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「サイドの槍」は強い相手も大歓迎。尚志のドリブル大好きMF安齋悠人がとにかく楽しんだ“先輩”とのマッチアップ

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抜群の推進力を搭載するU-17日本高校選抜候補MF安斎悠人(尚志高2年)

[1.23 練習試合 日本高校選抜候補 5-1 U-17日本高校選抜候補 時之栖G]

「みんな速すぎますね。ヤバかったです。1人1人が速すぎて、付いて行くのがやっとという感じで、プレスのスピードも全然違って、初めてこんな強い相手とやれたので、良い経験になったと思います」。こう話しながら、思わず浮かんでくる笑顔を隠せない。要はメチャメチャ楽しかったのだ。

 U-17日本高校選抜候補の中でも、確かな存在感を発揮した『サイドの槍』。MF安齋悠人(尚志高2年)は1つ年上の“先輩”たちとの真剣勝負の中で、改めてサッカーの面白さを実感していた。

 大学生相手にも、そのプレーは十二分に通用していた。合宿3日目に組まれた日本体育大との練習試合。1本目に左SHで登場した安斎は、チャンスメイクで違いを見せ付ける。4分。左サイドをドリブルで運ぶと、状況を冷静に見極めながら、最後の最後で判断を変える。

「最初はボールをもらった時点でゴールを見ていたんです。昨日も全然結果を残せていなかったので、『自分でやってやろうかな』と思ったんですけど、(西丸)道人が動きを止めてマイナスで待っていたので、そこに出したら道人が決めてくれて嬉しかったですね。道人は今日合流したので、試合前からコミュニケーションを取っていて、それが上手く行って良かったです」。

 FW西丸道人(神村学園高2年)へのアシストで、チームの先制点を演出してみせると、以降も基本的にはボールを持ったら、とにかく勝負。「ドリブル突破はここでも自分の自信になっていますし、そこは絶対に負けられない部分なので」と言い切るように、小気味よいドリブルでチャンスを作り出していく。

 課題だと捉えていた守備面でも奮闘。「左サイドバックで組んだ田辺(幸久)も今日が初めての合流でしたけど、結構自分を後ろから動かしてくれたので(笑)、いつもチームでやっているより首を振って、自分のマークを常に見るようにしながら、『自分のところからは絶対にやられないようにしよう』と思っていました」。一定以上の手応えを掴んで、この日の30分間を終えていた。

 最終日にセッティングされた試合の相手は日本高校選抜候補。ズラリと並んだ実力者たちとの決戦にも、安斎は1本目の左SHとしてピッチに解き放たれたが、“先輩”たちは想像以上に凄かった。

「自分はドリブルを武器にしてきたんですけど、1枚かわすのがやっとくらいで、2枚目なんて全然見る余裕がなくて、CBにぶつかったりしていたので、ドリブルのタッチももっと磨いていかないとダメですね」。果敢にドリブル勝負を挑むものの、好機を作り出すまでには至らない。

 組み合わせの偶然で、マッチアップで対峙した日本高校選抜候補の右SBは鈴木大翔(尚志高3年)。「いつも紅白戦をやる時も、大翔くんとはマッチアップしていて、あの人はずっと速いので、結構ドリブルを止められることもあったんですけど、今日も全然負けました。1回も抜けなかったですし、逆に攻撃ではクロスも上げられてしまっていますし、『ああ、差を付けられたな』と思いました。凄かったですね」。改めて“直属の先輩”の実力も再認識させられる。

U-17日本高校選抜候補MF安齋悠人(左)は尚志高の先輩・鈴木大翔と再三に渡ってマッチアップ


 23分にはビッグチャンス。左サイドからカットインした安斎はフィニッシュまで持ち込むも、日本高校選抜候補のCB三橋春希(青森山田高3年)に寄せられながら放ったシュートは、枠の右へ逸れていく。「あんなカットインに付いてくるCBは初めてだったので、シュートを打つのが精一杯で、『こういうプレー強度の中でやれないと上で通用しないんだな』と思ってビックリしましたね」。局面の攻防でも、相手のレベルの高さを痛感する。でも、楽しかった。強い相手との対戦は、とにかく楽しかったのだ。

 高校最後の1年となる今シーズンは、プレミアリーグが主戦場となる。「今回の選抜にも5人ぐらい尚志のメンバーが入っていますし、プレミアで戦うことになる人がいっぱいいたので、チームに帰っても自分たちが引っ張っていきたいです。普段の練習から良い刺激を与えていければ、3年生たちが上げてくれたプレミアでもファイナルに行けると思っているので、しっかりそこまで行って優勝したいです」。もちろん目標は高い方が良いに決まっている。

 個人として掲げるスタイルには、いささかのブレもない。「自分としては高卒プロを目指していて、そのためには相手が2,3人来ても剥がせるような選手になっていかないとダメだと考えているので、日常の練習からドリブルを磨いていくしかないなと思っています」。

 プレミアの舞台を席巻してくれそうな、福島産のサッカー小僧。新シーズンも抜群の推進力を搭載した安斎のドリブルから、目が離せない。

(取材・文 土屋雅史)
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