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23年シーズンの主役候補たちが個性や積極性、強度を発揮。U-17日本高校選抜が4-0で静岡県ユース選抜を撃破

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日本高校選抜が4-0で快勝した

[3.5 静岡県ヤングフェスU-17男子の部 静岡県ユース選抜 0-4 U-17日本高校選抜 草薙陸]

 第38回静岡県ヤングサッカーフェスティバルが5日に開催され、U-17男子の部でU-17日本高校選抜と静岡県ユース選抜が激突。U-17日本高校選抜がMF松田悠世(桐光学園高2年)の2ゴールとFW山本吟侍(高川学園高2年)、MF安齋悠人(尚志高2年)のゴールによって4-0で快勝した。

 U-17日本高校選抜は第101回全国高校選手権で活躍した選手たちを中心に、選手権予選敗退校の優秀な選手などを加えたメンバーで、選考会を経て23名が選出されている。今回のヤングサッカーフェスティバルとJヴィレッジカップ(3月18~21日)での勝利と、この選抜チームを経て23年シーズンやその先のステージで活躍する選手を輩出することが目標だ。

 3日に行われた静岡産業大との練習試合はFW西丸道人(神村学園高2年)の2ゴールと山本のゴールによって、3-2で勝利。この日はキャプテンマークを巻いたGK雨野颯真(前橋育英高2年)、右SB上原悠都(昌平高1年)、CB八巻涼真(浜松開誠館高2年)、CB塩川桜道(流通経済大柏高2年)、左SB市川和弥(尚志高2年)、MF神田拓人(尚志高2年)とMF長準喜(昌平高2年)のダブルボランチ、右SH松田、左SH安斎、FW西丸とFW山本の11人が先発した。

 一方、静岡ユースはU-18日本代表候補のFW神田奏真(静岡学園高2年)やキャプテンのMF田中侍賢(清水ユース、2年)、早生まれの大型CB植野悠斗(藤枝東高2年)らが先発。入りは悪くなかったものの、雨中の難しい展開でU-17日本高校選抜が静岡ユースとの差を示す展開となった。

 前半5分、右サイドからドリブルで仕掛けた松田が左足ミドル。威力のある一撃をGKが処理できず、先制点となった。リードしたU-17高校選抜が攻守に主導権を握り続ける。米澤一成監督(京都橘高)は、「クロス、守備、ゲームの改善……この合宿でやってきたことが出ていたかなと思います。ディフェンスのところはかなりやってくれました」と頷いていたが、西丸、山本の2トップがアグレッシブに相手DFへプレッシャーをかけ、この日、印象的な動きを見せていた神田が幾度もボールを奪い取っていた。

 高い位置でのインターセプトに成功していたU-17高校選抜は、西丸や安斎が強気の仕掛けでゴールへ向かっていく。そして、西丸のドリブルシュートがクロスバーをヒットするシーンも。一方、キープ力の高い10番MF星戸成(清水ユース、2年)中心にボールを動かす静岡ユースは22分、CB岩本昇悟(清水ユース、2年)が右サイドへ好パス。右SB李京樹(磐田U-18、2年)のクロスをMF仲野丈翔(清水ユース、2年)が頭で合わせる。

 だが、U-17高校選抜は塩川、八巻の両CBが中心となって決定打を打たせず、突破力のあるMF田中を中心とした相手のサイド攻撃も左SB市川らが封じる。GK雨野が守るゴールに決定打を打たせない。逆にU-17高校選抜は27分、切り替えの速い攻撃から長が絶妙なスルーパス。これを山本が左足で決めて2-0とした。さらに30分、右SB上原のサイドチェンジが逆サイドの安斎へ通る。ここから安斎が中へ持ち込み、鮮やかな右足シュートを決めた。

 その後も長のドリブル突破などからチャンスを作るU-17高校選抜は、後半開始から雨野、上原、安斎に代えてGK中村圭佑(静岡学園高2年)、右SB青谷舜(桐光学園高1年)、左SH金城蓮央(神村学園高1年)を投入。後半、ポゼッションが好転した静岡ユースは神田の落としからFW良知英祥(藤枝東高2年)が左足を振るなど反撃する。

 U-17高校選抜は13分、市川と神田に代えて左SB田辺幸久(大津高2年)とMF碇明日麻(大津高2年)をピッチへ。長が得意のドリブル突破から金城へスルーパスを通し、西丸がマイナスのラストパスを山本へ通すなど追加点のチャンスを作り出す。そして、20分、西丸の右ショートコーナーから松田が左足でクロス性のボールをゴール方向へ入れる。これがファーポストを叩いてゴールイン。4-0となった。

 後半は静岡ユースがよく立て直し、自陣ゴール前で身体を張ってブロック。ボールを保持する時間も伸ばしていた。一方のU-17高校選抜は24分に八巻、松田、山本をCB山田佳(前橋育英高1年)、MF宮地陸翔(京都橘高1年)、右SH{仲田堅信}}(米子北高2年)へスイッチ。この後も前線へ上がった碇が高さを発揮したほか、仲田の決定的なラストパスに金城が飛び込み、西丸の左足シュートがゴールを脅かす。

 米澤監督は「インテンシティと、イニシアチブ取るよと、そしてインテリジェンス。この3つを選手には言ってこの合宿入って行って、理解していると思う。最後まで本当に強度が落ちなかったので、選手ら凄いなと思いました」と称賛する。試合終盤にゴール前の混戦からピンチを迎えたが、静岡ユースMF田中のシュートをGK中村と青谷が身体を投げ出してブロック。この試合へ向けてトレーニングしてきたこと、またチームのテーマを最後までやり切ったU-17高校選抜が4-0で快勝した。

 U-17日本高校選抜の活動は21年秋からスタート。U-17日本高校選抜を経験した選手からFW福田師王(神村学園高→ボルシアMG)とMF高橋隆大(静岡学園高→G大阪→奈良)、MF名願斗哉(履正社高→川崎F)、MF阪田澪哉(東山高→C大阪)らがプロ入りを果たし、MF徳永涼(前橋育英高→筑波大)やFW小林俊瑛(大津高→筑波大)は今年、日本高校選抜で活躍し、4日のデンソーカップチャレンジでは大学選抜からの初勝利を果たしている。

 米澤監督は「ここで結果出して人生変えることも必要やし、来年に繋がる活動にしようと言いました」。選手たちはディスカッションする時間も与えられ、会話を増加。交代する選手同士が状況を確認し合うなど、全員が情報を共有しながら個人、チームで成長しようとしている。

 松田は「チームの雰囲気も凄く良いですし、初めての選手が多いんですけれどもみんな仲が良くて、コミュニケーションが取れて、息の合ったプレーだったり連係が取れている」とチームの雰囲気の良さや、連係の良さを口にした。23年シーズンの主役候補たちはまずコンディションを整えて再集合。そして、切磋琢磨しながら成長し、昨年に続くJヴィレッジカップ優勝でU-17日本高校選抜での活動を終える。

(取材・文 吉田太郎)

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