beacon

予選敗退も日本高校選抜候補選出。注目レフティーMF廣井蘭人は選手権出場組よりも「これに懸けている思いは強い」

このエントリーをはてなブックマークに追加

日本高校選抜選考合宿初日、MF廣井蘭人(帝京長岡高3年)がスルーパスで決定機を演出

 注目レフティーが、特別な思いを持って競争に挑んでいる。20日にスタートした日本高校選抜選考合宿(静岡)は、第101回全国高校選手権の優秀選手中心のメンバー構成。そのリストに、予選敗退校から6選手が加わっている。

 その一人が、MF廣井蘭人(帝京長岡高3年)だ。期待された3度目の選手権は、新潟県予選準決勝で敗退。その時点で日本高校選抜の可能性はなくなったと考えていた。だが、1年時に日本高校選抜、昨年もU-17日本高校選抜に選出されている廣井は、候補メンバー入り。「まさか入るなんて思ってもなかったので、(帝京長岡の)監督から話をもらった時に凄く嬉しくて、楽しみにしていたのがあります」。その思いを初日から表現していた。

 昨年のU-17日本高校選抜でともにプレーしたMF徳永涼(前橋育英高3年)やMF真田蓮司(東山高3年)と呼吸の合った動き。彼らとの距離感、そしてゴールへ矢印を向けることを常に意識してプレーした。

 的確なパスで攻撃を組み立て、スルーパスで決定機を演出し、左足で惜しいシュートも放った。時に相手の厳しいチェックを強引に打開し、2本目には中央からサイドへ展開するパスでゴールの起点に。「サッカーがめちゃくちゃ楽しかった。味方が能力高いので、自分がやりたいようにやれたので、今日すごく良かったと思います」と笑顔を見せた。

 この冬は雪の新潟で可能な限り後輩たちの練習に参加。「選手権戦ったメンバーよりかは動けていないかなと思いますけれども」と苦笑したが、すぐにスピード感に慣れて連係を取り、周囲を活かす動きを見せていたのはさすがだ。

 高校3年間で学んだことがある。「『チームがあって個人がある』と凄く学ばせてもらう3年間で、1年の頃は周りに(川上)航立君(現立正大)だったりいて、自分が輝けていただけだったんだな、と2年目、3年目で痛いほど感じました」。だからこそ、この選考合宿でも「最後は自分のためにやりたいんですけれども、まずはチームのために走って、戦って、その上に個人があると学んだんで、まずはこのチームに精一杯貢献したい」とチームのためにプレーすることを誓う。

 U-17日本代表歴を持つなど実績では他の選手たちを上回るが、本人は「本当にチャレンジャーの気持ちで。もちろん、落ちる気は全く無いので、良いアピールできるようにしていきたいです」。自分が出ていない選手権は「正直見れなかった」という悔しさもエネルギーにしている。

「これに懸けている思いは選手権に出たヤツらよりも強いと思うので、絶対に選ばれたいです」

 プロを含めて多くの誘いの中から筑波大進学を決断。「色々なものを経験するのが自分には合っているなと思ったのと、単純に自分にプロはまだ早いなと思って、その2つが(大学進学の)決め手になりました。サッカーが上手いだけじゃ一流になれないと自分では思っているので、勉強や人間性も4年間で積み上げて、そこからプロの世界に飛び込みたい」。1年時の高校選抜の活動は国内限定だった。今回の高校選抜の活動は海外遠征まであるだけに、必ずメンバーに入り、より多くのことを経験して将来に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022

TOP