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ともに自分たちで行動し、貪欲に成長を目指す世代。流経大柏vs尚志のプレミアEAST開幕戦は0-0ドロー

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流通経済大柏高MF田中ショーン涼太(左)と尚志高のU-18日本代表候補MF神田拓人が激しくボールを奪い合う

[4.2 高円宮杯プレミアリーグEAST第1節 流通経済大柏高 0-0 尚志高 流通経済大柏高G]

“高校年代最高峰のリーグ戦”高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023EASTは2日、第1節2日目を行い、流通経済大柏高(千葉)対尚志高(福島)戦は0-0で引き分けた。

 4年ぶりにプレミアリーグへ復帰した尚志、ホームで昇格組を迎え撃った流経大柏ともにやや硬さの見える立ち上がりだった。尚志は相手のハイプレスに飲み込まれないため、特に序盤はシンプルに前線へ配球。その中で、U-17日本高校選抜の高速MF安齋悠人(3年)が左タッチライン際でタックルをかわして一気に前進したほか、右の10番MF若林来希(3年)からのラストパスがチャンスに結びついた。

 だが、流経大柏はCB高橋力也(3年)がU-18日本代表候補FW網代陽勇(3年)のシュートをブロックしたほか、抜群のスピードで抜け出してきた安齋をストップする。また、MF中田旭主将(3年)とMF古川結翔(3年)のダブルボランチが守備面で健闘。尚志も相手の縦に速い攻撃をU-17日本高校選抜CB市川和弥(3年)とCB高瀬大也(3年)が良く食い止め、U-18日本代表候補MF神田拓人(3年)が得意のインターセプトを連発していた。

 その尚志は前半31分、右SB冨岡和真(3年)が相手のプレスを剥がしてCBの背後へ絶妙なフィード。これに反応した網代が左足ダイレクトで狙うも枠を捉えることができない。一方の流経大柏は時間が進むに連れて166cmのFW柚木創(2年)が存在感を放っていく。ボールに触る回数を増やし、バイタルエリアで失うことなく3度4度とドリブルからチャンスメーク。チームもダイレクトのパスで差し込む回数が増えるなどボールが動くようになり、MF田中ショーン涼太(3年)の身体能力の高さや柚木のアイディア、テクニックも活用した攻撃で尚志ゴールへ迫った。

 尚志は42分、網代が左サイドでDFと入れ替わり、FW桜松駿(3年)がシュートを狙うも流経大柏DFがブロック。流経大柏も直後に右サイドを抜け出したFW田口来輝(3年)がクロスを上げ切り、最後は柚木が飛び込むがわずかに合わない。

 流経大柏の榎本雅大監督は「(尚志の)ボール離れが速いので、うちのプレッシャーがハマらなかった。もうちょっとサイドを使って攻めたかったけれど、出させてくれなかった」と振り返る。サイドの選手を入れ替え、攻めるポイントとして強調したが、中盤、前線の選手のサポートが速い尚志はパスコースを消し、チャンスを作らせない。

 そして、日本高校選抜の活動で不在の仲村浩二監督に代わって指揮を執った小室雅弘コーチが、「(立ち上がりは大きくやらせて、その後は)とにかく引っかかっても構わないからやってみろ、と伝えていたので冷静に繋げたところもあった」と振り返ったように、後半はボールを保持する時間も増加。若林が中央を切り裂く形でドリブルシュートへ持ち込み、安齋の弾丸ミドルがゴールを脅かす。

 流経大柏はいずれもGK土佐昂清(3年)が反応。流れを掴んだ尚志は中央へポジションを移した安齋が抜群の推進力で流経大柏を苦しめ、相手の守りにできたわずかな隙を交代出場FW笹生悠太(3年)らが突こうとする。だが、流経大柏は後半も高橋が好守を連発。また、U-17日本高校選抜CB塩川桜道(3年)が相手エースの網代に厳しいチェックを続けたほか、ヘディングで幾度も跳ね返していた。終盤、サイド攻撃、セットプレーも含めて互いにチャンスを作ったが、決め切ることができずに試合終了。迫力のあった攻防戦はドロー決着となった。

 流経大柏の榎本監督は今年の3年生について、「やる気が凄いので、選手の。頭が下がる。自分たちでミーティングをするし、掃除、片付けも。僕はあんまりやることがないです。(2年生の台頭が予想されたが)3年生の粘り、成長は凄い。まだ伸びしろがあると思う」と説明する。個性的な選手の多い新2年生に負けじと努力した3年生は、プレシーズンから活躍。この日も一体感のある戦いを見せた。

 高橋は「凡事徹底というスローガンを上げているので、今年は。ピッチ内でも、ピッチ外でも準備の部分では他のチームよりも自分たちのチームが一番やっていると思う。(上手くいかない時期でも)全員でメンタルもブラさないで一丸となって良い雰囲気を作っていければ、自分たちが目標としている日本一には届くと思うので、そういうところをピッチ内でもピッチ外でもやっていきたい」という。

 一方の尚志も小室コーチが「個性的だし、練習量が多い。楽しみ。彼らには『日本一練習するやつが一人いたら日本一になれるよ』と言っていた。(それに対して、この学年は仲村)監督に『オマエら練習するんじゃないぞ』と言われても練習に来ている。(成長への意欲が強く、)だから、伸びしろがある。スポーツなので結果はどうなるか分からないけれど、(日本良いtに)値する人間たちになるんじゃないか」という世代だ。

 網代も「一人一人が意識高いというか、マジメ。自主練も練習も真剣に取り組めている」という今年の尚志。網代や安齋、神田ら注目選手が多く、市川は「プレミアで結果を残すとともにまだ全国制覇をしていないので、まずは決勝戦に尚志はいけていないのでまずはインターハイで決勝戦へ行って、選手権で全国を取りたい」。自分たちが初の日本一など歴史を変えるという思いが強い。流経大柏は中田、尚志はDF渡邉優空(3年)というリーダーを中心にピッチ外でも意識の高い世代だ。この日、互角の戦いを見せた一方、ラストの精度など両校とも課題があったことも確か。互いに日常、“高校年代最高峰のリーグ戦”の中で貪欲成長しながら目標達成を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
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