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FW渡邉陽路が東北新人で青森山田から唯一のゴール。聖光学院は貴重な経験を日常に還元し、「グランドスラム」へ

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聖光学院高は青森山田高戦でFW渡邉陽路(2年=AC Evolutivo出身)がゴール

 全国トップクラスとの戦いで学んだことを忘れない。聖光学院高(福島)は第22回東北高校新人サッカー選手権大会(1月)で2勝し、初の4強入り。準決勝では優勝校の青森山田高(青森)と戦った。

 前半、2点を先取された聖光学院だが、「同じ高校生というところを意識してやりました。ボールを受けてから1対1のところとか仕掛けられていた」というFW渡邉陽路(2年=AC Evolutivo出身)が前線で健闘。青森山田の強力DF陣相手にボールを収め、攻撃の起点になり続けていた。

 また、聖光学院は生命線である前線からの守備で対抗。MF植松駿太(2年)が豊富な運動量で相手との距離を詰め、クリアをブロックするシーンもあった。そして、CB鈴木悠真(2年)を中心としたDF陣も強敵に食い下がる。迎えた前半30分、中盤で前を向いた10番MF小川大翔(2年)がスルーパス。オフサイドギリギリで抜け出した渡邉が右足で3試合連続となるゴールを決めた。

「0-2になった時に自分が点を決めてチームを盛り上げないと、という気持ちになって」という渡邉と小川とのホットラインで奪った1点。今回の東北大会で青森山田から唯一ゴールを奪ったのが、聖光学院だった。

 無失点、被シュートゼロにこだわる青森山田相手に70分ゲームでシュート7本。だが、渡邉は「点を取れてチームも上がってきたんですけれども、そこでもう1点というところが取れなかったのは自分の課題だなと思いました」と首を振る。

 一方で、通用した部分も多かった。「日常の自分たちの強度があまり高くないんですけれども、今日やってみて(青森山田は)高いな、もう一歩先に動かないと、と思って。もう一歩先に動くことで収めたりできていた。これが通用するなという感覚になりました」。また、渡邉にとっては、強化してきた体幹の部分にも手応えを感じる一戦になったという。

 昨秋の選手権予選でプリンスリーグ東北優勝の尚志高と対戦。相手の強度の前に踏ん張ることができず、倒されていたという。そこから「自分、身長も高くないので12月、1月は体幹を意識してトレーニングしました」。この日は全国トップレベルの強度にも負けない動きでボールキープ。そして、「きょう山田相手にゴールを決めれたことは自分にとっても自信につながった」。自信をさらなる成長と結果に結びつける。

 青森山田にファインゴールを決められるなど試合は1-4で敗れたが、怯むことなく真っ向から勝負して得た経験は大きい。山田喜行監督は青森山田戦後、選手たちに対して「忘れるなよ。これからが大事」とメッセージ。そして、「経験が成長じゃないと良く言うけれど、この経験は彼らの教材になると思います。ハイプレスや戦うこと、これは我々のスタイルですけれども、これはどんどん上げていかないといけないと思います」と求めていた。

 チームの目標はすでに優勝した県新人戦に加え、インターハイ予選、選手権予選、そして県1部リーグ戦の4冠だ。渡邉は「プレミアとやれたことでプレースピードや寄せの速さを体感できたので、日常に還元して一段上げたい。今年の目標はグランドスラム(4冠)でインターハイ、選手権も優勝することを掲げています」。渡邉、FW吉田友樹(2年)の強力2トップやテクニカルな10番MF小川らを擁し、楽しみなチーム。青森山田との戦いで学んだことを忘れずに日々を過ごし、目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)

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