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[MOM4295]市立船橋MF秦悠月(3年)_技巧派ボランチから進化。圧巻の走りと守備、貴重なアシストも

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市立船橋高MF秦悠月(3年=清水エスパルスジュニアユース出身)は献身的な守備に加え、貴重なアシストも

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.21 高円宮杯プレミアリーグEAST第7節 市立船橋高 2-0 前橋育英高 千葉県フットボールセンター]

 市立船橋高(千葉)は、非常に一体感のある戦いでエース不在のピンチを打破。今季初白星を挙げたチームの中で一際目立っていたのが、MF秦悠月(3年=清水エスパルスジュニアユース出身)だ。

 登録172cm、58kgで、元々はテクニカルなボランチ。守備面や高さに課題があったものの、波多秀吾監督は、「足元が秦はあるので、ボールを運ぶとか崩す時に良い」とプレシーズンから起用を続けてきた。そのMFがこの日は縦横無尽の動き。司令塔・MF太田隼剛(3年)のサポートを受けながら右へ、左へ、前へ、後ろへと走り続けてファーストディフェンスに行き、ボールを刈り取り、シュートをブロックしていた。

「前半、全然思った通りのプレーができなかったんですけれども、それだったら守備の部分とか走る部分でチームに貢献しようと思ったので走っていました」と秦。キレキレの動きでボールに係わり、後半18分には敵陣でこぼれ球を拾ってからクロスを上げる。

「みんなが奪ってくれて、こぼれてきて、自分のところに来てくれたので、中みたらタリクと目が合ってここしかないと良いボールが上げれました」。FW岡部タリクカナイ颯斗(2年)へピンポイントクロスを通し、2点目をアシストした。

 一週間前に丸刈りにしたというMFの動きは、後半半ばを過ぎても、試合終盤を迎えても止まらなかった。エースFW郡司璃来(3年)が前節の負傷で離脱。「郡司が抜けたら何もできない市船みたいなのは嫌だったので。『郡司がいないからこそ市船の強さを証明したい』と波多さんからも、みんなからも声が出ていて、郡司のせいにしないで自分たちでこの試合で勝とうと話していました」。その思いも込めてハードワーク。ボールを取られない、また守備では全て刈り取るボランチを目指すMFのパフォーマンスを波多監督も賞賛していた。

 高校進学時、清水ユースへの昇格を逃し、「絶対に日本一を取ろうと思って」千葉の名門校へ進学。球際・切り替え・運動量は市立船橋に進学してから身についたものだという。「市船入って全然球際とか戦えなかったんですけれども、練習とかみんなバチバチにやっていて、それで自分も刺激もらってやれるようにしないといけないと練習から意識したら結構行けるようになったかなと感じています」と説明する。

 ボランチのポジションには1年生から公式戦を経験している大黒柱・MF太田隼剛(3年)や守備能力の高いMF白土典汰(3年)がいる。ポジション争いのライバルは白土だった。「典汰は2年の頃から主力で出ていて、自分はずっとBチームだったので。そこで凄いなとは思っていたんですけれども、2年は無理でも3年になったら絶対に自分のポジションにしてやろうと思って負けたくなかった」。得意とする攻撃面だけではなく、守備や走ることで負けないことを目指して努力。その成果が今の姿に結びついている。

 チームを勢いづけたMFは試合後、清水の兵働昭弘スカウトから声を掛けられ、プレーの高評価とエールを受けたことを喜んでいた。憧れの選手は「トニ・クロースですね。正確無比なパスと落ち着きが好きです」と即答。将来、プロを目指すMFは攻守両面でよりチームに貢献できるボランチになってその可能性を広げる。 

(取材・文 吉田太郎)
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