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「今後の成長に繋がる」初優勝!白鴎大足利が栃木県1位として関東高校大会Aグループへ

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白鴎大足利高が関東大会予選初優勝

[5.10 関東大会栃木県予選決勝 佐野日大高 0-1 白鴎大足利高 栃木グ]

 令和5年度栃木県高等学校総合体育大会サッカー大会兼第66回関東高校サッカー大会県予選決勝が、10日に栃木県グリーンスタジアムで開催された。白鴎大足利高が新人戦優勝の佐野日大高に1-0で勝利。初優勝を果たしている。

 今回の関東大会予選で初の4強、初の決勝進出を果たした白鴎大足利が、初優勝の快挙だ。白鴎大足利は、足利学園高時代の91年と現校名に変更後の94年にインターハイ出場。それ以降は目立った活躍をしてきた訳では無い。昨年の最高成績も県ベスト8だ。

 それでも、「ウチに来てマジメに一生懸命取り組みたいという栃木県内の子たち」(加藤成信監督)で構成されたチームは今大会、準決勝で伝統校・真岡高にPK戦で勝利して初の関東大会出場決定。序盤戦でMF大貫健真主将(3年)が負傷離脱したものの、指揮官が「選手がやるべきことを理解してくれて、毎試合毎試合素直に実直にやってくれた」と感謝したように、決勝でも各選手がやるべきことを焦らず、堂々とやり抜いてタイトル獲得に結びつけた。

 序盤、主導権を握ったのは1月の選手権全国8強、県新人戦に続く2冠を狙う佐野日大だった。選手権でも活躍したGK平岡倖輝(3年)とDF原朝哉(3年)が怪我で不在だったが、全国大会経験者のMF福田一樹主将(3年)や10番MF小田智輝(3年)を中心にボールを保持する時間を増やし、相手を押し込もうとする。

 白鴎足利は本来ポゼッションを得意とするチームで、中学時代にそのスタイルに憧れて入学してきた選手も多い。だが、決勝では早めにボールをゴール前に入れてくる佐野日大を意図的に引き込み、カウンター攻撃を狙う戦い方が効果を発揮していた。

 白鴎足利は、加藤監督が「あそこで2年生が良く頑張ってくれました」と評価したMF長澤蓮音(2年)とMF三浦涼(2年)が中盤の底の位置で奮闘。特に170cmの長澤が幾度も相手のロングボールを頭で跳ね返していた。

 また、ゲーム主将のDF中村大知(3年)、180cmDF高松想大(3年)、DF田中陵駕(3年)の3バックが対人守備で健闘していた。ボールを奪うと、司令塔のMF川原隼(3年)を経由して俊足エースFW高井継斗(3年)へ。高井は浮き球を胸で収めるなど起点になったほか、スピードに乗った仕掛けで攻撃を勢いづける。同じくスピードのある左WB中田悠人(3年)ら特長を持つアタッカー陣がチャンスを狙い続けた。

 一方でGK柿沼綾斗(3年)や高松が相手のハイプレスに慌てることなく、個で剥がしてボールを前進させるシーンも。だが、佐野日大は187cmDF緒形一真(3年)が抜群の高さを見せたほか、DF須永大成(3年)が落ち着いてチームをコントロールしていた。危ないシーンもあったが、0-0で前半を折り返すと、後半立ち上がりにプッシュする。

 184cmFW飯田瑛也(3年)の突破からMF成田栞(3年)がチャンスを迎え、左CKから185cmDF中澤陸(2年)が決定的なヘディングシュート。だが、これは白鴎足利GK柿沼がゴールラインギリギリでストップする。佐野日大はキープ力の高いFW山口大惺(3年)や小田を軸に攻めたものの、単調なクロスを跳ね返されるなどなかなかシュート数を増やすことができない。

 逆に白鴎足利が少ないチャンスをモノにする。17分、右サイドでセカンドボールを拾った高井が斜め前方のFW三田惹斗(2年)へ繋ぐ。前を向いた三田は迷わずミドルシュートにチャレンジ。バウンドしたボールを右足で叩くと、ドライブ回転した一撃がGKの頭上を越えてゴールに突き刺さった。

 前半32分に投入された“切り札”三田のゴールで白鴎足利が先制。佐野日大は選手交代を重ねながら、セットプレーを交えて反撃する。そして、バイタルエリアまでは前進していたが、慌ててゴール前に入れてしまうシーンが多く、相手DF高松や長澤に跳ね返されてしまう。海老沼秀樹監督は「ウチが中途半端だった。やろうとしていることの技量、勇気が足りなかった」。高井を中心に攻撃姿勢も持ちながら試合を進めた白鴎足利が、1-0で勝利した。

 白鴎足利にとっては自信となる優勝だ。昨年から先発メンバーを半数以上残す今年、「関東は出るつもりでした」(高松)という大会で目標通りに関東切符獲得し、栃木制覇。プリンスリーグ関東所属の矢板中央高が参加していないものの、真岡、佐野日大という強豪を連破してタイトルを勝ち取った。

 加藤監督は「この大会やりながら、みんながマジメに取り組んでくれることが今後の伸びしろかなと感じていますね。子どもたちは自信を持って伸びるんじゃないかなと思っています。4つも初めてだし、決勝も初めてですし、優勝も初めてなので引き締めないといけないとは思いますが、1チームしかできない経験をできたので、本当に子供の今後の成長に繋がると思います」と頷く。

 今大会は警告、退場もゼロ。今後は栃木王者として見られることを日常から忘れず、また攻撃のアクセントを加える部分やよりレベルの高い相手に対する守備の準備をして関東大会Aグループ(都県1位チーム8校が出場)に臨む。高井は「自信になりました。栃木県1位の代表として恥じないように頑張っていきたいです」と宣言し、高松も「チャレンジャーとして全力出し切って頑張りたいと思います」。全力で勝利を目指し、強敵と戦う貴重な経験をまた次に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)

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