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[MOM4239]大社FW岩田凌汰(2年)_中体連出身、06世代の俊足ストライカーが米子北から2発

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前半5分、大社高FW岩田凌汰主将(2年=松江市立湖東中出身)が右足で先制ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.19 中国高校新人大会3位決定戦 大社高 3-2 米子北高 Balcom広島]

 中国高校新人大会の3位決定戦で06年早生まれの俊足ストライカーが躍動した。大社高(島根)FW岩田凌汰主将(2年=松江市立湖東中出身)がプレミアリーグ勢の米子北高(鳥取)から2得点。特に、退場者を出して数的不利の状況で迎えた後半33分の決勝点は、インパクトがあった。

 後半21分、大社は守備の要・CB山岡楽太郎(2年)が身体でシュートブロックに行ったところ、手で決定機を阻止したという判定で一発退場。主審が別の選手にレッドカードを提示するなど混乱もあった。その後PKを決められ、2-2。チームには動揺した空気感もあったという。だが、主将の岩田は「大丈夫だから」とチームを落ち着かせて1チャンスを狙い続けた。

 そして、試合終了2分前の33分、大社はショートカウンター。MF佐々木碧(1年)のスルーパスに反応した岩田が、飛び出してきたGKを右側から抜き去る。そのまま右足シュート。決して得意ではないという1対1からの一撃が、チームを救う決勝点となった。

「本当に緊張したんですけれども、嬉しかったです」

 今大会初戦で目を負傷し、前日の準々決勝と準決勝は医師の判断によって欠場した。それでも、この日は、前半5分に先制点。ゴール前の混戦からボールを奪いに来るDF2人をしなやかな動きで外してゴールへ蹴り込んだ。その後も前線でボールを収め、抜群のスピードでDF裏を強襲。鋭い切り返しの連続でDFを抜きにかかるシーンもあった。

「ここ1、2か月練習試合を積み重ねて来る中で中国相手も練習試合を積み重ねてきたんですけれども、『通用するな』という手応えが自分の中であった。フィジカル面とかまだまだですし、米北さんはぐいぐいプレッシャーを掛けてくるのでそういう相手に対して周りへ落としたり、あとはもっと身体を使いながら自分で行ったりできればもっと特長を出せる」

 恩師の後長直樹監督は「ちょっと硬いんですけれども、面白いと思う」と期待。1年時に選手権出場。2年連続でU-16島根県選抜に入り、一歩一歩成長を遂げてきた。現在、身長は178cmで体重も70kg近くまで増加。そして、米子北を苦しめた得意の裏抜け、スピード、キレ……まだまだ荒削りだが、魅力的な素材だ。

 指揮官は「山本吟侍はこれくらい(身体が)太いぞ」と同じ中国地区の06年早生まれストライカーで、U-17日本高校選抜でもあるFW山本吟侍(高川学園高2年)を比較材料として本人を刺激。岩田は「自分にベクトルを向けてやっていかないといけない。(ただし、山本は)特長も似ているので越えていかないといけない」と隣県のライバル超えへ意欲を見せている。

 そして、「鹿島アントラーズが好きなんですけれども、上田綺世選手や鈴木優磨選手のような『ザ・FW』。『オレが点取って活躍する』みたいな、そんな選手になりたいです。今は高卒プロを目指している。一番はそこにあるんですけれども、他も大学も視野に入れつつ(将来は)絶対にプロになりたい」と力を込めた。中国大会では大学関係者たちの前で活躍。大社は今年、県リーグへ降格してしまったが、可能性を信じて成長、アピールを続け、チャンスを掴む。

(取材・文 吉田太郎)

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