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自信を持つ技術力で「他のチームを圧倒したい」。昌平がPK戦で興國に勝利

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昌平高がPK戦で勝利した

[3.11 ECLOGA1回戦 興國高 2-2(PK3-5)昌平高 J-GREEN堺]

 昌平、静岡学園、興國、神村学園の強豪4校がトーナメント戦で優勝を争う「ECLOGA(エクロガ)2023~大阪春の陣~」が11日と12日にJ-GREEN堺で開催された。1回戦で昨年のプリンスリーグ関西1部優勝の興國高(大阪)と同プリンスリーグ関東1部優勝昌平高(埼玉)が激突。2-2で突入したPK戦の末、昌平が5-3で勝った。

 立ち上がりは、興國が得点数増加のために取り組んでいる縦に速い攻撃で決定機を連発。前からボールを奪いに来る昌平の守備の逆手を取った攻撃でビッグチャンスを作り出した。

 だが、昌平は藤島崇之監督が「シュートストップが良い。LAVIDAの時は公式戦に出ていなかったので経験が積めていなかったけれど、良くなって来ている」という188cmの早生まれGK佐々木智太郎(2年)が連続の好セーブで得点を許さない。また、左SB工藤聖太郎(2年)のシュートブロックなど集中した守備もあり、0-0で試合を進める。

 定期試験明けで長距離移動もあった昌平、欧州遠征の帰国から中1日の興國は互いに動きが重く、思い通りの戦いができない部分も。加えて昌平は、興國の独特なビルドアップに慣れず、プレッシングに行き切れない部分があった。

 だが、MF荒井悠汰(現FC東京)から10番を継承したMF長準喜(2年)が、「両サイドやボランチ、CBも上手い選手が今年たくさんいる。技術力で他のチームを圧倒したい」というように、昨年以上に技巧派が並ぶ昌平はボールを奪うとDFラインも、中盤もボールを個で運ぶ力を見せる。

 押し返した昌平は27分、左中間での狭いスペースでパス交換。MF土谷飛雅(2年)からパスを受けた長準がMF大谷湊斗(1年)とのワンツーで抜け出し、左足で先制点を流し込む。さらに31分、相手のビルドアップをインターセプトした長準が強烈な右足ミドル。これがクロスバーを叩き、ゴールラインを越えた。

 2点ビハインドとなった興國は39分、左中間でDFと入れ替わったMF上原万生(2年)がさらにカバーのDFを剥がして左足で追撃ゴール。後半、興國は内野智章監督が「SBの立ち位置を変えただけで後半はだいぶ打開できた」と振り返ったように、ビルドアップの質を高める。

 昌平は長準とMF長瑠喜(中3)の長兄弟が突破力を発揮するなど追加点のチャンスを作る。だが、興國は19分、右サイドからカットインしたFW河合健吾(2年)が左足を振り抜く。ボールはゴール前を抜けてファーサイドのゴールネットへ。興國が2点差を追いついた。

 興國はMF國武勇斗(2年)とMF小林嘉人主将(2年)が中盤中央から力強くボールを運ぶなど目立つ存在に。MF千葉大舞(2年)とMF宮原勇太(2年)の中軸2選手を海外クラブ練習参加で欠く中だったが、強敵と渡り合った。一方の昌平もU-16日本代表右SB上原悠都(1年)が欠場。納得の内容とはならなかったものの、相手が嫌がるような守備の強度、スピードを見せ、存在感を放った長準やFW小田晄平(2年)がチャンスを創出する。だが、ややグループでの崩しに重きを置きすぎた面があり、また土谷、長準のシュートがわずかに枠を外れるなど勝ち越すことができない。

 試合は2-2のままPK戦へ突入。後攻・昌平はGK佐々木が右へ跳んで1人目を止める。そして、CB石川穂高主将(2年)、土谷、長準、CB佐怒賀大門(2年)、DF田尻優海(2年)が決め、5-3。今年プレミアリーグへ初参戦する昌平が勝利した。

 昌平の新チームはプリンスリーグ関東所属のチームと練習試合をk重ねるなど、“高校年代最高峰のリーグ戦”での戦いへ向けて準備。藤島監督は「コンディション的にはまた上げていかないといけない。きょうのゲームじゃダメですけれども、それまで悪くはなかった。(プレミアリーグでも)やれなくはないと思う」と語る。12日の神村学園との決勝は先制されたものの、石川のゴールで追いつき、期待のルーキー・長瑠が3人、4人とかわしてのスーパーゴールで勝ち越し。DF田中瞭生(2年)がダメ押しゴールを決めて優勝した。長瑠は大会MVPに選出されている。

 長準は「プレミア戦うからには優勝目指していますし、チームとして悪くないと思っている。もっとクオリティを上げていきたい」。ECLOGA(エクロガ)初代王者が残り3週間で状態を上げ、プレミア開幕を迎える。

(取材・文 吉田太郎)

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