[新人戦]「今年は全部狙うぞ」静岡学園がチャレンジし続けて3発快勝。2連覇に王手:静岡
[1.25 静岡県高校新人大会準決勝 静岡学園高 3-1 藤枝明誠高 愛鷹]
令和6年度静岡県高等学校新人大会サッカー競技は25日、沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場で準決勝を行った。選手権全国8強の静岡学園高と藤枝明誠高との一戦は、静岡学園が3-1で勝利。静岡学園は26日の決勝で磐田東高と戦う
24年は静岡3冠を達成。県新人大会連覇を狙う静岡学園の先発は、GKがゲーム主将の瀧優斗(2年)、DFラインは右SB提坂日葵(2年)、CB吉田俐軌(2年)、CB筒井龍之介(2年)、左SB塚田哲也(2年)。中盤はMF杉田和心(2年)がアンカーに入り、トップ下に四海星南(2年)と北田優心(2年)、右SH神吉俊之介(2年)、左SH佐々木雄基(2年)、FW上田悠世(2年)の11人。ともにU-17日本高校選抜候補合宿メンバーのGK有竹拓海(2年)とMF篠塚怜音(2年)は不在だった
一方、藤枝明誠の先発はGK山田匠真(2年)、右SB田坂慶斗(2年)、CB山本洸弥(2年)、CB堀圭登(1年)、ゲーム主将の左SB阿部竜杜主将(2年)、MF藤田志瞳(2年)と加藤柊一郎(2年)のダブルボランチ、右SH中井翔大(2年)、左SH磯川友(2年)、トップ下が紅林佑太(2年)、1トップは中山聖那(2年)の11人で静岡学園に挑戦した。
先にチャンスを作ったのは藤枝明誠の方だった。前半3分、藤田の展開から右の紅林がクロス。これをゴール前の中山が合わせる。一方の静岡学園は高い位置までボールを運び、いずれも左利きで切り返しを交えたドリブルなどで仕掛ける佐々木と神吉、北田の3選手や高い位置へ侵入する四海が絡んだ崩し。そして、塚田がクロスへ持ち込むなど相手の守りをこじ開けに行く。
ただし、藤枝明誠はゴール前で剥がされずに強度も高い。ボールを奪い返すと、一つ正確に繋ぐパスも交えた形でオープン攻撃。スペースへ抜け出す紅林や中井がCKを獲得した。対する静岡学園は18分、右スローインの流れから上田がゴール前に潜り込んで右足を振り抜いたが、ファーポストをヒット。藤枝明誠はややコンパクトさを欠く部分もあり、相手の杉田や四海にセカンドボールを回収されて守備の時間が増えてしまう。
前半終了間際にスコアが動いた。37分、静岡学園はゴール前で上田がDFと入れ替わり、左足で先制ゴール。だが、藤枝明誠は40分、前からボールを奪うと、左の磯川がドリブルで中へと切れ込む。そして、ファーサイドのネットに右足ミドルを突き刺した。
藤枝明誠は後半開始から藤田とMF大石然一郎(2年)をスイッチ。磯川や中山のスピードも活用しながら攻めるが、相手をねじ伏せるような守備を見せるCB吉田やCB筒井、GK瀧ら静岡学園守備陣からチャンスを作ることができない。
静岡学園も後半16分に北田とMF山田悠太(2年)を交代。すぐに山田、上田、神吉が絡む形で左サイドから深く攻め込み、その直後にも四海のパスから右の佐々木がクロスバー直撃の左足シュートを放つ。藤枝明誠は大石のスルーパスに中山が走り込むシーンもあったが、なかなか流れを好転させることができない。25分には中井をMF坂本雄哉(1年)へ交代。その直後の26分、静岡学園は提坂の左CKからニアの上田が勝ち越しヘッド(今大会11得点目)を決めた。
藤枝明誠は山本の的確なカバーリングなどで凌いでいたものの、痛恨の失点。松本安司監督は後半、相手にボールを保持される中でチーム全体が下がったこと、また攻撃面で簡単にボールを蹴り出してしまうなどチャレンジできなかったことを厳しく指摘する。
一方の静岡学園は右SB提坂が中央で攻撃から好パスを通すなど、変化を加えながら次の1点を目指す。そして32分、再び提坂の左CKから今度は吉田が右足ダイレクトで合わせて3-1。このあと、藤枝明誠はMF大山樹希矢(2年)とFW渡貫暖(1年)、静岡学園はMF宮本侑宕(2年)とMF前田一樹(2年)を投入した。そのままスコアは変わらず、静岡学園が決勝進出。今大会、静岡学園は多くの新3年生にチャンスを与えられている中、各選手が新シーズン開幕へ向けてアピールしようとしている。
新人戦の指揮を執る齊藤興龍部長は、「どうしても立ち上げ間もないんで、イージーミスがまだまだ目立つかなというところがあります。それでも、ブレずに積み重ねていけば、それこそ夏ぐらいにはまたさらにステップアップできるかなと思います。(現在は)もうワンランク上のサッカーを目指して、あくまでも土台っていうところなので」と語る。強引に仕掛けてロストするシーンなどが目立ったことは確かだが、今の自分に何ができるのかチャレンジすることが重要。この日の白星によって公式戦でまた成長するチャンスを勝ち取った。
静岡学園の新3年生は選手権で3戦連発と活躍した篠塚と有竹、佐々木、神吉に加え、U-16日本代表歴を持つMF山縣優翔(2年)、四海、吉田、上田とプレミアリーグ経験者も多い。その新チームについて齊藤部長は「プレミアにとか、日本一目指すっていう意識があって凄くピッチ内で活気が出てきたりとか、モチベーションを出せてたりとかできてるんで、そのチームの雰囲気っていうのは凄く成長できてるかなっていうのは感じます」とコメント。選手たちも目標値は高い。
「『今年は全部狙うぞ』『プレミアも狙うぞ』と。今年は足元の上手い子が多いので、細かいパス回しが得意だったり、ドリブルも結構できる感じなんで、ドリブル、ショートパスをめっちゃ組み合わせてできるチームだなと思います」と吉田。今冬の選手権は伝統のテクニックに加え、堅守も表現して勝ち上がったが、準々決勝で涙を呑んだ。日本一になるためにはまだまだテクニックも、インテリジェンスも、強度も必要だ。決勝でも真剣勝負の中で個人、チームとして成長し、4月のプレミアリーグ開幕へ向けて弾みをつける。
(取材・文 吉田太郎)
令和6年度静岡県高等学校新人大会サッカー競技は25日、沼津市の愛鷹広域公園多目的競技場で準決勝を行った。選手権全国8強の静岡学園高と藤枝明誠高との一戦は、静岡学園が3-1で勝利。静岡学園は26日の決勝で磐田東高と戦う
24年は静岡3冠を達成。県新人大会連覇を狙う静岡学園の先発は、GKがゲーム主将の瀧優斗(2年)、DFラインは右SB提坂日葵(2年)、CB吉田俐軌(2年)、CB筒井龍之介(2年)、左SB塚田哲也(2年)。中盤はMF杉田和心(2年)がアンカーに入り、トップ下に四海星南(2年)と北田優心(2年)、右SH神吉俊之介(2年)、左SH佐々木雄基(2年)、FW上田悠世(2年)の11人。ともにU-17日本高校選抜候補合宿メンバーのGK有竹拓海(2年)とMF篠塚怜音(2年)は不在だった
一方、藤枝明誠の先発はGK山田匠真(2年)、右SB田坂慶斗(2年)、CB山本洸弥(2年)、CB堀圭登(1年)、ゲーム主将の左SB阿部竜杜主将(2年)、MF藤田志瞳(2年)と加藤柊一郎(2年)のダブルボランチ、右SH中井翔大(2年)、左SH磯川友(2年)、トップ下が紅林佑太(2年)、1トップは中山聖那(2年)の11人で静岡学園に挑戦した。
先にチャンスを作ったのは藤枝明誠の方だった。前半3分、藤田の展開から右の紅林がクロス。これをゴール前の中山が合わせる。一方の静岡学園は高い位置までボールを運び、いずれも左利きで切り返しを交えたドリブルなどで仕掛ける佐々木と神吉、北田の3選手や高い位置へ侵入する四海が絡んだ崩し。そして、塚田がクロスへ持ち込むなど相手の守りをこじ開けに行く。
ただし、藤枝明誠はゴール前で剥がされずに強度も高い。ボールを奪い返すと、一つ正確に繋ぐパスも交えた形でオープン攻撃。スペースへ抜け出す紅林や中井がCKを獲得した。対する静岡学園は18分、右スローインの流れから上田がゴール前に潜り込んで右足を振り抜いたが、ファーポストをヒット。藤枝明誠はややコンパクトさを欠く部分もあり、相手の杉田や四海にセカンドボールを回収されて守備の時間が増えてしまう。
前半終了間際にスコアが動いた。37分、静岡学園はゴール前で上田がDFと入れ替わり、左足で先制ゴール。だが、藤枝明誠は40分、前からボールを奪うと、左の磯川がドリブルで中へと切れ込む。そして、ファーサイドのネットに右足ミドルを突き刺した。
藤枝明誠は後半開始から藤田とMF大石然一郎(2年)をスイッチ。磯川や中山のスピードも活用しながら攻めるが、相手をねじ伏せるような守備を見せるCB吉田やCB筒井、GK瀧ら静岡学園守備陣からチャンスを作ることができない。
静岡学園も後半16分に北田とMF山田悠太(2年)を交代。すぐに山田、上田、神吉が絡む形で左サイドから深く攻め込み、その直後にも四海のパスから右の佐々木がクロスバー直撃の左足シュートを放つ。藤枝明誠は大石のスルーパスに中山が走り込むシーンもあったが、なかなか流れを好転させることができない。25分には中井をMF坂本雄哉(1年)へ交代。その直後の26分、静岡学園は提坂の左CKからニアの上田が勝ち越しヘッド(今大会11得点目)を決めた。
藤枝明誠は山本の的確なカバーリングなどで凌いでいたものの、痛恨の失点。松本安司監督は後半、相手にボールを保持される中でチーム全体が下がったこと、また攻撃面で簡単にボールを蹴り出してしまうなどチャレンジできなかったことを厳しく指摘する。
一方の静岡学園は右SB提坂が中央で攻撃から好パスを通すなど、変化を加えながら次の1点を目指す。そして32分、再び提坂の左CKから今度は吉田が右足ダイレクトで合わせて3-1。このあと、藤枝明誠はMF大山樹希矢(2年)とFW渡貫暖(1年)、静岡学園はMF宮本侑宕(2年)とMF前田一樹(2年)を投入した。そのままスコアは変わらず、静岡学園が決勝進出。今大会、静岡学園は多くの新3年生にチャンスを与えられている中、各選手が新シーズン開幕へ向けてアピールしようとしている。
新人戦の指揮を執る齊藤興龍部長は、「どうしても立ち上げ間もないんで、イージーミスがまだまだ目立つかなというところがあります。それでも、ブレずに積み重ねていけば、それこそ夏ぐらいにはまたさらにステップアップできるかなと思います。(現在は)もうワンランク上のサッカーを目指して、あくまでも土台っていうところなので」と語る。強引に仕掛けてロストするシーンなどが目立ったことは確かだが、今の自分に何ができるのかチャレンジすることが重要。この日の白星によって公式戦でまた成長するチャンスを勝ち取った。
静岡学園の新3年生は選手権で3戦連発と活躍した篠塚と有竹、佐々木、神吉に加え、U-16日本代表歴を持つMF山縣優翔(2年)、四海、吉田、上田とプレミアリーグ経験者も多い。その新チームについて齊藤部長は「プレミアにとか、日本一目指すっていう意識があって凄くピッチ内で活気が出てきたりとか、モチベーションを出せてたりとかできてるんで、そのチームの雰囲気っていうのは凄く成長できてるかなっていうのは感じます」とコメント。選手たちも目標値は高い。
「『今年は全部狙うぞ』『プレミアも狙うぞ』と。今年は足元の上手い子が多いので、細かいパス回しが得意だったり、ドリブルも結構できる感じなんで、ドリブル、ショートパスをめっちゃ組み合わせてできるチームだなと思います」と吉田。今冬の選手権は伝統のテクニックに加え、堅守も表現して勝ち上がったが、準々決勝で涙を呑んだ。日本一になるためにはまだまだテクニックも、インテリジェンスも、強度も必要だ。決勝でも真剣勝負の中で個人、チームとして成長し、4月のプレミアリーグ開幕へ向けて弾みをつける。
(取材・文 吉田太郎)