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[デンチャレ]積極的に前へ、スピードアップ。日本高校選抜の注目MF徳永涼が新たなトライで2得点を演出

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日本高校選抜のMF徳永涼主将(前橋育英高3年)は2得点の起点に

[3.4 デンチャレ7・8位決定戦 関東選抜B 1-2 日本高校選抜 ひたちなか市総合運動公園]

 注目ボランチが新たなプレースタイルにトライし、手応えの勝利だ。日本高校選抜のMF徳永涼主将(前橋育英高3年、22年U-18日本代表)は2試合ぶりに先発出場。この日はボールを持つと積極的に攻撃をスピードアップさせようとし、2ゴールの起点となった。

 0-1の後半4分、右サイドでポゼッションをサポートすると、1タッチで縦へのスルーパスを差し込む。わずかに浮かせたボールでMF高足善(前橋育英高3年)がDF背後へ抜け出し、中央へラストパス。これをFW小湊絆(青森山田高3年)がゴールへ沈め、同点となった。

 さらに後半7分、自陣での奪い返しからボールを受けた徳永は、左前方のMF小池直矢(前橋育英高3年)へ正確な展開。これが左SB山内恭輔(前橋育英高3年)の決勝点に繋がった。意識的に前を目指してパス。この姿勢、精度が逆転劇に結びついた。

 3日前の東海選抜戦はボールを保持するを大事にしすぎたが、前に進める回数が少なく、チーム全体が重くなってしまったことが反省点だった。だが、関東選抜B戦はこれまでならば、タメを作って攻撃を作り直すようなシーンでも、積極的に前へ配球。FWの動きとわずかに合わず、ロストやオフサイドとなるシーンもあったが、狙い続けたことがチーム全体に前へのスピードとパワーを生み出していた。

「どんどん前にスピードアップして、自分からスルーパスだったりを増やそうというのは思っていました。あそこで休むんじゃなくて、何度も何度も前に行った方が相手は嫌だと思うし、得点の機会も増えると思うので。大学(進路の筑波大)は(コーチの平山)相太さんとか凄く求めているんで、自分の中でそれを汲み取ってトライして行こうというゲームだったので、ミスもありましたけれどもポジティブかなと思います」

 大学生にフィジカル負けしたり、テクニックで剥がされるシーンなど差を感じることはほとんどなく、逆に持ち味のバランス力を発揮し、ボール奪取に成功してゴールの起点にもなった。デンソーカップチャレンジは前向きな大会に。「1試合目(東海選抜戦)から学んで、きょうの試合で縦を増やしたのは『これの方が良い』と、収穫になりました。(前橋育英でやってきた)ゆっくり焦らしながらのサッカーは自分はできる。(平山)相太さんは縦早くどんどんスプリントしてというサッカーなんで。そこのサッカーもできるようにと、きょう自分がトライしたというのが今回の2試合の得られたことかなと思います」。一方で悔やんでいたことは、東海選抜戦で退場してチームの勝利に貢献できなかったこと、そして憧れの中村憲剛コーチの前でプレーできなかったことだ。

 徳永は東海選抜戦の後半に不運な印象のレッドカード。中村コーチが指揮を取っていたプレーオフ選抜戦は出場停止となった。「この大会でまず自分がチームに貢献できないというのが悔しかったですし、チームに申し訳ないなという気持ちです。(あと、)憲剛さんの前でプレーしたかった。待ち受けとかずっと憲剛さん。(プレミア)リーグの時もフロンターレ戦累積(警告のため出場停止)で、憲剛さん来ていて、自分出れなかったので悔しかった」。中村コーチも徳永の存在を認識しており、そのプレーを見れなかったことを残念がっていた。

 最終日に直接挨拶した徳永は筑波大で活躍し、同じ「14」で輝いた名手に見てもらう機会を自分の力で作り出す。筑波大のボランチのポジションは注目選手の名が並ぶ激戦区だが、「外的な理由ではなく、真っ向勝負でポジションを獲りにいきたいので、(誰がいる、というのは)関係ないと思います」。日本高校選抜の欧州遠征という自分にしかできない活動も力に、ポジションを奪いに行く。

 欧州遠征は4月。「まずはチームが勝つことを念頭に置くんですけれども、海外で、世界で自分の名前を売り込むという面では覚悟を持ってやろうと思っている。自分が活躍して、海外に行けるように、リストに入れてもらえるようにしたい。ちゃんと準備をしていきたい。(国際大会に出場予定だが、)きょうみたいに決勝に人が集まると思うので、高いレベルでやる意味というのは優勝するためだけじゃなく、自分の価値を示すという面もあると思う。チームの勝利は必要不可欠だと思うので、勝ちの次に、自分の名前を売り込むというのが取れれば良い」。日本高校選抜のリーダーとして勝つこと、優勝することに集中。そして、「徳永涼」という名を少しでも多くの関係者に知ってもらう海外遠征にする。
 
(取材・文 吉田太郎)
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