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1年前はバドミントン部に所属。和歌山北の187cmFW入江直愛はサッカーに戻り、可能性大の動き

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和歌山北高の187cmFW入江直愛は“伸びしろだらけ”のストライカー

[2.11 和歌山県新人大会準決勝 近大和歌山高 1-3 和歌山北高 やたがらすサッカー場]

 令和4年度和歌山県高校新人大会準決勝が11日に行われた。近大和歌山高と和歌山北高の一戦は3-1で和歌山北が勝利。12日の決勝で初芝橋本高と戦う。

 和歌山北は昨年、6大会ぶり11回目のインターハイ出場。その昨年のように、試合を決定づけられる、飛び抜けた選手は現時点ではいない。今年から新たに定位置を掴んだ選手も多く、主将のDF近藤暖人(2年)は「新チームが始まった当初は、パスも繋げないチームだった」と振り返る。いわば発展途上のチームだが、中村大吾監督が「選手たちには伸びしろしかないと言っている。これからの伸びしろや成長は凄く楽しみにしている」と期待を寄せる世代だ。

 近大和歌山戦で伸びしろの多さを感じさせたのは、11番を背負うFW入江直愛(2年)。187cmの大型ながらも、足元の技術は一定以上。手足の長さを活かしたボールキープもできる。新人戦が始まる2週間前に右太ももと左ひざを負傷し、「痛みもアドレナリンで何とかなっている」状態で挑んだため、決して本調子ではなく、得点には絡めなかったが、この先が楽しみな選手だった。

 彼が歩んできたキャリアは他とは少し違う。小学生の頃は和歌山県内の優秀な選手が選ばれる「JFAフットボールフューチャープログラムトレセン」に選ばれる実力者。中学時代も、ミラグロッソ海南SCで主将を務め、チームを関西大会まで導いた。だが、中学時代にした腰の疲労骨折が原因で半年間プレーできなくなったため、「サッカーから1回離れようと思った」と高校では兄が取り組んでいて、興味を持っていたバドミントン部に入学した。

 中学3年生の時点で180cmだった身長は高校に入ってからも伸び続け、187cmまで到達。身長は今も伸び続けている。未経験で始めたバドミントンもリーチを活かしたプレーと共に、「デカいから、相手がビビってくれた」のも功を奏し、確かな手応えを掴んだ。1個上の年代に交じって、参加した団体部門では近畿大会にも出場したという。だが、「一度離れたことで、よりサッカーが面白いと思えた。自分でドリブルをして、切り込んでシュートとか、チームを勝たせるのが楽しいなと思えた」入江は昨年の3月にサッカー部に入部した。

 小学5年から中学3年まで陸上とサッカーを両立。海南市のジュニア駅伝で代表に選ばれ、県内の大会で優勝するなど体力には自信がある。サッカーから離れていた期間も運動は続けていたが、「久しぶりにサッカーをしたら、全く動けなかった。自分がボール持っても、足が重たすぎた。違う体力を使っているんだと実感した」。それでも、バドミントン部に所属していた頃から、「サッカーに戻ってこい」と言い続けてくれた現チームメイトの支えや、負けず嫌いな性格もあり、頑張り続けた。

 そうした甲斐あり、登録メンバーからは外れたものの、昨年の選手権予選前からAチームに合流。プリンスリーグ関西2部の終盤戦では出場機会も掴み、「相手よりも身長が高く、威圧感もある。身長を活かしたプレーができた」と確かな手応えを掴んだ。今年はエースとしての自覚も芽生えつつあり、「今はフィジカルで負けないことと、自分で決め切ることを意識している。パスも大事だけど、FWなので自分がゴールに向かっていく方が大事」と口にする。

 まだ身長が伸びている最中であるため、筋肉が付きづらく、線の細さは否めない。高さはあるものの、競り合いの強さも課題と言えるが、伸びしろが埋まった時を想像するとワクワクする選手であることは間違いない。何より、一度サッカーから離れても頑張れば高校サッカーのステージで活躍出来るという事例になる可能性はある。“伸びしろだらけ”のストライカーのこれからに注目だ。

(取材・文 森田将義)

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