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「大津を倒した」慶誠が九州新人予選リーグ3連勝。目と技術磨き、身に付いてきた対応力と我慢強さ

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前半8分、慶誠高が先制点。得点者のFW下田快斗(左端)やCB成松凌汰朗主将らが喜ぶ

[2.19 九州高校新人大会予選リーグ 佐賀商高 0-2 慶誠高 うるま市具志川多種目球技場B(天然芝)]

 令和4年度KYFA第44回九州高校(U-17)サッカー大会(九州高校サッカー新人大会)は19日、予選リーグ最終節を行った。ともに2連勝で決勝トーナメント進出を決めている佐賀商高(佐賀2)対慶誠高(熊本2)戦は、慶誠が2-0で勝利。慶誠は第1ブロック首位通過を決めた。

「大津を倒した」熊本県代表校が、九州大会で快進撃を見せている。この日は1位突破をかけた戦いではあったものの、互いにサブ組の経験値向上を重視したメンバー構成。慶誠は3試合連続先発の大黒柱、CB成松凌汰朗主将(2年)やチャンスを得た選手たちが 役割を果たした。

 5-3-2システムの佐賀商を見て、SHが内側にポジションを取る形でビルドアップ。“重戦車部隊”のFW中島龍斗(2年)、FW下田快斗(1年)の推進力も活かして攻めると前半8分、混戦から下田が決めてリードを奪う。

 怪我明けのCB吉田悠士郎(2年)が競り合いで強さを見せ、出場を重ねながら状態を上げる長身レフティーMF田中陸大(2年)が中盤で攻守に係る。主導権を握って試合を進めた慶誠は、ゴール前のシーンを増加。大型FW古賀航太郎(2年)ら主軸も出場時間を区切って起用してきた佐賀商に押し返される時間帯もあったが、「ヘディングだったりチームで一番声出すのが強み」という成松中心に得点を許さない。そして、終了間際の後半28分、中島の折り返しをMF松本悠暉(1年)が右足でゴールへ沈め、3連勝を果たした。

 慶誠が大事にしているのは、まず自分たちのサッカーを表現すること。対戦相手に係わらず、自分が出せなければ結果は伴わない。対戦相手の分析を行わないスタンスは九州大会でも変わらず、選手たちはまず自分の技術力や判断力を出すことを目指してきた。

 大津高(熊本)で主将を務め、U-18日本代表歴も持つ古木裕監督は、「状況、流れをキチッと。そこの感性を大事にしています」という。「どこからでも起点を作れる、誰でも守備ができるとか、どこのポジションでもできるとか。そのためには技術と目が必要なので、まだまだですけれどもそこは口酸っぱく言いますね」。常に頭の中を整理し、どのような状況にも対応。磨いてきた力を今大会でも発揮できている。

 地元・那覇西高(沖縄1)との予選リーグ第2節は苦しい戦いに。だが、我慢強く戦い、2-1で勝ち切って見せた。「強い相手と試合をさせてもらうと上手くいかないので。リカバリーの仕方とか、我慢強さとか、出て少しずつしぶとくはなってきていますね」と指揮官。県新人戦の経験もチームの力になっている。

 慶誠は県新人戦準決勝で全国高校選手権3位の大津と対戦。終盤の2ゴールで熊本の絶対的な存在に勝ち切り、九州大会出場を決めた。自信をつける一勝となったが、続く決勝で熊本商高に敗戦。選手たちにとって、自分たちの力を出し切ることの大切さを確認する試合になったようだ。

 大津戦で得た自信と熊本商戦で得た学びが予選リーグ首位突破の要因。成松は、「今大会に関しては1試合目から自分たちのサッカーがしっかりとできている。大津を倒したからと言って自分たちも調子に乗るんじゃなくて、自分たちも前向きに、真剣に取り組むことが大事かなと思っている。周りにもしっかりと自分たちのサッカーを見せつけて勝っていければいい」と力を込めた。

 大津は過去開催された8大会の成績が優勝3度、準優勝2度、3位2度。大津不在でも、熊本勢が勝ち上がれることを示さなければならない。これはチームの大きなモチベーションとなっていたが、見事な8強入り。決勝トーナメントへ向けて成松は、「どこと当たるにしても、自分たちのサッカーをしっかりとやって、できれば決勝まで行って優勝したい」。白星を重ね、個人個人がさらにアピールする大会、そして慶誠の名を広める大会にする。

(取材・文 吉田太郎)

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