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[新人戦]「まだ強いんだぞと証明したい」。伝統校・浜名が清水桜が丘を破り、19年ぶりの静岡決勝進出!

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後半27分、浜名高FW加藤千寛が先制ゴール

[1.28 静岡県新人大会準決勝 浜名高 2-1 清水桜が丘高 愛鷹]

 伝統校が19年ぶりの決勝進出だ。令和4年度静岡県高校新人大会準決勝が28日に行われ、浜名高が2-1で清水桜が丘高に勝利。浜名は19年ぶりとなる決勝(29日)で静岡学園高と戦う。

 かつてインターハイを制した歴史を持つ浜名と、選手権優勝3回の清水商高の伝統を受け継ぐ清水桜が丘との公立勢対決。浜名は選手権予選に続く準決勝進出だが、新人戦では15年ぶりの舞台だった。

 それでも半数近く残っている選手権予選4強のメンバーを中心に勝利し、19年ぶりの新人戦決勝進出。内藤康貴監督は「運もある。日頃の行いが良いのでは」と報道陣を笑わせていたが、「(昨秋の経験が)自信になっていると思うし、それを見ている子たちなのでベースはちょっとあるのかなというのがある。(今回も勝ち上がることで)自信ついてやっているんだなと。ピッチでも感じるし、日常生活を見ても感じているので、勝つって大事なんだなと感じます」と頷いていた。

 試合は縦に速い展開に。その中で浜名は前半27分、体調不良から復帰してきた俊足10番FW加藤千寛主将(2年)を投入する。すると、ボールを収め、前に出る力もある加藤が攻撃のポイントに。31分にはMF西岡修斗(2年)、FW木村晴跳(2年)で崩して加藤が決定的なシュートを放つ。

「あのくらいから自分たちの距離でできた」と内藤監督が振り返ったように、浜名はこだわっている立ち位置と選手同士の距離感が向上。セカンドボールを回収する回数や、“心臓”役のMF藤田祥真(2年)、MF浅井遥太(2年)のダブルボランチが前を向いてボールを動かすシーンが増えた。

 一方の清水桜が丘は片瀬晴城監督が「経験がないから、慌ててしまっていた」と指摘したように、繋げるようなシーンでボールを渡してしまい、シンプルにやるべき場面で持ちすぎてボールを失ってしまうなど噛み合わない。2人を入れ替えた後半立ち上がりは、連動した動きが出てMF澤野航大(2年)や交代出場MF五十嵐洋斗(2年)が左サイドを攻略。ゴール前のシーンを作る。

 また、国体選抜のGK高田翔(1年)が中心となって堅守を継続。対人の強さや出足の速さを見せていた右SB岡谷龍斗主将(2年)やボール奪取力光るMF岸裟久馬(2年)、前線でボールを収めるFW柴田光(2年)らが流れを引き寄せていた。

 一方の浜名も後半に存在感を増した国体選抜MF川嶋琉之亮(1年)がコンビネーションからフィニッシュに持ち込む。後半27分には、その浜名がスコアを動かす。こぼれ球を拾う形で左中間を抜け出した加藤が、左足シュートをゴール右へ流し込んで1-0。球際で強さを見せるCB細見和志(2年)を中心に無失点を継続した浜名は39分、左SB白岩勇路(2年)のインターセプトから西岡がシュートへ持ち込む。最後はこぼれ球を拾った藤田が冷静に決めて突き放した。

 清水桜が丘は片瀬監督が「2点取られてから良くなった」と語ったように、やるべきことがはっきりして繋がりのある攻撃。40+3分には岸の右FKを交代出場CB木村海惺(2年)が頭で合わせて1点を返す。だが、反撃もここまで。浜名が決勝進出を決めた。

 浜名は06年のインターハイ予選以来となる県トーナメント制覇をかけ、決勝でプレミアリーグ勢の静岡学園と対戦する。内藤監督は「この大会は強い相手とたくさんしたいと思っていたのでそれが嬉しいです」と喜ぶ。そして、「まず決勝に出れたと。そこで良い試合をして勝つことができれば。浜名高校が再び輝ける一歩になるのかなと思っているので大事にしたいですし、決勝まで戦うことで色々なことが見えて成長できると思っている」。選手たちも伝統校のプライドを持ってあと1試合を戦う意気込みだ。

 藤田は「準決勝で15年ぶりと聞いてすごく驚きました。浜名は古豪とか言われていて弱いのは自覚しているんですけれども、しっかり決勝で勝って、浜名はまだ強いんだぞと証明したいです」。トータルフットボールを掲げる浜名が自分たちのスタイルで強敵に挑戦し、復活Vを果たす。

(取材・文 吉田太郎)

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