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「コイツら、強いです」。修徳が後半ATの2発で追いつき、延長2発で初の関東制覇!

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修徳高が雨中の決勝を大逆転で制し、初の関東制覇

[5.29 関東高校大会Aグループ決勝 八千代高 3-5(延長)修徳高 AGFフィールド]

 修徳が大逆転で初の関東制覇――。第66回 関東高等学校サッカー大会(東京)は29日、各都県1位によるAグループと同2位によるBグループの決勝を行い、Aグループ決勝で八千代高(千葉)と修徳高(東京)が激突した。後半アディショナルタイムの2得点によって追いついた修徳が延長後半に2得点。5-3で勝ち、初優勝を果たしている。

 修徳の吉田拓也監督は、「僕らが一番ありえないと思っています。コイツら、強いです」と驚いていた。3連戦で全試合5人の交代枠をフル活用。この日はプラン通り、DF島田侑歩主将(3年)と10番の強力左WB田島慎之佑(3年)が前半限りでピッチを後にした。2点ビハインドの状況で主軸2人が交代。それでも、ピッチに立った選手たちが諦めずに戦い続け、大逆転勝利をしてのけた。

 序盤は八千代ペースだった。開始直後からMF西村元汰(3年)のカットインシュートや右SB吾妻蒼太主将(3年)の高精度のプレースキックなどで相手ゴールを脅かすと5分、吾妻の展開からこぼれ球をMF土屋響輝(3年)が右足シュート。これがDFに当たってゴールを破った。

 八千代はさらに8分、左サイドから仕掛けた西村がPKを獲得。これを吾妻が狙うが、修徳GK小森獅音(3年)が完璧に読み切ってストップする。それでも流れは変わらない。八千代は11分、MF松尾天斗(3年)のパスでFW田中拓光(3年)が右中間へ抜け出してシュート。こぼれ球を拾った田中が落ち着いてラストパスを通し、西村がゴールへ押し込んだ。

 八千代は15分にも左SB横山颯野(3年)の縦パスで田中が抜け出し、ラストパスを松尾が決めて3点目。今大会、修徳は準決勝、決勝と選手が戦い方を考えて臨んだが、まさかの立ち上がりとなった。それでも18分、FW大畑響道(3年)がスピードを活かして右サイドを突破。最後は、田島が自らのシュートのこぼれ球をゴールへ押し込んだ。

 苦しい状況で一際気持ちの込もった動きを見せていた田島のゴールで2点差。序盤は八千代のテンポの速い攻撃で背後を取られるなど苦戦を強いられたが、4バックへ移行して立ち位置を変え、守りから安定させた。

 FWンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄(3年)への苦しいパスを狙われていた攻撃も徐々に改善。DFリーダーのCB山口春汰(3年)や攻守両面で存在感を見せるMF小俣匠摩(3年)を中心にパスのテンポが上がり、田島を突破口に次の1点のチャンスを作り出していた。

 後半開始からキャプテンマークを巻いた山口が「自分がしっかり全員に声を掛けて、しっかり本当に勝ちにいく気持ちだけ持たせてピッチに戻りました」という修徳に対し、八千代は後半立ち上がり、サイドやDF裏のスペースを突く攻撃でチャンスを作る。だが、決め切ることができなず、攻撃のテンポもなかなか上がらない。岡本一洋監督は「相手が守備のやり方を代えてきた時にそれを上回っていくことができなかった」と指摘する。
 
 それでも、CB小西陽希(2年)がFC東京U-15深川の先輩FWンワディケと渡り合うなど2点リードを守って終盤へ。一方の修徳はFWから左SH、右SBへとポジションを落とした大畑が積極的な攻撃参加からカットインシュートを打ち込むなど、大応援の後押しを受けながらゴールを目指し続ける。

 迎えた40+1分、修徳は左サイド後方から入れられたボールのこぼれ球をMF高島陸(2年)が右足ダイレクトで叩いて1点差。さらに40+4分、MF望月健悟(3年)の左CKをンワディケが競り勝つと、その後の混戦からボールを繋ぎ、交代出場CB平山俊介(3年)が正確な左足シュートをゴール左へ突き刺した。

 後半アディショナルタイムの連続ゴールに歓喜を爆発させる修徳イレブンと応援団。3-3で突入した延長戦では互いにセットプレーなどからチャンスを作ったが、次の1点も修徳が奪った。延長後半2分、修徳は望月の左CKをニアの大畑が頭で逆サイドのゴールネットへ流し込み、逆転。八千代も西村がPAへ切れ込むなど攻め返したが、修徳は10+1分、平山の縦パスで交代出場FW牧村光世(3年)が抜け出し、右足シュートを決めた。

 5-3。逆転勝ちの修徳CB山口は「攻撃陣が5点取ってくれたので攻撃陣のおかげです」と感謝する。そして、「前半3失点して最悪な展開だったんですけれども、これが全国トップのチームだと許されないので、しっかり練習からこだわってやっていきたい」と誓った。

 修徳は今大会、山梨1位の山梨学院高に5-1、神奈川1位の湘南工科大附高にも3-0で快勝。そして、決勝でも0-3からの逆転勝ちで自力を示した。東京都2部リーグ含めて今季の公式戦全勝中だ。吉田監督は試合後、スタンドの控え選手たちへ向けて、この日ベンチスタートで誰よりも準備していた選手がいたことを説明し、この試合から修徳が目指す基準を感じ取ってくれること、またスタンドの3年生が台頭してくることを期待していた。そして、小俣は「優勝したのは一つ自信にして、切り替えて、勝ちたいのはインハイと選手権なので、そこに向けてやるだけです」ときっぱり。課題と向き合い、より「強い修徳」を作り上げる。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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