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[新人戦]長崎日大のエースFW友永響は一際目立つ動きも満足感無し。「本気でやった中での一番良い結果を求めに行く」

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長崎日大高のエースFW友永響はアジリティを活かしたドリブルや切り替えの速さで差を生み出した

 九州高校新人大会予選リーグで1、2を争うほど熱いゲームとなったのが、第3ブロック最終節の熊本商高(熊本1)対長崎日大高(長崎1)戦だった。1勝1敗でブロック2位の熊本商と1分1敗の3位・長崎日大の決勝トーナメント進出をかけて直接対決。2位浮上を狙ったもう1チーム、宜野湾高(沖縄2)が同時刻キックオフの神村学園高(鹿児島2)戦で健闘するも大量リードを奪われていたことから、2位争いは熊本商と長崎日大に絞られた。

 試合は、前半2分に長崎日大がゲーム主将の10番FW友永響(2年)のゴールで先制。さらにサイド攻撃から決定的なシーンを作り出す。中でも坂本信行新監督が「サッカー小僧です。切り替えが速かったり、前を向くことができたり。昨年の選手権は怪我で出られませんでしたが、面白いと思います」という友永は、一際目立つ動き。本人が「(自分の特長は)アジリティだと思っています。守備の切り替えもそうですし、ドリブルもギリギリで切り返したり、アジリティから来ていると思う」と説明する強みによって、PA内でも、エンドライン際の狭いスペースでもDFをかわしてゴールへ迫っていた。

 安定感高いプレーと左足が魅力のGK北嶋来汐(2年)やフィジカルコンタクトの強いCB田代拓叶(2年)が後方をサポート。そして、その鋭い身のこなし、クイックネスで相手を苦しめ続けた友永や、181cmFW中川粋(2年)が普段よりも縦に速い展開から、追加点を目指した。

 だが、熊本商に食い下がられると、後半10分に失点して1-1。決勝トーナメント進出へ勝つしか無い長崎日大は、同20分に3人替えを敢行する。そして25分、CB白濵利羽(2年)のロングキックから交代出場のMF森武祐貴(2年)が中央へ折り返し、友永がこの日2点目のゴール。残り時間5分の勝ち越し点で白星と予選リーグ突破に近づいた。

 だが、直後に再び失点。諦めずに3点目を目指したが、次の1点を奪うことはできなかった。友永は「落ち着くところは落ち着けるとか、流れをコントロールするとか、気持ちをコントロールする実力が明らかに足りなかったかなと思います」と語り、「(DF陣は)頑張っての2失点だったので、3点取るくらいの力量がないと全然ダメだなと思います」。攻撃の要として3点目を奪えなかったことを悔しがった。

 長崎日大は昨年11月、30年近くに渡って指揮を執ってきた亀田陽司監督が退任。教え子でもある坂本信行コーチが新監督に就任した。ポジショニングとテクニックの質を大事にするスタイルは継続。加えて、長崎県新人戦では堅守を発揮するなど、まとまりのある戦いで18大会ぶりに優勝を果たした。上位進出を目指した九州大会では紙一重の予選リーグ敗退。悔しい結果となったが、坂本監督は「選手もできたこと、できなかったことを感じたと思う。整理して、次の大会に臨んでいきたい」とこの経験を次に繋げる考えだ。

 向上心の強い友永は、印象的な活躍にも満足していなかった。「個の手応えはありましたけれどもレベルが高かったら自分、個で行けても(相手の)2枚目が速く来ますし、自分たちが劣勢でも2枚相手でも自分が受けられるようにならないと。守備は自分、ある程度任せている部分もあるので、メッシではないですけれども2枚3枚も(突破ルすることを)やらないとチームのためにならない。大学でももちろんやりたいと思っているし、プロを目指しての良い大学に行けると思っているので、きょうもまだまだなんで、まずは高総体、選手権目指しながら本気でやった中での一番良い結果を求めに行く」。不足していると感じた個の力、チーム力を高め、一番良い結果を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)

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