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京都初Vへあと一歩。京都共栄は選手、スタッフも自分にベクトルを向けて次は、勝つ

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全国2位の東山高を苦しめた京都共栄高は次こそ、タイトルを掴み取る

[2.5 京都府高校新人大会決勝 東山高 1-1(PK5-3)京都共栄高 たけびしスタジアム]

 京都共栄高はPK戦の末に敗れ、準優勝。紙一重の差で初優勝には手が届かなかった。選手たちは後半35+3分に追いつき、延長戦で全国高校選手権準優勝校・東山高を押し込むなど勝利への執念を示した90分間。内藤翔平監督は「僕の修正が今回ちょっと遅かった」「決断のレベルを僕自身上げていきたいと思っています」と自身に矢印を向けていた。

 前半から縦に速い攻防戦に。京都共栄は敵陣でより多くのセットプレーを獲得し、ゴール前のシーンを創出していた。前半24分にロングスローからのファーストシュートで先制点を許したが、内容は五分。守備の強さをウリとするチームは、前後半通じての被シュートがわずか2本だった。

 だが、内藤監督は「もっと押し込めると思っていた」と首を振る。「相手がいるスポーツなので、正しい位置に人数をかけることが大事だと思いますし、ウチは人数のところで反応速くというところが多分武器やと思う」というように、落としどころ、人数の掛け方まで狙いを持ってロングボールを蹴り込み、セカンドボールを回収。だが、想定していたよりも相手のダブルボランチの位置が低く、また修正に時間を要したために前線でボールを収める回数を増やすことができなかった。

 後半、中盤をダイヤモンド型に変えて攻撃の厚みを増し、相手にパンチを打ち続ける。そして、MF北淳史主将(2年)がロングスローを連発。主将はこぼれ球を自ら拾って仕掛けるなど相手にとって嫌な存在になっていた。

 だが、北は「相手にとって嫌な存在にもっとなりたかった。ボールを収めてサイドに散らしたり、相手の嫌なところにボールを蹴ったりというところは相手の方が上だったと思います」と首を振る。後半終了間際にPKを止められた10番MF福岡景佐(2年)が同35+3分に意地のアシスト。右SB高井悠希(2年)が左足で同点ゴールを叩き出したが、延長戦を含めて勝ち越すことができなかった。

 PK戦で4人目が失敗した京都共栄に対し、東山は5人全員が成功。北は「延長に入っても、延長で仕留めると話していた。自分たちの流れがあったのに仕留められなかったのでそこは力不足です。やっぱりPKの練習もそうですし、一つ一つの練習にどれだけこだわっていけるかというところで東山の方が上だったと思います」と素直に敗戦を認めていた。

 内藤監督も、北も、言い訳をすることなく、自分自身に目を向けていたことが印象的。内藤監督は「常に『自分にベクトル向けろ』という話しかしていないので。僕は監督として、彼らは選手として、お互いベストを尽くすというのが大事だと思っているので。それももちろん伝えたいなと思いますし、彼らは自分と向き合って反省しないといけない。ウチは人のせいや環境のせいには一切したくないと思っているので、そういうスタンスでいきたいと思っています」と語った。

 12年度以降、京都府の選手権代表校の座は東山と京都橘高が分け合っている。2度の選手権予選準優勝など近年台頭を続ける京都共栄は今回、準決勝で京都橘に3-0で快勝。2強撃破へあと一歩まで迫った。「僕ら毎回、橘さんや東山さんに挑ませさせてもらっているので、その意味でも『橘めっちゃ強い』とか『東山めっちゃ強い』ではなくて、『やらなアカンやろ』みたいな、今回超えて基準を上げたかった。今回2つ叩いて一気に基準を上げたかったというところで悔しいです」と内藤監督。それでも、トレーニングを含めた基準、雰囲気は2チームに近づいてきている。

 今年は昨年からの経験者を多く残す世代。中軸の北と福岡に加え、雰囲気のあるGK大崎颯真(2年)、前に強いCB鈴木達哉(2年)、CB鳩山一成(2年)、FW森谷祐大(2年)ら攻守に力のある選手がおり、登録外だったがFW池永リッキーけんぞう(1年)という大器も控えている。

 北は「これから共栄の縦に速くというところを磨いていって、なおかつ自分たちの(代の)良いところを見つけ出して磨いていくことを近畿大会、インターハイへ向けてやっていきたい。チームとして質の部分、基準を上げることにこだわって追い越していきたい。(東山に)必ずリベンジして勝ちたいと思います。近畿で1位取れるようにこの2週間頑張っていきたい」。近畿新人大会で勝ち上がれば、東山にリベンジするチャンスも。それぞれが自分にベクトルを向け、ライバル以上の日々を過ごして次は必ず、勝つ。

(取材・文 吉田太郎)

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