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高校選抜で改めて知ったサッカー選手としての覚悟。國學院久我山の1年生MF近藤侑璃に広がる無限の可能性

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U-17日本高校選抜候補MF近藤侑璃(國學院久我山高1年)はさらなるレベルアップを誓う

[1.23 練習試合 日本高校選抜候補 5-1 U-17日本高校選抜候補 時之栖G]

 今までだって持ち合わせていなかったわけではない。だが、今回の4日間を通じて、もっと自分にもそれが求められることを痛感した。言葉にすれば、サッカー選手としての覚悟のようなものだろうか。

「サッカーに対しての意識がみんなに比べたら低かったなと思ったので、そこはイチからもう1回見直したいというところが一番大きかったです。みんな目標が高くて、具体的で、高校生の間にどうなりたいとか、明確な目標を持っていたので、目標設定もまたイチから改めてしたいなって。みんながお手本になってくれたので、今度はチームに帰っても自分がお手本になれるように頑張りたいです」。

 クールな野心家に宿った確かな渇望感。U-17日本高校選抜候補MF近藤侑璃(國學院久我山高1年)は数々の経験を得たこの1年間を経て、自分の為すべきことが、少しずつ、確実に、見え始めている。

 入学直後から都内きっての技巧派集団・國學院久我山の中で、チームの要に当たる中盤アンカーの定位置を確保。シーズンを通じてレギュラーとして躍動し続けると、迎えた選手権でも全国の舞台で物怖じすることなく、上級生相手に好パフォーマンスを披露。3回戦で結果的に優勝した岡山学芸館高に敗れたが、そのプレーぶりを考えれば、今回のU-17日本高校選抜候補入りも決して驚きではない。

 合宿初日で“迷い”はなくなったという。「最初は敬語を使うか迷っていたんですけど、尚志の人が何人かいて、敬語を使ったら『なんでオマエ、敬語なの?』って言われて、そこからはみんなにタメ口で話しました(笑)。みんなフレンドリーで、そういうところはやりやすかったです」。スムーズにグループにも溶け込むことができた。

 ただ、所属チームで発揮しているようなプレーは、なかなか出し切れない。「自分の得意なプレーはパスなんですけど、そのパスをフィジカルで抑えられて出せない時があったので、そういうところでフィジカルやスピードのような強さは、もっと付けていかないといけないなと思いました」。

 近藤には今回の選抜活動で、とりわけ印象に残った選手がいた。「U-18とU-17の合同のミーティングがあって、その時にU-17の選手はあまり挙手とかできなかったんですけど、青森山田の芝田(玲)くんはは挙手して自分から意見を言う場面もあったので、『明確な目標をいつも自分の中で持っているんだな』と思いましたし、そこで発言するメンタルも必要じゃないですか。そういう部分も参考になりました」。今シーズンの青森山田高でも副キャプテンを務めるMF芝田玲(2年)の積極性が、ポジティブな刺激をもたらしてくれる。

 最終日に組まれた日本高校選抜候補との練習試合。2本目のボランチで起用された近藤は、自分とプレースタイルが合いそうなFW小田晄平(昌平高2年)をはじめとしたチームメイトと、事前にしっかりコミュニケーションを取っていた。

「小田くんはディフェンダーを剥がすのが上手くて、自分も人に合わせるのは得意なので、そういう良い抜け出しをしてくれた時に、そこにしっかり合わせることはできました。どういうプレーが得意なのかを自分から聞きに行って、小田くんもそうですし、その周りの選手もどういう意識でプレーしているかも話したりしたことで、試合の前からイメージして臨むことができたので、その人に合わせてパスを変えたりはできたと思います」。積極的に仲間と連携を取ったことで、明らかに自身のプレーも改善された経験は、今後に向けても小さくない収穫だ。

 それでも活動全体を振り返れば、まだまだ満足できるような内容だったわけではない。自分の中で、よりハッキリとした課題を突き付けられた感覚もあった。「自分はあまり個人で勝負するプレーヤーではないと思うんですけど、今回は個を試されて、自分の思うようなプレーができなくて悔しかったので、この悔しい想いはチームに帰ってからもしっかりぶつけて、もっと上手くなって、今度はU-17だけではなくて、U-18の選抜の方にも選ばれるような選手になりたいです」。今まで以上に個人としてのレベルアップにも目を向け、必ずこの場所へ帰ってくると自身に誓っている。

 冷静に話す理知的なタイプだが、時折飛び出す強気な発言も頼もしい。2年生になって迎える新シーズンは、昇格したプリンスリーグ関東2部が主戦場。去年より1つ上がったカテゴリーでの戦いに、さらなる成長の日々が待っていると信じている。

「まだまだ自分には足りないところもいっぱいありますし、プリンスの関東2部で学べることは多いと思うので、1試合1試合を大事に、吸収できるものは全部吸収して、今年で関東1部に上げて、3年の時にはプレミアに上げたいなと思います」。

 改めて知ったサッカー選手としての覚悟の意味。國學院久我山が誇るエースナンバーの14番を、1年生から託されている異才。近藤が見据える視界の先には、無限の可能性が広がっている。

(取材・文 土屋雅史)
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