beacon

[MOM4240]青森山田DF小林拓斗(2年)_1G1A!青森山田の「鉄人」が躍動

このエントリーをはてなブックマークに追加

青森山田高DF小林拓斗は1ゴール1アシストの活躍

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.23 ガバナー杯兵庫ユースサッカー2023 青森山田高 2-1 長崎U-18 三木防災陸上]

 今月10日からスタートした青森山田高の春の遠征はすでに8試合を消化したが、DF小林拓斗(2年)がピッチから離れたのは、大差がついたサニックスカップのグループステージ第2戦の終盤のみ。アップダウンを繰り返し、どのポジションよりも消耗が激しいSBとは思えないタフさで、正木昌宣監督が「鉄人」と評するのも頷ける。決して、体力があるタイプではなく、「気持ちで走っている」と本人はいうが、試合終盤でも右サイドでアップダウンを繰り返す姿は魅力的だ。

 長崎U-18戦は彼の魅力が良く出た試合だった。「サニックスカップから3日空いていた。昨日しっかり調整したのでコンディション的には問題なかったけど、試合勘が足りなかった」と口にした通り、序盤はチーム全体で上手く行かない場面が目に付いたが、時間の経過と共にゴールへの姿勢が高まっていく。

 チームのボルテージが上がっていくと、小林の持ち味である攻撃参加もより活きてくる。「自分が受けてゲームメイクというよりは、サイドハーフが持てるので、付けて貰って、自分が関わって、3人目で崩して行くのが多い」と話す小林は、タイミングよく右サイドを3人目として飛び出し、クロスから見せ場を作った。

 一つ目の決定機は、前半30分。DF小泉佳絃(2年)の縦パスがFW米谷壮史(2年)に渡ると、小林はタイミングよく3人目の動きで右サイドをオーバーラップ。「受けた時に奥がしっかり見えていたので、GKを越えるふんわりとしたボールを入れました」とイメージ通りにクロスを上げると、MF川原良介(2年)がヘディングシュートを叩き込んだ。

 続く33分に思い切り良い攻撃参加で、右CKを獲得。MF杉本英誉(2年)がゴール前に入れたボールは相手GKに弾かれたが、ゴール前にいた小林は「最初に自分が触れないと、思ったので、すぐセカンドボールに切り替えた」と真っ先に落下点を予測し、移動。「良い所に落ちたので、しっかり狙いました」と冷静にゴールネットを揺らした。攻撃面ではチームを勝利に導く活躍だったが、「試合としては最後に失点したので良くない」と反省を口にしたように、今後は守備に磨きをかけ、存在感を高めるつもりだ。

 生まれは大阪府だが、「サッカーにしっかり焦点を当てて頑張りたいと思った」と親から教わった青森山田中学へと進んだ。早くに親元を離れる決断を下すのは簡単ではない。慣れない環境で、寮生活をしなければいけない難しさもあるが、「入ったら寮生活でも全員が同じ立場でやっているので、泣き言を言っているわけにはいかないという気持ちでしっかり6年目を迎えることができました」。プレーからは自身が下した決断は間違いでなかったと思っているという。「青森山田では人間性や私生活の部分をしっかり拘っているからこそ、サッカーだと教わった。人として成長できたおかげで、サッカーが成長できているかなと思う」。

 青森山田の歴代右SBにはDF室屋成(ハノーファー)を筆頭に錚々たる顔ぶれが名を連ねている。「先輩たちは憧れですが、一番のSBを目指している。先輩たちを見ながら、自分の長所である攻撃のところを活かしていければ、もっと良いSBになれるかなと思います」。来週から始まるプレミアリーグでも、鉄人の躍動が見られそうだ。

(取材・文 森田将義)

TOP