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1年前は何もできず選考合宿落選。選手権決勝2発、勝負を決める活躍続くMF木村匡吾は「生き残っていく選手に」

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日本高校選抜候補MF木村匡吾(岡山学芸館高3年)はハードワークに加え、“勝負を決める”プレーも

[1.22 練習試合 日本高校選抜候補 1-0 日本体育大 時之栖G]

 選手権のヒーローとなったボランチが、1年前とは異なる姿を見せている。日本高校選抜候補MF木村匡吾(岡山学芸館高3年)は、前日の流通経済大戦で値千金の同点弾。この日の日本体育大戦では1タッチのスルーパスで決勝点に繋がるPKを誘発した。

 まずは自分のやるべきことに集中している。「それが自分の取り柄なので。上手さがないから(走って局面で)人数増やすところで係わっていくことを意識しました」と人一倍足を動かしてハードワーク。ボランチの位置からハイサイドまで飛び出して決定的なクロスを供給するなど、攻守でボールに絡む回数を増やしていた。

 身長165cmの小柄なボランチは、鋭いアプローチで寄せながらも大学生からボールを奪い切れないようなシーンもある。「大学生も球際強くてまだ良さを出せていないかなと。自分の良さがもうちょい出れば上手く戦えるんじゃないかと思う」と満足はしていない。

 それでも、選手権決勝で2ゴールを決めて岡山学芸館を初の日本一へ導いたMFは、日本高校選抜候補でも“勝負を決めるような”活躍を継続。本人はまだ「たまたま」と感じている形を「意図的に作れるようにしていきたい」と掲げた。

 木村は21年秋にU-17日本高校選抜メンバー入り。ボランチやSHで好プレーも見せていた。だが、続く22年1月のU-17日本高校選抜選考合宿で落選。「(他の選手に)圧倒されていたというか。攻撃で何もできなかったし、守備も自分は上手く出せていなかったので本当に何もできていなかったと感じました」と振り返る。

 その悔しさを成長へのエネルギーにしてきたという。自分の特長を理解し、まずは守備から入る心構えを持って試合へ。選手権優勝で自信を掴んだMFは、今回の日本高校選抜選考合宿でもまずは守備から試合に入り、その上で攻撃の厚みを加え、決定的な仕事をしてのけている。

 MF徳永涼(前橋育英高3年)やMF真田蓮司(東山高3年)、MF廣井蘭人(帝京長岡高3年)は昨年同様にライバル。ボランチは最激戦区と言えるポジションだ。木村は「まだまだ他のボランチが上手くて。自信なくすというか……」と苦笑するが、今年はしっかり守備から入り、気持ちを楽にプレーすることができているようだ。

 そして、「食らいついていきたい」という野心も。1年前から変わったMFは海外遠征へのメンバー入りを本気で目指している。「生き残っていく選手になっていかないといけないと実感しています。こういうところで堂々とできるのが良い選手だと思っている。あと1日しかない。残れるように精一杯やっていきたい」。選手権のヒーローは最終日も全力でアピールし、「生き残っていく選手になる」

(取材・文 吉田太郎)
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