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ユース取材ライターの森田将義記者が選ぶ「九州新人11傑」

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森田氏が九州大会の「MVP」と評したMF芹生海翔(鹿児島城西高2年)

 令和4年度KYFA第44回九州高等学校(U-17)サッカー大会(九州高等学校サッカー新人大会)は、鹿児島城西高(鹿児島1)が4年ぶり3回目の優勝を飾りました。関西を中心にジュニアから大学生、Jリーグまで精力的に取材する森田将義氏は例年と同じく“九州新人”全日程を取材。“九州新人”で印象的なプレーを見せた11人を紹介してもらいます。

 森田将義記者「2年ぶりの開催となった九州新人大会。貪欲に勝負に拘るチームが多い地域柄もあってか、“九州らしい”戦える選手と共に明確な特徴を持った選手が多数見られました。大学やプロに注目されそうな選手の中から、特に印象的だった11人をピックアップしました。いずれも見た人にインパクト与える武器のある選手ばかりで、2023年の高校サッカー界を盛り上げてくれるはずです」

以下、森田記者が推薦する11名

GK北嶋来汐(長崎日大高2年)
これまで主将のGK田村祥(2年)が定位置を掴んできたが、最近の成長ぶりが買われ、グループリーグの2試合目から出場。サイズを活かしたクロスへの対応と、局面を一気に変える左足のキックでレギュラー獲得をアピールした。

DF木實大翔(熊本商高2年)
「一番自信があるのは、ヘディング。身長を活かして、絶対に負けたくない」。そう意気込むCBは舞台を九州に移しても、最終ラインで存在感のあるプレーを披露。「プレーで仲間に影響を与えたい」と身体を張っての決定機阻止も光った。

DF平山颯汰(佐賀商高2年)
FWとしてプレーした昨年の選手権予選は「佐賀のヒラヤマソウタ」として注目されたが、最終学年の今季は本職であるCBに復帰。高さを活かした競り合いの強さ、リーチの長さを活かした対人での対応で佐賀商の粘り強い守備を支えた。

DF平山零音(長崎総合科学大附高2年)
精度の高い左足キックが売り。小柄だが、「身長で負けるのは嫌」とタイミングを工夫して跳ぶため、競り合いでも簡単に負けない。プレーと共に印象的だったのは声掛けで、小嶺忠敏前監督から学んだ「後ろの声は神の声」との言葉を大事にし、指示を飛ばし続けた。

MF中村玲音(鹿児島城西高1年)
テクニックとキレを活かしたドリブルは簡単に止まらない。左サイドからのカットインを繰り返し、決勝ではチームを優勝に導く2ゴール。「シュートセンスと攻撃センスは名和田我空君(神村学園高)や高岡伶風君(日章学園高)に負けないぐらいあると思う」と新田祐輔監督は高く評価する。

MF芹生海翔(鹿児島城西高2年)
今大会のパフォーマンスは抜群で、大会のMVPと言っても過言ではない。「センスは抜群。勝手に色んなことできるし、走れる」と新田祐輔監督が評する選手で、中学時代に身に付けた滑らかな持ち運びから、スルーパスで決定機を何度も作った。

MF川越廉斗(日章学園高1年)
攻撃センスの高さは今大会のボランチでも屈指で、3列目で相手に囲まれても簡単には奪われない。冷静にかわしてからの大きな展開力も光る。何より、チャンスを嗅ぎ分ける嗅覚に長けており、タイミングよくゴール前に出る姿が印象的だった。

MF名和田我空(神村学園高1年)
昨年、大迫塁(C大阪)が着用した14番を受け継いだことからもチームの期待が伺える。技術、判断に優れたアタッカーで昨年は福田師王(ボルシアMG)のアシスト役に回る機会も多かった。だが、今年はチャンスメーカーとしての仕事をこなしつつも、結果に拘り、6ゴールをマークした。

FW石内凌雅(鹿児島城西高2年)
歴代の10番は技術に長けたタイプが多かったが、「技術がないなりにチームのために徹して、ゴールを奪ってチームを勝たせる人になりたいという想いでやっています」と話す彼は少しタイプが違う。仕掛け以上に目を惹く圧倒的な走力を活かしたチェイシングで、優勝校を支えた。

FW高岡伶颯(日章学園高1年)
速さと体幹の強さを活かしたドリブルが持ち味で、屈強なDFと対峙しても「小さいので力強さを武器にしていかないとプロや世界でも通用しない。倒れずに貪欲にやろうと意識している」とグイグイ前に進んでいく。本能で追い掛ける守備も魅力で、奪えなくても身体に当ててチャンスに繋げる。

FW西丸道人(神村学園高2年)
選手権で名を売ったストライカーは慣れない1トップの作業に苦労しながらも、宜野湾高戦での4ゴールを含め、計8得点を記録。前線でのボールキープに加え、後方やサイドのスペースに流れて周りを引き出すプレーも披露し、今後の可能性を感じさせた。

執筆者紹介:森田将義
 1985年、京都府生まれ。路頭に迷っていたころに放送作家事務所の社長に拾われ、10代の頃から在阪テレビ局で構成作家、リサーチとして活動を始める。その後、2年間のサラリーマン生活を経て、2012年から本格的にサッカーライターへと転向。主にジュニアから大学までの育成年代を取材する。ゲキサカの他、ヤンサカ、エル・ゴラッソ、サッカーダイジェストなどに寄稿している。

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