかが大事だと思うので、そこの意識を誰よりも持って、絶対にプロになって、ワールドカップで優勝したい」。まずは目の前の日本高校選抜の活動に集中。限られた選手しか経験できない日々を必ず自分の力にする。

(取材・文 吉田太郎)
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