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個性も光ったU-16注目対決。東京選抜がMF倉持2発で静岡選抜に劇的勝利!

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後半35+3分、U-16男子東京都選抜のMF倉持譲太郎(横浜FCジュニアユース)が右足で決勝ゴール

[3.5 静岡県ヤングフェスU-16男子の部 U-16男子静岡選抜 1-2 U-16男子東京選抜 草薙陸]
 
 第38回静岡県ヤングサッカーフェスティバルが5日、静岡県静岡市の草薙陸上競技場で行われ、U-16男子の部はU-16静岡選抜とU-16東京選抜が対戦。東京がMF倉持譲太郎(横浜FCジュニアユース)の2ゴールによって2-1で逆転勝ちした。

 ともに出場を果たせば、国体少年男子の部(10月、鹿児島)で優勝候補に挙がるだろう両チームの注目対決。U-17日本代表の廣山望コーチも視察に訪れる中、勝利と“個人昇格”も目指す選手たちが、風雨の難しいコンディションで好勝負を演じた。

 東京は世代の中心プレーヤーMF仲山獅恩(東京Vジュニアユース)が前半のみの出場だったものの、ビルドアップや崩しに係る動きの質、献身性でも存在感。また、長身レフティーのCB佐々木将英主将(FC東京U-15深川)が果敢にDFラインからボールを運び、右サイドでは高速SH杉山まはろ(東京Vジュニアユース)が抜群のスピードを発揮する。そして、早生まれの大型右SBエバイェメウ賢人(関東一高)が球際の攻防で幾度も競り勝つなど迫力のある動きを見せていた。

 一方の静岡は、早生まれのMF川合徳孟主将(磐田U-18)が抜群の技術力で攻守の中心に。また、右SH中野遥翔(沼津U-15)、左SH石塚蓮歩(磐田U-15)、CF米村修人(沼津U-15)の前線3選手がいずれもスピードやテクニック、しなやかさといった特長を発揮し、目立っていた。

 互いにボールを大事にビルドアップし、前線の選手たちが個性を発揮する。16分、静岡は石塚が連続での切り返しから右足シュート。東京は20分、MF中屋光廉(FC東京U-15深川)が馬力のある動きでDFを強引に剥がして前進すると、パスを受けた杉山が縦への鋭い動きでDFを外し、シュートを打ち込んだ。

 前半は、石川創人監督(東京農大一高)が「特長のある選手がいるので、真ん中からもサイドからも、お互いの個性を認めながら、そこを出していけるようなサッカーをやっていきたい」という東京のペース。佐々木やMF二階堂凛太郎(FC東京U-15深川)が丁寧にボールを前進させ、アタッキングサードでは仲山と中屋が絡む形で崩しにかかる。後半はボールの奪いどころを定めた静岡が持ち直し、MF高澤海志(磐田U-15)のロングシュートや中野の鋭い仕掛けなどでゴールへ迫る。

 そして15分、静岡は右中間でDFを外した川合徳が縦パス。注目レフティーのMF川合亜門(浜松開誠館中)が正確なコントロールから、左足シュートを打ち切る。DFに当たってこぼれたが、これを拾った石塚が一気にPAへ潜り込み、対角の左足シュート。見事な一撃で先制した。

 だが、東京は26分、右サイドでCKを獲得。これを交代出場の倉持が左足で蹴り込む。風の影響もあってゴール方向へ向かったボールを静岡はかき出すことができず、1-1。この後、試合の流れは東京へ大きく傾いた。
 
 終盤へ向けて存在感を増した10番FW前田勘太朗(横浜FCジュニアユース)と倉持を中心にゴールへ迫り、前田がシュートを打ち切る。また、前への姿勢を見せていたCB坂井倖大(東京Vジュニアユース)がセットプレーで競り勝ったり、カウンターからスプリント。静岡も最後の局面で粘っていたものの、35+3分、東京は前田が力強いキープから右足を振る。DFラインの背後に落ちたボールに倉持が反応。最後はGKとの1対1から右足シュートを流し込んだ。勝ち越しゴールを喜んでいる最中に試合終了の笛。東京が劇的な形で白星を飾った。

 精度など課題もあった一方、互いに個性とチーム力を出し合うゲームに。選手たちは国体で日本一を勝ち取ることと同時に、自分自身をプロデュースしながら、上のステージを目指している。勝った東京の石川監督は、「来た選手はコンセプトを理解してやってくれました。ここで勝たせる、ここで何ができるかを(代表チームやクラブから)評価してもらっていると思う。(自分を表現できるような)エネルギッシュな子たちが多いので僕たちはサポートしていきたい」と語った。

 チームリーダーの佐々木は「厳しい時間帯もあったんですけれども、チーム全員で協力して、守って攻撃できたのでそれが勝利に繋がったと思います。チームメートやスタッフと協力していって、(個人としては)まだ日本一というタイトルを今まで取ったことがないので、チーム全員で取りたい」と語り、エース仲山は「監督やコーチを日本一にしたいのもありますし、その中で相手と駆け引きして、遊び心持って、緊張したりとかせずにみんなと楽しく、強く勝っていきたいと思います」とコメントした。前回優勝の神奈川県など関東ブロックを勝ち抜くことも容易なことではない。今回のメンバー外を含めて各選手が意識高く競争し、成長すること。そして試合で団結力や個々の特長を発揮して勝ち続ける。

(取材・文 吉田太郎)

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