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名門校の攻守の柱、DF梅木怜とFW横山夢樹がプロでの挑戦を決意。自覚を持って成長続け、帝京、今治の力に

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FC今治に内定した帝京高のDF梅木怜(左)とFW横山夢樹

[4.1 高円宮杯プリンスリーグ関東1部第1節 帝京高 2-2 健大高崎高 帝京北千住G]

 名門・帝京の攻守の要が今治で挑戦する。3月22日、FC今治は24年シーズンの新加入選手として帝京高(東京)のDF梅木怜(3年)とFW横山夢樹(3年)の加入内定を発表。梅木は昨年、2年生ながら主力CBとしてインターハイ準優勝に貢献した実力派のDFだ。また、横山はU-18日本代表候補の注目アタッカー。その2人が、新シーズン開幕前に「最初に声を掛けてくれたので」「自分のスタイルに合っている」「雰囲気が良い」「みんなが上を目指している」と今治入りを決断した。

 2人は今年、今治のキャンプに参加。右SBとしてプレーした梅木は、3日目の怪我で離脱したが、「1日目と2日目、自分のプレーが結構できた。(元日本代表監督で代表取締役会長の)岡田(武史)さんとも喋って、早いうちに上のカテゴリーでやった方が伸びるんじゃないかと言ってもらえて、その言葉が結構決め手となりました」。自分のマークを捨ててでも前に出ることを求められた中、インターセプトや奪ったあとの繋ぎの質の高さでも評価を得たようだ。

 一方、帝京の新エースFW横山は今治で主にボランチとしてプレー。「一番評価されたところは前を向くところだと思います。試合でいきなりボランチで出たのでびっくりしたけれど、ターンからのドリブルやスルーパスが評価されたので。ボランチはボランチで楽しい」。横山が他のオファーを待つのではなく、J3の今治を進路に選んだのは兄の影響もあるようだ。兄・FW横山歩夢はJ3の松本でブレイクし、今年からJ1の鳥栖でプレー。「出れる確率が少しでも高いのであれば、今治で少しでも成長したい」という思いを持って今治から飛躍を目指す。

 戦後最多の選手権優勝6回を誇る名門校の攻守の柱が同時にプロ入り。横山は梅木について、「(彼の凄さは)カバーリングの速さと守備の貢献度。イギョラ(カップ、3月)は怜がいなくて失点しまくって、みんなも怜がいなければダメなんだと分かったと思いますし、安心感というのがいるだけで違う」と説明する。

 また、梅木は横山について「チームにとって欠かせない存在です。(プレシーズンも)点を取っているのが夢樹ですし、夢樹が欠けると得点力も下がると思う。一人で打開できるので夢樹に(ボールを)当てればというのも少しある。前では一番頼りにしている存在です」と信頼を口にした。

 梅木は今治で得られたものについて、「練習からの強度の高さとかフィジカル面の足りなさとかプレスの速さとか学ぶことができました。判断の速さが大事で、そこを学べたのでここ(帝京)で活かしていきたい」という。

 プロの世界で学んだことを表現する戦いが始まった。1日に新シーズンが開幕。帝京はプリンスリーグ関東1部初戦で健大高崎高(群馬)と対戦した。CBとして先発した梅木はPAへ抜け出してきた相手選手を完璧にブロックしたほか、スピードを活かしたインターセプト、カバーリングを随所で披露。前半21分には見事なサイドチェンジで先制点の起点になった。

 また、横山は1対1の仕掛けでほぼ止まらず。狭い局面でもボールをキープし、加速力を活かして一気に前へ抜け出した。そして、PAでもDFをかわしてシュート。特に前半は違いを見せつけていた。チームは後半立ち上がりまでに2点をリード。だが、前に出た梅木の背後を味方がカバーしきれずに2失点し、横山は追いつかれた直後の決定的なシュートを相手GKのビッグセーブに阻まれた。プレミアリーグ昇格、選手権日本一を目指すシーズンのスタートは2-2ドロー。悔しさを滲ませた2人は、今治内定選手としての自覚も持ってチームを勝たせることを誓った。

 帝京は昨年、インターハイで全国2位となったが、選手権予選敗退。また、プリンスリーグ関東1部2位で出場したプレミアリーグプレーオフで勝ち上がり、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグ昇格まであと1勝まで迫ったが、参入決定戦で惜敗している。

 横山は「チームの中心となって結果でチームを助けて、あそこで決めないとチームも勝てない。もっと1本1本のシュートにこだわっていかないといけない。去年出れない悔しさがあった。だから、今日出れなかった人たちの悔しさも分かりますし、チームが勝つことが重要になってくると思うので全国に連れて行って、ああいうシュートも決めれるように練習からシュートに命懸けるような気持ちでやっていきたい」と語る。

 また、梅木も「しっかり(プロとしての)自覚を持って、自分だけ良くてもチームが勝てなかったら意味がない。去年出ていたので(全国大会の)緊張感が分かるのは自分とかしかいない。経験した自分たちでしっかりチームを盛り上げていけるようにしたい。それが(去年悔しい思いをした)先輩とかの願いでもあると思う」と力を込めた。

 2人は将来の目標として「日本代表」を掲げる。それを実現するために今治で成長する意気込みだ。梅木は「早く今治の力になれるように日頃から頑張ってやっていきたい。積極的な守備とか見て欲しいです。(今年)デビューしたいけれど焦らずにやりたい」と語り、横山は「出たら高校生とか全然関係ないと思うので、(今年から)今治の力になりたいです」と誓った。2人は帝京の公式戦の合間を見て、今治の活動に参加する模様。中心選手として帝京の勝利に貢献し、今治の力になる。

(取材・文 吉田太郎)

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