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4-3で静岡学園とのプレミア対決制すも…神村学園は自分たちに目を向けて「自力つけないと」

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後半15分、神村学園高FW西丸道人主将が右足PKを決めて4点目

[3.11 ECLOGA1回戦 静岡学園高 3-4 神村学園高 J-GREEN堺]

 昌平、静岡学園、興國、神村学園の強豪4校がトーナメント戦で優勝を争う「ECLOGA(エクロガ)2023~大阪春の陣~」が11日と12日にJ-GREEN堺で開催された。1回戦でともに今年プレミアリーグWESTを戦う静岡学園高(静岡)と神村学園高(鹿児島)が激突。神村学園が4-3で撃ち勝った。

 個の育成に力を注ぐ4チームによる「チャレンジして、どんどんトライしてという大会」(静岡学園・川口修監督)というフェスティバル。ともにプロ注目選手や年代別日本代表選手を擁する両校による注目カードは前半5分、静岡学園がU-18日本代表候補FW神田奏真(2年)のPKで先制点を奪う。だが、神村学園は15分、22年U-16日本代表の左SB吉永夢希(2年)が縦への仕掛けから左足シュートを右隅に突き刺して同点に追いつく。

 静岡学園は神田が前線で存在感のある動き。ボールを収め、強さも見せながら前へ運ぶ。また、中盤の要であるMF福地瑠伊(2年)や成長光るCB矢澤怜士(1年)が鋭いアプローチでボール奪取。右SB泉光太郎(2年)が強気の攻め上がりを連発するなど個の良さが出る戦いを見せていた。

 だが、神村学園は後半4分、左サイドから押し込むと、22年U-16日本代表FW名和田我空(1年)が2人、3人のマークを外してコントロールした右足シュート。注目アタッカーのスーパーゴールで勝ち越すと、7分にもFW西丸道人主将(2年)が相手守備陣を翻弄してから右足シュートを放つ。これはクロスバーを叩いたが、名和田がこぼれ球を右足でネットへ沈め、3-1とした。

 静岡学園も直後に右サイドから崩してMF志賀小政(2年)がゴール。15分には後半により怖さを見せていた神村学園FW西丸が右サイドから切れ込み、ラストパスがDFのハンドを誘う。これを決めて4-2。さらに交代出場MF大成健人(1年)や右SB有馬康汰(2年)がシュートを打ち込み、MF平野あいと(2年)のラストパスから西丸がポスト直撃のシュートを放つ。だが、U-18日本代表候補GK中村圭佑(2年)を中心とした静岡学園守備陣が阻止。神村学園は突き放すことができず、さらに課題が出てしまう。

 神村学園の有村圭一郎監督は「(レベルの高い相手に対し、)自分たちのゲームができるチームじゃない。その中でどのくらい粘り強くやれるか、自分たちのリズムに持ってくるとかやれれば良いなと思って(ECLOGAに)来ました」。だが、自分たちでリズムを崩してしまう。周りの選手に頼ってしまうシーンや、セルフジャッジするシーンも。「トライしている選手もいっぱいいましたし、良さを出した選手もいました。(でも、)できることがいっぱいあったはずなのに」と指摘する。

 静岡学園は川口監督が「(久しぶりにAチームの試合を見たが、)新人戦に比べたらすごく伸びている」と期待値を口にする内容。ともに交代出場のMF田嶋旦陽(2年)やMF大村海心(2年)が積極的にチャレンジして流れを引き寄せる。そして、35分、連続攻撃から左SB提坂煌世(2年)が左足シュートを左隅へ決めて1点差。さらに神田らがゴールに襲いかかったが、神村学園はDF陣のシュートブロックなどで凌ぎ、4-3で勝利した。

 神村学園の有村監督は「(試合後)『自力つけないと、どうしようもないでしょう』という話をしました」と明かす。まだまだ走れない選手も多く、他の誰かに頼ってしまっている選手が多い。ここから変化し、自力をつけて、プレミアリーグ初参戦となるシーズンを戦っていけるか。

「相手の嫌なところに入っていく力がある。もうちょっと身体の肉付きよくなれば、もっとタフに戦える。センスもある。今年1年中心になれるかどうか」と指揮官が説明する10番MF平野、九州新人大会含めてボランチ、CBで個の力を示している新垣陽盛(1年)、CB難波大和(2年)らが昨年からの主軸組に並ぶような存在になること。今回のサブ、登録メンバー外、そしてMF福島和毅(中3)ら新1年生も頑張り次第で立ち位置を変えるかもしれない。決勝では昌平高に1-3で敗れ、準優勝。会場に多くのファンを集めるなど注目度の高い神村学園だが、まずはしっかりと自分たちに目を向け、貪欲にレベルアップする。 
 
(取材・文 吉田太郎)

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