[5.7 高円宮杯プレミアリーグEAST大宮U18 1-3 青森山田高 大宮アルディージャ練習場]

　勝ちたいという思いを青森山田高の選手以上に表現していた。大宮アルディージャU18(埼玉)のCB市原吏音主将(3年=大宮アルディージャU15出身)は、高校年代屈指の強度を誇る青森山田相手に気迫溢れる90分間。エアバトルを繰り返し、ダイビングヘッドやスライディングタックルでクロス、突破をストップした。

「どの試合も気合が入るんですけれども、山田は一番気合入るし、山田の得意なロングボールやセットプレーは自分の強みでもあるので、そういうところは自分が抑えて勝ちたいって誰よりも多分思っている」。チームはここまで1分3敗。キャプテンの自分がやるべきことは分かっていた。

　強い雨と風の中、体を張って競り勝ち続けるなどチームを勇気づけるようなパフォーマンス。泥臭く戦う主将をはじめ、大宮U18の選手はよく戦っていた。市原が「(先輩CB小澤晴樹、現明治大同様)自分がミスしてもカバーしてくれるし良い関係でやれている」「ライバル」「意識し合える関係性」というCB真壁拓海(3年)も堅守を発揮。4バックを中心に各選手が集中して戦い、青森山田が流れの中から得点を奪うことは困難なように映った。

　森田浩史監督も「DFの選手だけじゃなくて11人全体で守備をするというところはみんなハードワークしてやってくれています」と評価。右SB 浅井一彦(3年)のゴールで前半を1-0で折り返したが、風下の後半にセットプレーやその流れから失点するなど3点を奪われて逆転負けした。

　指揮官はまず攻撃面の課題を指摘した上で、強みになっている守備についても改善の必要性を口にする。「(失点は)セットプレーからだけれどもセットプレーを与えた流れはどうなのか。そういうところもしっかりと検証しながら、どうしたらその失点を減らせるか。今5試合やって全試合失点している訳なので、それをどうやってゼロにしていくか、さらにやっていく必要があるかと思います」。また主力選手の奮闘や積極的な声を認めた上で、それを11人が表現し、レベルアップすることも求めていた。

　市原は「正直、自分的には流れの中で今年やられる気がしなくて、流れの中で今までもやられていなくて、セットプレーとか事故で失点してしまったり、自分たちのミスでの失点が多くてほぼそこで失点している。昨日もセットプレーを中心に練習したんですけれども、それでもまだ足りていないし、責任をもっと持って全員がやらないといけないので、試合どうこうというよりも練習からもっと自分たちが意識高くやるべきかなと思います」。五分五分のボールを奪われたり、わずかなミスなど細部が差に。それだけに、日常からより意識高く取り組む考えだ。

　苦しいスタートになっているが、まだシーズンは始まったばかりだ。市原は「去年は凄い先輩たちがいっぱいいて、その先輩たちに寄りかかっていた部分があったんですけれども、今年はより一層自分の足で立つだけじゃなくて後輩のカバーもしないといけない。1年生から試合に出させてもらっているこのクラブに、結果で恩返ししたいというのが今年一番の自分の目標なので、結果が出ていないんですけども、クラブユースとか後期も全然試合もあるので、ここから盛り返していけるように日々成長していければいきたいなと思います」と誓う。

　そのためにやるべきことは変わらない。「自分が必死になって頑張っても勝てないのが現状なんですけれども、自分が辞めてしまうとチームはもっと落ちてしまうと思うので、自分は今年一年最後まで怪我なく戦い続けたいと思います」。ブレずにチームメートを巻き込みながら継続し、必ず巻き返す。

(取材・文　吉田太郎)

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