beacon

U-17日本代表GK雨野颯真主将「逆に弱いのが自分たちの良いところ」。前橋育英は驕らず、泥臭く戦ってプレミア、インハイ予選で勝つ

このエントリーをはてなブックマークに追加

前橋育英高GK雨野颯真主将(3年=FC杉野ジュニアユース出身)はAFC U17アジアカップU-17日本代表の有力な候補選手

[5.21 高円宮杯プレミアリーグEAST第7節 市立船橋高 2-0 前橋育英高 千葉県フットボールセンター]

 連勝することはできなかった。前節、柏U-18(千葉)に逆転勝ちして2位へ浮上した前橋育英高(群馬)はこの日、セットプレーとショートカウンターから2失点。後半に攻撃のリズムが出て決定機も創出していたものの、0-2で敗れ、通算成績は4勝3敗となった。

 それでも、日本高校選抜候補7名を擁した昨年からメンバーが大きく入れ替わって不安視される中、昨年に負けないペースで勝ち点を積み重ねている。唯一昨年からレギュラーを務めるGK雨野颯真主将(3年=FC杉野ジュニアユース出身)は、原動力の一つに「自分たちの弱さ」を挙げた。

「去年の選手権で大津に2年連続で負けたという悔しさがありましたし、自分たち弱いのも分かっていたので弱いなりに戦おうと決めていて、上手く行かないけれど泥臭くやろうと。逆に弱いのが自分たちの良いところだと思っていて、それが伸びしろに繋がっている。変に注目も浴びていないというか、リラックスしてできる」と説明する。

 自分たちの弱さを自覚しているからこそ、勝っても驕ることなく「まだまだだぞ」と思いながら成長を目指すことができている。プレミアリーグEAST開幕戦で前年度王者・川崎F U-18(神奈川)に0-3で負けてからの一週間でチームは変化。雨野は「より高い強度で練習するようになった」「あそこで基準が分かった」と振り返り、シュートブロックや強度、プレースピードの向上に結びつけたことを明かしていた。この日の敗戦も新たな基準に。より隙のないチームを作り上げていく意気込みだ。

 チームは、プレミアリーグ1試合を挟んでインターハイ予選に突入する。雨野は「去年、日本一になっていますけれども、チャレンジャー精神忘れずに挑む気持ちでやっていきたい」。県新人戦ではライバルの桐生一高に敗戦。「負けられないと思うし、日本一が懸かっているけれど、まずは県予選で一戦一戦やっていきたいと思っています」と力を込める。

 けが人の復帰や下級生の台頭もあり、これまでと異なるメンバー構成になる可能性がありそうだ。チームの大黒柱で絶対的な守護神が離脱する可能性があるが、そこは全員で穴を埋めて白星、全国出場を目指す。

 06年早生まれの雨野は今年、U-17日本代表のアルジェリア遠征や国内で開催された候補合宿を経験。6月15日開幕のAFC U17アジアカップ タイ 2023(U-17ワールドカップアジア最終予選)の有力候補だ。U-17日本代表メンバーに選出されると、6月半ばのインターハイ予選を欠場する可能性がある。

 雨野は昨年のインターハイ日本一の立て役者の一人で、今季のプレミアリーグでは2度PKをストップするなど活躍。この日も好守を見せていた雨野を欠くことになると、影響は大きそうだ。だが、主将は「自分がいなくても大丈夫なメンバーが揃っていると思うので、練習の中でも自分から代表でやっている分、経験をとかを発信していって、もっと強いチームになっていきたい」とより強いチームになってインターハイ予選に向かうことを誓っていた。

 将来、A代表の守護神の座を目指す雨野にとって、アジアの真剣勝負は目標実現への貴重な機会。この日、U-20ワールドカップ初戦を1-0で制したU-20日本代表の活躍も刺激になりそうだ。「世界という舞台でやりたいというのは目標にしている。U-17のアジアカップに選ばれたいという思いが強いです。(選ばれれば、)他にも良いGKがたくさんいるんで、そういう競争の中で自分の武器を出してレギュラーを掴めるようにしたい」。まずは前橋育英でチームを強くし、個を成長させること。そして、少しでも経験をチームに伝え、自分はどの場所でもベストのパフォーマンスをして勝つことに集中する。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●高円宮杯プレミアリーグ2023特集

TOP