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山形ユースが仙台ユースの開幕連勝を7でストップ!ユースみちのくダービーを制す

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ユースみちのくダービー勝利を喜ぶモンテディオ山形ユースの選手たち

[5.13 高円宮杯プリンスリーグ東北第8節 山形ユース 1-0 仙台ユース 山形県総合運動公園第2運動広場]

 5月13日、ユアテックスタジアム仙台では明治安田生命J2リーグ第15節のベガルタ仙台対モンテディオ山形のみちのくダービーが行われ、仙台の勝利で幕を閉じた。その少し前、山形県天童市で、もう一つのみちのくダービーが行われていた。

 高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2023東北は、5月13日に第8節の5試合が行われた。山形県総合運動公園第2運動広場では、前節2位の青森山田高セカンドに勝利して勢いに乗る3位・モンテディオ山形ユースと、開幕から7連勝中で首位を快走するベガルタ仙台ユースが対戦した。試合前の両者の勝点差は4。山形ユースは1枠しかない東北のプレミアリーグプレーオフ出場権争いへの生き残りをかけて、一方の仙台ユースは山形ユースを勝点7差に突き放し、プレーオフ出場権争いでより優位に立ちたい、というリーグ前半戦山場の上位対決となった。

 前半から互いに持ち味を生かした攻撃を見せる。山形ユースはキャプテンFW木下晴陽(3年)、モンテディオ山形ジュニアユース村山出身の長身FW水戸部東次(1年)のパワーを生かし、早めに2トップにボールを預けて相手ゴールに襲いかかった。木下晴と双子のDF木下太陽(3年)のクロスボールや、DF千葉虎士(3年)のロングフィードから決定機をつくり出す。

 一方の仙台ユースは昨季から主力で活躍するボランチ、キャプテンMF各務剛良(3年)を中心に攻撃を組み立て、左サイドハーフMF河野和真(3年)のドリブル突破などから決定機をつくっていく。

 また、仙台ユースは「今までスタートで出ていなかったですが、パワーもあって受け方も上手なので、今日の相手なら歩夢の方が良いだろうと思って使いました」と木谷公亮監督が語った、FC多摩ジュニアユース出身の長身FW古屋歩夢(1年)が初先発。開幕戦の尚志高セカンド戦は途中出場でゴールを挙げ、第5節・東北学院高戦でも後半開始から入ってハットトリックを達成するなど、ここまで4ゴールの活躍を見せていた。古屋は指揮官の期待に応えてのヘディングシュートもあったが、惜しくも枠を捉えられず、前半は0-0で折り返す。

 後半は互いに前半からパワーを持って試合に入ったこともあり、足をつる選手が続出。ホームの山形ユースが押し気味に試合を進めるも、仙台ユースもGK近藤暖音(3年)、DF中田琉雅(3年)、DF吉田空斗(2年)を中心に守備陣の集中が途切れなかった。

 このままスコアレスドローかと思われた後半39分、山形ユースMF天野瑠成(3年)のコーナーキックからゴール前で混戦となり、千葉がオーバーヘッドキックをしたこぼれ球をDF青木拓真(3年)がゴールに押し込もうとするが、このキックが仙台ユースDFの腕に当たって、山形ユースにPKが与えられた。

 キッカーはプリンスリーグ東北得点ランキングトップを独走する木下晴。「普段からPKを蹴っていて、あまり緊張せずにリラックスして、コースに狙えたので良かったです」と落ち着いてゴール右上隅にPKを決めてリーグ戦通算11得点目。山形ユースがついに先制した。

 山形ユースはU-17日本代表候補GK上林大誠(3年)、千葉、青木を中心に、最後まで守備陣が落ち着いて仙台ユースの反撃をはね返し、1-0で試合終了。山形ユースは仙台ユースとの勝点差を1に詰める大きな勝利を挙げた。

 山形ユースの内山俊彦監督は仙台ユースを押し込む時間帯を長くできたことについて「自分たちはゲームモデルも攻守にわたってアグレッシブにやるということがあるので、90分しっかりゲームコントロールしながら主導権を持てたかなと思います」と、ビルドアップだけでなくロングフィードもうまく使いながらペースを握れたことに手応えを語った。

 そして、無失点で終えられたことについて内山監督は「GKとDFラインもそうですが、チーム全体で守備していることもあります。特にここ2戦は(失点)0で終えているので、チームの成長を感じています」と語る。

 また、センターバックの千葉は「相手は足下とポゼッションがうまかったので、できるだけ間を締めて声を掛け合ってカバーし合ってやっていました」と語り、コンビを組む青木も「青森山田セカンド戦の前までは自分たちは失点が多くて、センターバックの(千葉)虎士とかと話し合って、練習から自分はシュートを打たせないことや、1対1の間合いを心がけながらできたので、無失点につながったと思います」と守備の改善が実を結んだことを喜んだ。

 一方、初黒星を喫した仙台ユースの木谷監督は「もう少し得点チャンスに至るところまでのクオリティを上げて回数を増やせたらな、と。ビルドアップで運べるのは良いですが、いつもよりペナルティエリアの中に入っていけませんでした」と山形ユースのシュート14本に対し、シュート6本に抑えられた攻撃面での課題を述べた。また、相手のロングフィードに苦しめられたことについてGK近藤は「引きすぎたところがあって、はね返せるパワーがあれば良かったです」とラインが下がってしまい、防戦の時間帯が長くなってしまったことを悔やんだ。

「ゲームには負けましたが、やるべきことをやれている部分は大きいので、自分たちのやっていることを信じてまた練習していきたいです。年間通してこういう試合は間違いなくあるので、ここで今まで勝っていた時と違う試合後の感情の中で、どういうリアクションができるかが大事です。もちろん勝ちたいですが、(今回の敗戦は)彼らの成長にとっては必要なことだと思います」と語る木谷監督。気持ちを切り替え、ここまでリーグ戦で他を圧倒してきたビルドアップの質をもう一度改善し、今後の戦いに臨む。

(取材・文 小林健志)
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