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[MOM4222]日本高校選抜DF山内恭輔(前橋育英3年)_「点を取る左SB」に新たな得点パターン。デンチャレ初勝利へ導く決勝点

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日本高校選抜左SB山内恭輔(前橋育英高3年)は決勝点を決めた

[3.4 デンチャレ7・8位決定戦 関東選抜B1-2 日本高校選抜 ひたちなか市総合運動公園]

 目指しているのは、「ゴールに絡めるSB」。左SB山内恭輔(前橋育英高3年)が、流れの中から鮮やかな決勝点を決め、日本高校選抜にデンソーカップチャレンジ初白星をもたらした。

 後半7分、日本高校選抜は自陣から切り替え速くアタック。左SH小池直矢(前橋育英高3年)が左サイドから一気に縦へボールを運ぶ。この時、左SBの山内は内側のスペースへランニングすると、一度小池をサポートするために近づいてから瞬時に判断を変更。ゴール方向へ向かってスプリントした。

「育英の時からオーバーラップもなんですけれども、内側のランも意識していて、直矢がすっと開いたから自分は中に行こうかなと思っていました」。そして、ボールは左ハイサイドを突いたFW古田和之介(履正社高3年)を経由し、ゴール前へ。最後は山内が左足ダイレクトで左隅へ流し込んだ。

 ゴール前での落ち着き、正確なフィニッシュは、まるでストライカーのよう。「まさか走ったところに来ると思っていなくて、走ったら来たんで振ったら入りました。中入った時にゴールのイメージはしていたんで、ちゃんと良いところに来て、カズ(古田)のボールも良かったです。自分はゴールに絡めるSBを目指しているんで、結果を残せて良かったです」。昨年は選手権予選決勝での2発に加え、インターハイやプレミアリーグでもゴール。「点を取る左SB」が見事なゴールを決めた。

“悪魔の左足”と評される左足からのミドルシュートやFK、また右サイドからの崩しに飛び込む形でもゴールを決める。この日のインナーラップからのゴールは本人にとっても、「チームメートからも『あそこ(左サイドからの崩しで)、ヤマ決めれない?』と声は聞いていた」という日本高校選抜にとっても、新たな得点パターンになりそうだ。

 山内は今大会、大学選抜相手に球際の強さを発揮。得意の攻撃面でも東海選抜戦で左足クロスから同点ゴールをアシストしている。くさびのパスなどビルドアップの部分でも貢献度が高い。「自分がボールを持った時とか相手と相手のギャップのスペースに(前橋育英でもチームメートだったMF小池)直矢とか(MF高足)善がいることが多くて、きょうもくさびのボールで良いボールが当てられていた」。この日は、前半からチームに良い流れも作り出していた。

 仲村浩二監督(尚志高)はファウルの取り方など山内の駆け引きの巧さも評価。そして、「凄く良い選手ですよ。(その上、)ゴールって大事じゃないですか。それをやってくれた」と関東選抜B戦のヒーローたちの中でも、特に活躍が光った選手として彼の名を挙げていた。

 山内はグループリーグ最終戦後、「(選手権などで)自信はついたけれど、もう一個つけていかないといけない」と語っていた。この日の勝利と決勝点は「(自信に)なりましたね」というもの。前橋FC時代はSBとしてU-15日本代表候補に選出されているが、チームでは主にボランチやチーム事情でCBも務めていた。「ずっとSBやりたくて」という思いを前橋育英で実現。高体連を代表する左SBへ成長し、デンソーカップチャレンジでさらに進化して大会を終えることができた。

「大学相手でもやれるなというのは全然あるので、小さなところまで意識してこれからやっていきたいです。(この日ゴールを決めたように)もっと内側に入ってプレーもできると思うので。そういうところでもゴールに近くなると思う」

 今大会では、身体の強い大学生からボールを取り切れない部分もあったという。だからこそ、より速く予測し、動かなければならない。また現在、進路の日本大学では1000m走×8本の「センパチ」やシャトルランなどで体力強化中。50mを6秒2で走る一方、体力面は課題の一つとなっているだけに、「スプリントの回数をもっと増やしていきたい。体力面ももっとつけていきたい」。これから日本高校選抜の海外遠征や日本大の活動を通して課題を改善し、武器を磨き上げて、他に差をつけるほどの「ゴールに絡めるSBになる」 
 
(取材・文 吉田太郎)
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