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「2連勝しよう」を全員で実現。鹿児島城西が宿敵・神村学園に快勝し、九州制覇

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鹿児島城西高が宿敵に2連勝。4年ぶりに九州新人大会を制した

[2.21 九州高校新人大会決勝 鹿児島城西高 3-0 神村学園高 金武町陸上競技場(天然芝)]

 21日、令和4年度KYFA第44回九州高校(U-17)サッカー大会(九州高校サッカー新人大会)決勝が沖縄県の金武町陸上競技場で開催され、鹿児島城西高(鹿児島1)が4年ぶり3回目の優勝を飾った。鹿児島城西は決勝で全国高校選手権3位の神村学園高(鹿児島2)に3-0で快勝。史上4度目の鹿児島県勢対決を制し、頂点に立った。

「きょう、生徒に言ったのは『2連勝しよう』と。今日、負けたら神村のメンタルも良くなるので」(新田祐輔監督)。鹿児島城西は1月の県新人戦決勝で神村学園に2-0で勝利。鹿児島県内トーナメント戦で宿敵を倒したのは、2016年度の選手権予選決勝以来だった。その後、県新人戦、インターハイ予選、選手権予選の県内トーナメント戦で宿敵に11連敗。2008年度選手権全国2位、2016年度まで選手権予選3連覇を果たしていた鹿児島城西は、全国舞台から遠ざかり、県タイトルは2018年度(2019年1月)の新人戦のみに終わっていた。

 先月、県新人戦優勝を歓喜したものの、神村学園は日本高校選抜候補FW西丸道人主将(2年)、U-17日本高校選抜候補MF金城蓮央(1年)、強力右SB有馬康汰(2年)が不在。彼らが復帰した九州大会で敗れてしまうと、また相手に自信をつけさせてしまう。今回は逆に大黒柱のDF福岡想太朗主将(2年)と前線の要・FW岡留零樹(2年)が負傷欠場する状況だったが、「メンタル的にもひっくり返していこう」(新田監督)と気合十分だった鹿児島城西が、今できることをやり尽くして2連勝を飾った。

 立ち上がりは県決勝の雪辱を狙う神村学園ペース。サイドから相手の守りを攻略し、西丸やMF平野あいと(2年)、金城が決定的なシュートを放つ。だが、GK橋口竜翔(2年)の好守に阻まれるなどチャンスを逸すると、鹿児島城西がセットプレーから先制点を奪う。

 前半14分、CB横山輝人(2年)が中央から蹴り込んだFKにCB内田輝空(2年)が反応。バックヘッド気味にGKの頭上を狙った一撃がゴールネットに吸い込まれた。鹿児島城西は畳み掛ける。16分には、今大会抜群の技巧を発揮していたMF芹生海翔(2年)が左中間からスルーパス。これで抜け出したMF中村玲音(1年)が右足シュートを流し込み、2-0と突き放した。

 鹿児島城西は今大会5試合で22得点の神村学園を封じ込む。新田監督は「きょうはマンツーマンを採用したので。(1トップの)西丸のところだけ受け渡しで、あとは全部マンツーだったので。この子たちが元気出してやってくれた」と説明する。

 U-16日本代表FW名和田我空(1年)をはじめ、神村学園は技術力で違いを生み出せる選手が多数。先にポジションを取られると、自由にボールを動かされ、決定機を作られてしまう。「パスは出させない状態に」(新田監督)するため、鹿児島城西は徹底的に相手との距離を詰め、パスをカットした。それでも、神村学園は西丸の絶妙な動き出しやMF新垣陽盛(1年)の正確なポジショニングからボールを繋いでクロスへ持ち込んでいたが、鹿児島城西は集中した守りで決定打を打たせない。

 その鹿児島城西が次の1点を奪う。前半24分、不在の岡留の分も前線で走り回っていたFW矢吹凪琉(2年)のキープから、MF坂上日向(2年)が左サイドへ展開する。ボールを受けた中村がカットインからニアへ右足シュート。ファインショットが決まり、3-0となった。

 神村学園はU-16日本代表左SB吉永夢希(2年)の攻め上がりや西丸と名和田のコンビネーションなどから1点を目指す。だが、「ここで叩いたらインターハイに大きく関わる」(芹生)という鹿児島城西は素晴らしい戦いを続ける。新田監督が「今、俺らのゲームモデルなんで」と説明する10番MF石内凌雅(2年)が前日までとは異なるボランチのポジションでも、鋭いアプローチを連発。後半2分にはインターセプトから独走し、4点目のチャンスを作り出した。

 鹿児島城西は右SHで先発したMF松永知寛(2年)、左SBから後半に右サイドへ移行した木原綾汰(2年)、左右の両SBを務めた上間大嘉(2年)も含め、各選手が怖れずに前からボールを奪いに行き、「ガチャン」と激しく競って相手を押し下げる。そして、好プレーが出るたびに盛り上がるチーム。神村学園は選手交代に伴い、吉永を左SHへ移して相手ゴールをこじ開けに行った。だが、ラストの質を欠くなど無得点で試合終了。鹿児島城西が九州新人決勝でも勝利した。

 鹿児島城西は注目CB福岡を欠いていたが、横山、内田を中心とした守備陣の踏ん張りもあって無失点で九州制覇を果たした。だが、勝負はこれから。内田は「チームとして4冠を目標にしているので、あと3つ取って4冠を達成したい」。今年昇格するプリンスリーグ九州1部を含めた4冠が目標。前評判の高い神村学園、名門復活を期す鹿児島実高などが頂点を狙う鹿児島で勝ち続けることも簡単なことではない。宿敵に連勝した自信を持ちながら、落ち着いて次への努力と準備を続ける。

(取材・文 吉田太郎)

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