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[MOM4720] 柏U-18FW吉原楓人(3年)_「努力し続ける才能」を有したスペシャルな“左の翼”が圧倒的突破力から決勝ゴール!

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柏レイソルU-18が誇る“左の翼”、FW吉原楓人(3年=柏レイソルU-15出身)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.1 日本クラブユース選手権関東予選2回戦 柏U-18 4-2 湘南U-18 日立柏総合グランド]

 もう自分がやるしかないと思っていた。この試合の重要性は十分すぎるほどに理解している。苦しむチームを救うゴールは、オレが叩き出す。もちろん自信だってあるに決まっている。それだけの努力はずっと積み重ねてきたのだから。

「プレミアもそうですけど、ここまで自分の思うようなプレーや結果は正直そんなに出ていなくて、うまく行っていなかったですし、ここでしっかりゴールを決めないと、チームメイトからの信頼という面でも結構危ないかなと思っていたので、ここで結果を出せて良かったです」。

 柏レイソルU-18(千葉)の11番を背負った、スペシャルな推進力を誇る“左の翼”。FW吉原楓人(3年=柏レイソルU-15出身)は軽やかに奪い切った圧巻の決勝ゴールで、主役の座を実に鮮やかにさらっていった。


 クラブユース選手権の全国出場を懸けた一戦は、因縁のカードとなった。柏U-18が2回戦で対峙するのは、湘南ベルマーレU-18(神奈川)。昨年も同じ2回戦で激突し、0-1で敗戦。その次の試合にも敗れたチームは、まさかの関東予選敗退を強いられてしまう。

 吉原にとっても、1年前の出来事は忘れられない苦い記憶だ。「去年のこの時期に、ここでベルマーレとやった試合は、自分が結構シュートを外してしまって全国に行けなくて、次の試合では点は獲りましたけど、結局負けてしまったので、今日の試合は人一倍気合が入っていました」。同じ会場で、同じ相手と再会する絶好のリベンジのチャンス。やる気をみなぎらせてピッチへと足を踏み入れる。

 試合は白熱の展開。湘南U-18がセットプレーで先制点を奪えば、前半のうちにFWワッド・モハメッド・サディキ(3年)のアシストから、MF戸田晶斗(3年)が同点弾をゲット。後半に入って今度はMF澤井烈士(2年)が逆転ゴールを挙げたものの、すぐさまカウンターから失点。まさにシーソーゲームが繰り広げられる。

 2-2というスコアで推移する中、ひそかにシチュエーションが整ったことを感じていたという。「『自分が点を獲ってチームを勝たせたい。全国に導きたい』という想いがあったので、『点を獲ろう』ということはずっと考えていました」。次のゴールを沈めることは、すなわちこの日の主役への立候補と同義。虎視眈々とその瞬間を狙い続ける。

 後半32分。キャプテンを任されているGK栗栖汰志(3年)のキックがそのまま抜けてくると、もう迷いはなかった。「相手が触れなくて、自分のところに汰志から良いボールが来て、前を向いた時に、たぶんいつもなら中に行っていたと思うんですけど、ずっと縦は意識していたので、気持ちで縦に行ったという感じです」。

 カットインではなく、左サイドを縦へ、縦へ。行き切った末に躊躇なく左足で流し込んだボールは、ゴールネットへきっちりと到達する。「もうファーストタッチの瞬間にシュートは考えていました。コースは、まあ、狙い通りです(笑)」。持ち味の突破力を120パーセントで生かした、スーパーな一撃。ピッチサイドへ駆け寄った11番は、あっという間に黄色い歓喜の輪に飲み込まれる。



 チームを率いる藤田優人監督が、あるエピソードをそっと教えてくれた。「楓人には試合前に『オマエがみんなを全国に連れていくんだよ。オレを全国に連れていってくれ』という話をしたら、『はい!』と言ってきましたからね。『「結局吉原はカットインでしょ」と思われているから、縦、縦に行け』というのは言っていて、やっぱりアタッカーは縦に行けないと魅力がないので、本人の中でも良いゴールだったんじゃないですか」。

 有言実行。吉原のゴラッソに加え、もう1点を奪った柏U-18は4-2で逆転勝利。日立台のピッチを颯爽と駆け抜けた“左の翼”が、得点という明確な結果でチームに全国切符をもたらした。


 昨シーズンのプレミアリーグでは全22試合に出場して、6ゴールを記録。残した数字もさることながら、ボールを持ったら積極的に仕掛けるドリブルは常に対峙する者の脅威となり、一躍多くの対戦相手から警戒される存在となった。

 迎えた今季。本人は自身のパフォーマンスに納得がいっていないようだ。「去年はドリブルで結構行けていたのに、今年は行けていないので、そこが今の課題ですね。相手が2枚とかで来た時にロストする回数が多くて、そこを抜き切らないといけないかなと思います」。2人で来るマークは当たり前。どのチームもこのドリブラーを抑えようと、躍起になって策を練り、講じてくる。

 吉原を1年時から見守ってきた藤田監督は、彼が持つ突破力と同じぐらい重要な“武器”の存在を、こう教えてくれた。「プレミアに限らず、日本にいる高校生でも努力できる才能はベスト3に入るんじゃないですか。あんなに努力できる子はなかなか見ないですし、あの得点の場面もカットインする選手が多い中で、1つグッと縦に入れるというのは普段の練習量が物語っているものだと思います」。

 有している『努力し続ける才能』は、危機感から来ているものでもあるという。「もともとみんなより上手くなくて、ずっと練習していたというのもありますね。小学校の頃はちょっと背が大きくて、ある程度スピードでも行けていたんですけど、中学に入って技術の部分で劣っていたので、ドリブルという部分で特徴を出そうかなと思ったんです」。努力で磨き上げてきたドリブルは、いつしか気付けば自らの代名詞とも言うべき特徴になっていたというわけだ。

 引き寄せた全国の晴れ舞台。目標を訪ねると、力強い決意の言葉が返ってくる。「得点王ですね。山本桜大くんも2年前にはたくさん点を獲っていましたし、目指すはあの人だと思います。タイプは違いますけど、最近もJリーグに出ていますし、意識しています。そう簡単ではないと思いますけど、できれば二桁は獲りたいです」。

 この男のプレーは一度見ておいた方がいい。サイドを跳ねるように駆け抜けていく、圧倒的な“左の翼”。努力し続ける才能をさらに磨いていく限り、吉原楓人がどんな高いステージまで舞い上がっていくのかは、はっきり言って予測困難だ。



(取材・文 土屋雅史)
土屋雅史
Text by 土屋雅史

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