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エースとして全中日本一、中学生でプリンス東海4発…。MF川合亜門は役割徹底した上で高校1年目から「インパクトを」

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浜松開誠館高へ進学するMF川合亜門(浜松開誠館中3年)は成長し、高校1年目からインパクトを残すか

[3.5 静岡県ヤングフェスU-16男子の部 U-16静岡選抜 1-2 U-16東京選抜 草薙陸]
 
 昨年は主将、エースとして浜松開誠館中を18年ぶりの全国中学校大会優勝へ導いた。また、中学生ながら浜松開誠館高の先発にも名を連ね、プリンスリーグ東海で4得点をマーク。MF川合亜門(浜松開誠館中3年)は23年シーズン高校サッカー界のスーパールーキー候補だ。

 U-16東京選抜戦では、U-16静岡選抜のシャドーの位置で先発。後半15分の先制点のシーンで川合はMF川合徳孟(磐田U-18)からの縦パスをタイミングよく引き出し、絶妙なファーストタッチ。左足シュートを打ち切った。このこぼれ球の流れからMF石塚蓮歩(磐田U-15)が先制点。ゴールに絡んだ後もボールを引き出して攻撃を組み立てに係わっていたが、この日は全体的にボールに触れる機会が不足し、期待されたゴールを奪うこともできなかった。

「前半ポゼッションも少なくて、後半守備で良い形が作れていたんですけれども攻撃ではなかなか良い形が作れなかったり、ちょっと自分の力がなかったところもあるんですけれども、後半途中から右になった時に運動量が落ちてそこを使われる形になったので。プリンス(リーグ東海)だったらもっと時間も増えますし、運動量とやれることを増やしていかないといけない」

 昨年の活躍に甘んじることなく、貪欲に成長を目指している。「昨年は結果という面ではプリンスでも点も取れて残せたけれど、(プレミアリーグ)参入戦に行った時に何もできなかった。ああいう大事なゲームで点を取る選手にどうなるのかが今年のポイントだと思うので、東海プリンスで結果を残すのを自分の中で凄いと思わず、高1から点を取るのは普通じゃないかもしれないけれど、自分の中で甘んじることなく、もっと上に目指してやっていくことが大事だと思う」。活躍しても一喜一憂することなく、大事な試合で活躍できる、ゴールをもたらす選手になることを目指す。

 目指す姿になるために意識していることは、ゴールに近い位置へのスプリントや前を向く部分だ。「去年は基本、前目のポジションでボールをもらったり、去年はチームのレベルも高くて自分が点を取りやすい環境にいさせてもらったんですけれども、今年は逆に自分がゲームを作ってアシストとかしながらゴール前に自分が入っていけるように。ポケットに走る回数を増やして、よりスプリントとか前を向いて怖さを出せるように意識しています」。まずはチームから求められる運動量、戦術の中で自分の役割を徹底すること。その上で、絶対的な自信を持つ左足、高校生の中でも表現してきたプレー精度の高さや身体を張った動き、そして意識している課題を表現する。

 OBのMF熊取谷一星(明治大2年)がU20アジアカップを戦うU-20日本代表入りし、名門・リバプール(イングランド)から注目されているという報道もあった。また、先日には同じくOBのDF吉田真那斗(鹿屋体育大3年)が横浜FM内定。先輩たちの活躍は刺激になっている。

「熊取谷君の記事を見た時とか、チーム内では『おお、凄え』みたいになっていたんですけれども、自分は『先、越された』じゃないですけれども、代表にもまだ入れていないし、『自分ももっと頑張らないといけない』と刺激をもらえました。最近は吉田真那斗君がプロに入ったり、どんどん良い刺激が入ってくる。そういう(好選手が育成された)良い環境に今、自分がいる。熊取谷君は守備が本当に凄かったので、自分も頑張って熊取谷君を越えていきたい」

 熊取谷は1年時から浜松開誠館高の10番を背負い、吉田も高校時代から中盤、DFとして一際ハードワークする姿が目立つ選手だった。川合は下級生からインパクトを残すことを考えているという。

「高3より1年目と2年目が進路では勝負になると思うので、まずはインパクトを残せるように。これからプレシーズンでもプーマカップとかJヴィレッジとか色々な大会がありますし、どれだけインパクトを残してスカウトとかの目に留まるかが大事だと思っています。そのインパクトとはゴールだったり、武器を出すだったり、リーダーシップを出すだったりだと思う。一戦一戦、ちょっとした練習試合でも誰が見ているか分からないので、そういうところでも手を抜かずに頑張っていきたい」。元清水FWの青嶋文明監督(浜松開誠館高)も早い段階から期待感を口にしていた地元出身の注目1年生。もちろん、インパクトを残すためにはまだまだ成長が必要だが、壁を一つ一つ乗り越え、3年間で偉大な先輩たちを超える。

(取材・文 吉田太郎)

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