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[MOM4245]川崎F U-18FW岡崎寅太郎(3年)_圧巻の2ゴールで開幕勝利に貢献!9番の新エースは2023年も”寅年”に染め上げる

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川崎フロンターレU-18FW岡崎寅太郎(3年=川崎フロンターレU-15出身)は圧巻の2ゴールで開幕勝利の立役者に

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.2 プレミアリーグEAST第1節 川崎F U-18 3-0 前橋育英高 Ankerフロンタウン生田]

 エースと呼ばれる選手には、ゴールを決めなくてはいけない試合が必ずある。この日は間違いなくそのタイミング。それで2得点を奪ってしまうのだから、やはりそういうことなのだろう。

「今日は2得点獲れて良かったですけど、得点王を目指すには毎試合2得点を決めるとか、大事なところでのゴールにこだわらないといけないと思っているので、そこは毎試合意識してブレずにやっていきたいです」。

 プレミアリーグの開幕戦であり、Ankerフロンタウン生田のオープニングマッチで、きっちり主役をさらっていった川崎フロンターレU-18(神奈川)の9番を背負うストライカー。FW岡崎寅太郎(3年=川崎フロンターレU-15出身)は自分が残し続ける結果で、2023年を名実ともに“自分の年”にする覚悟を定めている。

 攻めあぐねた前半だった。前橋育英高と対峙したホームゲーム。相手の勢いに序盤はやや気圧され、少しずつ自分たちの時間を作り出していくものの、なかなか決定的なシーンは作れない。「しっかりチームで『焦れないように』ということはみんなで言っていました」とは岡崎だが、最初の45分間は無得点で終わる。

 後半6分。ストライカーにチャンスが訪れる。左サイドをMF志村海里(3年)が縦に運ぶと、すぐにイメージは共有された。「海里が縦に行ったらだいたいいつもあのへんにボールを上げてくれるので、そこに飛び込んでいこうと思っていました」。ニアに走り込んだ岡崎がヒールで合わせたボールは、ゴールネットを揺らす。

「試合前にもラウタロ・マルティネスのボレーも見ていて、結構インスピレーションをもらっていたので、それが良い感じに出たのかなって。『かかとで先にさわれるかな』と思って、さわったら良いところに飛んでくれました」。難易度の高いヒールボレーで、チームにとっても大きな先制点を記録する。

 15分。ストライカーに再び決定機がやってくる。ここも左サイドをDF柴田翔太郎(2年)が駆け上がると、試合前に交わした会話がフラッシュバックする。「柴田が『オレのクロスに入ってきてくれ』とメッチャ言っていて、『コイツ、やってくるんだろうな』と思っていたんです(笑)」。プルアウェイの動きから、ファーサイドへ流れた岡崎が合わせたシュートはいったんクロスバーに弾かれるも、自らこぼれを豪快にゴールへ叩き込む。

 先に取材に応じていた柴田が「トラには試合前からずっと『入って来い』と話していたので、決めてくれたのは良かったですけど、正直さっき『1本目で決めてくれ』とは言いました(笑)」と笑顔で話していたことを教えられると、「ロッカーでもさっき言われたんですよ。『アシスト消えちゃった』って怒っていたんですけど(笑)、そこは申し訳ないですね。次までに改善して、ちゃんとアシストを付けてあげたいです」とこちらも笑顔。チームに流れる良い雰囲気も垣間見える。

 さらに語り落とせないのは、その高い守備意識。前線からファーストプレスを担うのはもちろん、時には最終ライン付近まで戻って、本気でボールを奪いに行くプレスバックはもはやデフォルト。ただゴールを挙げるだけのアタッカーではないことも、この男の価値を一層高めている。

「去年は開幕戦のちょっと前にケガをしてしまって、かなり出遅れた部分があって、今年は絶対に開幕戦は結果にこだわってやろうと思っていたので、今日はゴールという形でそれを現わせて、自分にとっては最高の結果に近いんじゃないかなと思います」。8本のシュートで2ゴールを挙げた岡崎の躍動が、チームに大きな開幕戦の白星をもたらした。

 今シーズンは背番号も20番から、いわゆるストライカーナンバーの9番に変わっている。「自分が1年生の時に目標にしていた田中幹大くんが背負っていた番号ですし、去年は(五木田)季晋くんが背負っていた番号で、点を獲らなきゃいけない番号だと感じているので、そこは責任を持って、しっかりチームを勝たせられる点を獲らなきゃいけないと思っています」。目指すのはプレミアEASTの得点王。そのためにも、獲れるゴールはすべて獲り尽くす。

 以前、岡崎は自身の名前について「名前は『男はつらいよ』の“寅さん”からです。自分は下町育ちなので、その由来で付けたらしいです。覚えやすいと思いますし、学校では『トラ』って気軽に呼んでもらえるので、そこは結構気に入っているところではあります」と話していた。

 シーズンを通じてリーグ戦で8ゴールをマークし、ファイナルでも得点を記録した2022年の干支は“寅”。偶然の一致ではあるが、自身の名前が冠された昨年は飛躍の年になった。だが、これからの未来を考えても、より大切になってくる今年も自分の年にする必要が、この9番には間違いなくある。

 川崎F U-18のエースストライカー。岡崎は他を圧倒するほどの活躍と結果で、2023年の1年も“寅年”に染め上げる。



(取材・文 土屋雅史)

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