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山口維新サッカー大会に山口県内外の強豪8チームが参加。PK戦で帝京長岡を下した佐賀東が頂点に

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佐賀東高が山口維新サッカー大会の頂点に

[5.5 山口維新サッカー大会決勝 佐賀東高 3-3(PK5-3)帝京長岡高 キリンレモンスタジアム人工芝多目的G]

 全国の強豪6チームを高川学園高レノファ山口FC U-18の山口県の強豪2チームが迎え打つ山口維新サッカー大会が3日から5日にかけて行なわれた。大会は「山口県のサッカーを活性化させたい。通過されがちな場所である山口県に寄っていって、魅力を感じて欲しい」という防府市のサッカー関係者の想いによって昨年からスタート。20年以上前に防府に国見高(長崎)や鹿児島実高(鹿児島)らを招いて行なわれていた毛利杯というフェスティバルを復活させる意図もあったという。

 今大会には帝京長岡高(新潟)、京都橘高(京都)、米子北高(鳥取)、徳島市立高(徳島)、佐賀東高(佐賀)、神村学園高(鹿児島)という各地域を代表する強豪6チームが参加。大会運営も担当する高川学園と山口U-18を交えた8チームが2ブロックに分かれて、リーグ戦を行い、最終日には順位決定戦を行なった。並行して、各チームのBチームが防府商工高、防府高の公立高と対戦するのも今大会の特徴。山口県サッカー協会の植野真生副会長は「Bチームとはいえ、全国のトップチームとやれる機会はなかなかない。防府のサッカー熱の高まりや、サッカー人口の増加に繋がれば」と期待を寄せる。

 最終日に行なわれた決勝へと駒を進めた1つめのチームは、グループリーグ2勝1分の佐賀東。もう1チームは3日にプリンスリーグを終えてからの参戦というハードなスケジュールながらも、2試合連続で4ゴールを奪った帝京長岡となった。両校の対戦は新チームになって1月の裏選手権、3月の練習試合と合わせて3回目。「佐賀東は本当に強い。シーズンが始まって色んなチームとやっているけど、プレッシングとスピード、連続性で言うと一番」と帝京長岡の谷口哲朗総監督が舌を巻いた通り、過去2回は佐賀東が勝利している。

 この日も序盤は佐賀東のペースで試合が進む。「昨日、一昨日はシュート数が少なかったので、今日は増やそうと思っていた」と口にするFW最所大星(3年)が、前半3分に相手のクリアミスをボレーで叩き込み先制点をマーク。13分にもクロスを味方がヘディングで折り返した所を頭で押し込み、ストライカーとしての仕事を果たした。

 佐賀東が2点リードで迎えた後半は、帝京長岡が意地を見せる。「佐賀東さんには2連敗していたので今回は勝ちたかった。前からのプレッシャーに苦しめられて、まだまだ練習が足りないと思ったけど、後半は前半にできなかった相手を見る所をしっかり改善できた。みんなで、下で繋ごうと共有できたからゴールに近付けた」。MF原壮志(3年)がそう振り返ったように、帝京長岡らしい高いテクニックで相手をかわしながら攻撃を前進させると、後半6分にはカウンターからFW堀颯汰(3年)がゴールネットを揺らした。

 直後に佐賀東DF江頭瀬南(2年)の左クロスから、MF右近歩武(3年)に決められたが、16分には帝京長岡FW新納大吾(2年)がギャラリーを沸かせるゴラッソ。23分にはロングボールから相手DFの背後をとったDF松岡涼空(3年)が技ありなループシュートを決めて、3-3で前後半を終えた。迎えたPK戦では「今年トップチームに上がったばかり。PKになった瞬間、自分がやってやろうと楽しみにしていた」と話す佐賀東のGK中里好佑(2年)が2本のキックをストップ。キッカーも全員がゴールネットを揺らし、大会の王者となった。

 試合後、佐賀東の最所が「ハイプレスが課題だったけど、今大会は前から奪えて攻撃できたのが収穫。ただ、全国レベルの相手だと獲りきれない場面もあったので獲りきれるようにしたい」と話した通り、普段できないチームと対戦するからこそ感じられた物は大きい。

 帝京長岡の原も「普段のプリンスリーグでは対戦出来ない西日本の強豪とやれてできた部分とできなかった部分が分かったのは大きい。これからインターハイが始まり、負けたら終わりの一発勝負の試合が続く。今日みたいなPK戦も勝ち切れるように際に拘ってやっていきたい」と続ける。山口県での繰り広げられた3日間の熱戦を力に変え、各チームがインターハイ、選手権で再会できるよう誓った。

(取材・文 森田将義)

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