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プロの練習で現在地を確認。市立船橋MF太田隼剛主将はより「怖いボランチ」へ

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市立船橋高MF太田隼剛主将(3年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)がスライディングタックルを決める

[5.21 高円宮杯プレミアリーグEAST第7節 市立船橋高 2-0 前橋育英高 千葉県フットボールセンター]

「勝ち切れない試合が続いたけれど、インハイ前というのがありますし、中断前の最後のホームなので絶対に勝利しようというのがある中で、勝利できたのは大きかったなというのと、きょうの試合無失点だったことも収穫だった」

 選手権優勝5回の名門・市立船橋高(千葉)MF太田隼剛主将(3年=鹿島アントラーズつくばジュニアユース出身)は、7試合目での今季初白星を素直に喜んでいた。ここまでは5分1敗。責任感の非常に強い主将は、勝ち切れないことで背負っていたものもあったようだが、ピッチでは熱さと冷静さの両面を表現して勝利に貢献した。

 ダブルボランチの一角として、球際・切り替え・運動量の三原則を実践。小柄なレフティーは相手の前に強引に体をねじ込み、またスライディングタックルでインターセプトするシーンもあった。そして、視野の広さと左足を駆使し、長短のパスでゲームメーク。前半38分の先制点は太田の左足CKから生まれたものだった。

 だが、特に攻撃面に関しては満足していない。「何度かロングボールのミスでチャンスが潰れてしまっているのがある。そういうところは効果的なパスがないと勝てないと自分自身が思っているので、自分がチャンスを作らないといけない立場なので、目をそらさずにこだわってやっていかないといけない」と引き締めていた。

 昨年は2年生ながら名門校のゲームキャプテンも務めた実力派。その太田は今年3月末にJクラブの練習参加を経験した。「ビルドアップだったり自信を持ってやれば全然通用するなということは分かったんですけれども、パスの1本1本の質や、守備の奪える回数だったりというのはまだまだ全然足りていないと感じました」と振り返る。

 自分が得意とする繋ぐことはプロの選手は当たり前のようにできる。「ボランチは繋ぐ選手だけじゃダメだと感じて、ゴールに係わったり、ゴールを取る怖いボランチじゃないとプロは厳しい。一個他とは違うプレーをすることが上に行くために必要」と実感した。

 自身の現在地を確認できたことは今後へ向けてプラス。精度、パンチ力のある左足を持つ攻撃的ボランチは、以前からゴールに繋がるパスやミドルシュートを狙ってきた。その意識はこれまで以上に高まっている。今後はフィジカル面やキック精度の向上に加え、オフ・ザ・ボールの動きや抜け出す動きの質をより高めてゴールに係る、奪うという結果を目指す。

 個人の成長以上に欲しているのが、日本一のタイトル。昨年度の選手権予選決勝で敗れてから、チャレンジャーとして取り組んできた。目標を実現するためにも目の前のトレーニング、一戦一戦が大事。太田はこの日の勝利に浮かれることなく、トレーニングで成長して次の試合に臨むことを誓っていた。世界で躍動するMF松木玖生(FC東京)と同じくリーダーシップが印象的なレフティー。上を見すぎることなく取り組みを継続し、名門復活を今年、実現する。

(取材・文 吉田太郎)
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