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CB山本虎主将をはじめリーダー多く、2年前に近い空気感も。青森山田が東福岡に7発快勝

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後半7分、青森山田高CB山本虎主将が5点目のゴール

[3.15 サニックス杯予選リーグ 青森山田高 7-1 東福岡高 グローバルアリーナ]

 新主将はチームメートと意見を出し合いながら、強い青森山田を作り上げる。15日、サニックス杯国際ユースサッカー大会2023(福岡)予選リーグC第1節でともにプレミアリーグに所属する青森山田高(青森)と東福岡高(福岡)が激突。青森山田が7-1で快勝した。

 青森山田は前半10分、セットプレー後の混戦からFW米谷壮史(2年)が左足で先制点。東福岡のスピーディーなパスワークに慣れず、クロスまで持ち込まれるシーンもあったが、FW津島巧(2年)投入から前への姿勢が増すなど守備で流れを取り戻す。

 30分、連続攻撃から10番MF芝田玲(2年)がねじ込む形で加点すると、35分にはCB山本虎(2年)の素晴らしいフィードからMF杉本英誉(2年)が切れ込んで左足でゴール。さらに39分、右サイドから崩し、MF小林拓斗(2年)のマイナスクロスをMF川原良介(2年)が頭でゴールネットに沈める。強豪対決の前半を4-0で折り返した。

 青森山田は今月11、12日に開催された時之栖チャレンジカップで帝京長岡高(新潟)、東山高(京都)、浜松開誠館高(静岡)相手に計17得点。正木昌宣監督が「攻撃力は今年のウリにしたい」というチームは、後半も得点を重ねる。6分に小林のロングスローをニアのCB小泉佳絃(2年)が頭で狙うと、クロスバーの跳ね返りをCB山本虎主将(2年)が頭で押し込んで5点目。プレミアリーグ開幕へ向けてトライを続ける東福岡もスピードのあるパスワーク、崩しで攻め返す。

 そして、東福岡は攻撃の中心となっていたFW吉岡拓海(2年)や交代出場で存在感を放ったFW森山大翔(1年)が決定機に絡む。18分には森山が鋭い切り返しを交えたドリブルで青森山田の堅守をこじ開けて1得点。だが、青森山田は22分に芝田が相手のビルドアップに食いついて敵陣でインターセプトする。そして、縦への動きからラストパスを入れると米谷が右足ダイレクトボレーで決めて6点目。さらに31分、相手のサイドチェンジを狙ったMF別府育真(1年)がインターセプトから右足シュートを決めて7-1で試合を終えた。

 青森山田の正木監督は「得点の取り方は良かった。意図している形で取れている。良い守備できなくなって良い攻撃もできなくなっていたので、そこを継続してやっていきたい」とコメント。攻撃面ととともに特長になりそうなところが、指揮官も「今年はキャプテンやれそうなやつがいっぱいいる」というリーダーシップを取れる選手の多さだ。

 主将の山本、副主将の左SB菅澤凱(2年)、昨年から主軸の芝田、小林、GK鈴木将永(2年)らキャプテンシーのある選手が多数。菅澤が「目標ですね」と語るのが2年前の3冠世代だ。今年のチームは、MF松木玖生(現FC東京)とMF宇野禅斗(現町田)、MF藤森颯太(現明治大)、CB三輪椋平(現順天堂大)らリーダーの多かった2年前のチームと似た空気感がある。

 山本は「2年前も(松木)玖生さんがキャプテンでしたけれども、禅斗さんとか颯太さんが遠慮なく、(松木相手でも)ダメなときはダメと言っていましたし、(緩さを)許さない集団が強くなると思う」という。青森山田中時代から同高のAチームでトレーニングしていた山本は、昨年の良さ、一昨年の良さを今年のチームに還元するつもりでいる。

 菅澤は山本について「アイツが、一番威厳があって、信頼できます。このAチームだけじゃなくて、他のカテゴリーの子にも声かけていっているのは見ている」と説明する。その主将がまとめ役となりながら、トレーニングから意識高く、全員で意見を言い合える集団へ。山本は数人だけでなく、より多くの選手が向上心を持って日々を過ごすことを求める。「去年、Aチームで経験したメンバーがもっとという向上心を持ってやれれば、下の方もついてくると思う。自分たちも今日の結果に満足せずに明日から(その思いを)強くしてやっていきたい」と力を込めた。

 注目CB山本は個人としてもプロ入りを目指すシーズンだ。ここまでの2年間は期待されながらも怪我に泣いてきた。だが、早生まれの選手として出場した昨年の国体で抜群のパフォーマンスを見せ、U-16青森県選抜を初の決勝へ導くなど、実力は世代トップクラス。今年も東北新人大会期間中に負傷離脱しているが、強い意志を持ってチームに戻り、この日は左右両足から繰り出す高精度のフィードやゴールでアピールした。

「プロになるならばミスを一つもしないくらいの気持ちでやらないといけないと思っていますし、自分が一番やるんだという気持ちでやりたい。DFで一番大事なのは守備のところだと思うので、1対1の守備や周りの状況を見てカバーのタイミングだったり、今年はそういうところもやっていきたい」。この日は快勝を収めたが、テーマの被シュートゼロには遠い8本のシュートを打たれている。個人の目標、そして「一度も負けないチーム」というチームの目標を達成するため、厳しさを持って成長を目指す。 
 
(取材・文 吉田太郎)

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