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[関東 ROOKIE LEAGUE]「後半に強い」前橋育英の伝統を表現し、西武台に逆転勝ち。MF松下歩夢の目標は日本一、「この仲間となら乗り越えられる」

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前橋育英高は先制を許すも3得点を奪い返して逆転勝ち

[5.11 関東ROOKIE LEAGUE Aリーグ第3節 西武台高 2-3 前橋育英高 西武台第2G]

 11日、関東・静岡の強豪校の1年生が90分間ゲームのリーグ戦で力を磨く「2024 関東 ROOKIE LEAGUE」Aリーグ第3節の西武台高(埼玉)対前橋育英高(群馬)戦が西武台高第二グランドで行われ、前橋育英が3-2で逆転勝ちした。

 この日、西武台高第二グランドでは午前11時からプリンスリーグ関東2部の西武台対桐光学園高(神奈川)が行われた。熱い戦いの2時間後に、1年生たちが練習で取り組んできた技術力や強度を発揮。好勝負は、前橋育英が制した。

 前半、ホームの西武台は主将のMF高橋祐輔がテクニックとセカンドボールの回収力を表現するなど目立つ動きでチームを牽引。FW田邊風雅やMF藤崎瑛尚がドリブルで仕掛けるなどゴールを目指す。

西武台の主将、MF高橋祐輔は攻守に存在感のある動き

 一方の前橋育英は、「自分は下でビルドアップするのが、ゲームを作るのが得意なんで、そこ前半は活かせたのかなって思います」という司令塔・MF松下歩夢が1タッチでのパスさばきやサイドチェンジで攻撃をコントロール。また、活動量の多さとしなやかさを見せるMF山本翼が相手DF間へ割って入り、右SH箱田航大が鋭い縦への動きでゴール前のシーンを創出していた。

前橋育英の司令塔、MF松下歩夢は勝ち越し点をアシストした

 西武台は41分、高橋のサイドチェンジを起点とした攻撃から藤崎がシュートへ持ち込むも、前橋育英DFがブロック。前橋育英はCB深見翔太やGK根岸彗也とともに守りを安定させていたCB安西健吾が負傷交代するアクシデントがあったが、0-0で前半を終え、後半開始からアタッカー3人を入れ替えて前への姿勢を強める。

 だが、西武台は後半、ボールを繋ぐ意識を高め、田島のシュートなどでゴールへ迫る。すると、13分、右SB古川陸斗がPAへアーリークロス。ニアに落ちたボールに「1人で点取ってくれるような、そういう1人で勝たせるようなプレイヤーになりたい。入る時は0-0でしたし、ルーキーで点取れない時間が結構長かったんで、『1点取ってやろう』って思っていました」という交代出場のFW川路昊暉が反応する。

 川路は「ニアにこぼれてきそうだなと思った。ニアの方に行って、そこは味方に任せるっていうよりか、自分で打ちにいきました」と前へ持ち出して豪快な右足ボレーシュート。前橋育英ゴールをこじ開け、ピッチサイドの控え選手たちとともに喜びを爆発させた。

後半9分、西武台FW川路昊暉が先制ゴール

チームメートたちと喜ぶ

 西武台はその後も古川の縦パスを川路が落とし、FW酒井理央がシュートへ持ち込むなど追加点を狙う。だが、失点後にギアの上がった前橋育英は、2戦4発のFW立石陽向や登録158cmのMF安藤大地が攻撃を牽引。逆転に成功する。

 21分、左サイドへ展開し、交代出場のMF増山温斗がゴールライン際までえぐってマイナスのラストパス。これを山本が1タッチで押し込み、同点に追いつく。畳み掛けようとする前橋育英に対し、西武台DF陣もPAで身体を張った守り。シュートブロックするなど踏ん張るが、前橋育英は32分、右CKの流れからセカンドボールを拾った松下が一つ前へ持ち出してクロスを上げる。

「DFを外そうと思って1個前に出しました。ファーを狙って、デカい選手何人かいるんで、誰かが押し込んでくれるかなって思いました」というクロスは、GKの指先を抜けてファーサイドへ。これを山本が頭で合わせて2-1とした。

勝ち越し点のMF山本翼が歓喜の咆哮

立石はリーグ戦3試合で5得点

 今度は前橋育英がサブ組含めて喜びを大爆発。右SB石川悠介と左SB高橋虎太郎の両DFを含めて走り続ける前橋育英はさらに36分、立石が左中間から鮮やかな右足FKを決めて3-1とした。西武台も39分にMF斉藤陸の放った右足シュートを前方の川路がコースを変える形でゴールイン。だが、前橋育英は交代出場の選手を含めて集中した守りを続け、3-2で逃げ切った。

後半36分、FW立石陽向が直接FKを決めて3-1

後半39分、西武台はMF斉藤陸が右足シュートを放つ。これを前方の川路がコースを変えてゴールイン。1点差とした

 前橋育英の指揮を執った櫻井勉コーチは、「(1年生)45人全員で練習をしています。(先発だけでなく)途中から出た子が最後までやってくれた」と評価する。やや縮こまってしまっていたという前半からギアを上げ、伝統の「後半に強い育英」を表現。櫻井コーチは競争心の強い選手たちが「特長を出せるようにやっていきたいです」と語った。

 後半、一時運動量を落としたものの、勝ち越し点をアシストした松下は、「選手権日本一になろうって、思ってここに来ました」。前橋育英OBでJリーグ通算481試合27得点の“名手”、「自分の目標である存在」という父・松下裕樹コーチも指導する名門校へ進学した。

 大事なのは、これから。「絶対、この3年間辛い時の方が全然あると思うし、でも、この仲間となら乗り越えられるなって思います。(関東 ROOKIE LEAGUEの目標は)優勝です。自分が中心になって、チームをまとめて、優勝を目指して頑張ります」。仲間たちと切磋琢磨して成長し、1年時からタイトルを取り続ける。

笑顔で勝利を喜ぶ前橋育英の選手たち

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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