「いろいろな人に名前を広めるための1年にしたい」 国立での選手権開幕戦で決勝ゴール!帝京FW宮本周征がU-17日本高校選抜選考合宿から解き放つ明確な野心

野心あふれるU-17日本高校選抜候補のストライカー、FW
[1.27 練習試合 U-17日本高校選抜候補 2-4 東京国際大]
そもそも自信がなければ、勝負の懸かったピッチになんて立っていない。その上で狙うのは、いつだってゴール一択。伝統のカナリア軍団をいるべき場所へと再び連れていくために、とにかく結果を出し続けて、自分の存在価値を多くの人に認めさせてやる。
「個人としては後悔しない進路を選ぶということはもちろんですし、プリンスリーグもインターハイも選手権も全部得点王を獲ってやろうという気持ちでいるので、とにかくゴールを決めて、いろいろな人に宮本周征という名前を広めるための1年にしたいです」。
U-17日本高校サッカー選抜の中でも、確かな輝きを放っているエースストライカー候補。FW宮本周征(帝京高/2年=バディージュニアユース横浜出身)がアグレッシブにゴールを求める姿勢は、タレントが集まる環境の中でも十分に際立っている。
「やっぱり自チームでは自分のタイミングをわかってくれている人がいるので、こういう場所で違うチームの人とやると、タイミングも違って、初日と2日目の午前の練習はちょっと苦労しましたけど、途中から修正できて、周りとも合ってきたかなと思っています」。
8人のフォワードが招集されたU-17日本高校選抜の選考合宿。2日目に組まれた駒澤大(関東大学L2部)との30分×4本で戦うトレーニングマッチで、宮本は1本目のメンバーとしてFW若槻大雲(立正大淞南高/2年)と2トップを組む形でキックオフの笛を聞く。
2歳以上は年上の大学生たちを向こうに回し、その積極的に仕掛ける姿勢が実ったのは、終盤に差し掛かった27分のこと。MF玉山煌稀(履正社高/2年)からパスを受けた宮本がそのままエリア内へ巧みに潜り込み、飛び出したGKとDFと交錯して倒れると、主審はペナルティスポットを指し示す。
自らキッカーを務めたPKも、GKの逆を突いてきっちり成功。「自分のポジションはゴールが評価に直結するところですし、『点を獲ってやろう』という想いでやっていたので、ちょっと一安心したかなという感じで良かったです」。10番のビブスを着けたストライカーが、チーム初ゴールを記録。仲間からの祝福に思わず笑顔がこぼれた。
今回の選抜活動はシンプルに楽しめているという。「凄くレベルも高いですし、強度も高いので、メチャメチャ楽しいです。もともと白井(誠也)とはバディーで一緒でしたけど、三鴨(奏太)とか福島和毅とか篠塚玲音は一緒の部屋で話すことも多いですし、いろいろな人と仲良くなれたかなと思います」。
3日目に行われた東京国際大(関東大学L1部)とのトレーニングマッチ(30分×4)でも、1本目の1トップとしてピッチに送り出されると、10分に掴んだ決定機は相手GKのファインセーブに阻まれたものの、直後のCKをMF安藤晃希(流通経済大柏高/2年)へと素早く蹴り出し、MF山崎絢心(富士市立高/2年)のゴールを演出。前日に続いて得点シーンに関わり、コーチングスタッフへきっちりとアピールしてみせた。
選抜への招集に繋がった高校選手権では、15年ぶりに全国へと帰ってきた帝京の“ジョーカー”として、いきなり大舞台でその実力の一端を見せ付ける。国立競技場で開催された開幕戦の京都橘高(京都)戦。後半途中から投入されると、同点に追い付かれた直後の35分に劇的な決勝ゴールをゲット。得点後はピッチサイドへと全速力で駆け出し、華麗な“膝スラ”まで披露したのだ。
「嬉し過ぎてとっさに出てしまった感じです(笑)。自分が交代で出てから点を決められて、正直メチャメチャ焦っていたので、あそこで決められて安心しましたし、嬉しくてついやっちゃいましたね」。
続く2回戦の金沢学院大附高(石川)戦でも、途中出場で1ゴールを記録。結果的に敗退を突き付けられた3回戦の明秀日立高(茨城)戦でも、やはり最初の交代カードとして後半開始早々から起用され、PK戦では1人目のキッカーとして冷静に成功。出場時間を考えても、一定以上のパフォーマンスを発揮していた印象もあるが、宮本は『できたこと』よりも『できなかったこと』を冷静に見つめている。
「金沢学院の時ももう1点決められましたし、京都橘の時も1対1は決められましたし、そういう大事なところをちゃんと決めないと得点王にはなれないと思いますし、シュートの調子はあまり良くなかったかなと。明秀の試合も最後の1対1を決めたら勝てたので、ここからも1個1個のシュートを意識してやっていきたいと思います」。
ただ、もちろん全国のステージを味わったことで、経験値が格段に上がったことは言うまでもない。とりわけ“聖地”のピッチに立った40分近い時間は、明らかに自身のメンタルにもポジティブな影響をもたらしてくれたようだ。
「国立のピッチに立ったからこそ、こういう選抜のピッチでも緊張はしなくなりましたね。実際は国立でもそこまで緊張はしなかったですけど、ああいう舞台でやりたい気持ちがもっと芽生えてきましたし、もっとレベルの高いところでやりたいという想いが強くなりました」。明らかに視線の先に捉え始めた、たどり着くべき“目的地”。チームとしてのそれも、以前よりはっきりと輪郭を帯びている。
「3つ上の代がインターハイで全国準優勝しましたけど、選手権までは正直全国優勝はあまり目に見えるような目標ではなかったんです。でも、今回選手権に出たことで『そこにも届きそうだな』と感じましたし、来年こそは先輩たちが開いてくれた扉をちゃんと使って、絶対に全国で優勝したいなと思っています」。
中学時代に所属していたバディージュニアユース横浜のチームメイトには、既にトップチームとプロ契約を締結した横浜FCユースのDF秦樹(2年)と、今回の選手権で大ブレイクを果たした前橋育英高のMF白井誠也(2年)が。「白井も秦も凄いので、負けてられないなと思っています」という言葉にも、負けず嫌いが垣間見える。彼らを超えるためには、とにかく結果。誰もが認める結果を出し続けるしかない。
その期待感は、間違いなく纏っている。2025年のカナリア軍団を、あるいはこの世代を牽引し得る、野心にあふれたストライカー。ここからの宮本周征が自身の名前をどこまで轟かせてくれるのか、今からとにかく楽しみだ。
(取材・文 土屋雅史)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
そもそも自信がなければ、勝負の懸かったピッチになんて立っていない。その上で狙うのは、いつだってゴール一択。伝統のカナリア軍団をいるべき場所へと再び連れていくために、とにかく結果を出し続けて、自分の存在価値を多くの人に認めさせてやる。
「個人としては後悔しない進路を選ぶということはもちろんですし、プリンスリーグもインターハイも選手権も全部得点王を獲ってやろうという気持ちでいるので、とにかくゴールを決めて、いろいろな人に宮本周征という名前を広めるための1年にしたいです」。
U-17日本高校サッカー選抜の中でも、確かな輝きを放っているエースストライカー候補。FW宮本周征(帝京高/2年=バディージュニアユース横浜出身)がアグレッシブにゴールを求める姿勢は、タレントが集まる環境の中でも十分に際立っている。
「やっぱり自チームでは自分のタイミングをわかってくれている人がいるので、こういう場所で違うチームの人とやると、タイミングも違って、初日と2日目の午前の練習はちょっと苦労しましたけど、途中から修正できて、周りとも合ってきたかなと思っています」。
8人のフォワードが招集されたU-17日本高校選抜の選考合宿。2日目に組まれた駒澤大(関東大学L2部)との30分×4本で戦うトレーニングマッチで、宮本は1本目のメンバーとしてFW若槻大雲(立正大淞南高/2年)と2トップを組む形でキックオフの笛を聞く。
2歳以上は年上の大学生たちを向こうに回し、その積極的に仕掛ける姿勢が実ったのは、終盤に差し掛かった27分のこと。MF玉山煌稀(履正社高/2年)からパスを受けた宮本がそのままエリア内へ巧みに潜り込み、飛び出したGKとDFと交錯して倒れると、主審はペナルティスポットを指し示す。
自らキッカーを務めたPKも、GKの逆を突いてきっちり成功。「自分のポジションはゴールが評価に直結するところですし、『点を獲ってやろう』という想いでやっていたので、ちょっと一安心したかなという感じで良かったです」。10番のビブスを着けたストライカーが、チーム初ゴールを記録。仲間からの祝福に思わず笑顔がこぼれた。
今回の選抜活動はシンプルに楽しめているという。「凄くレベルも高いですし、強度も高いので、メチャメチャ楽しいです。もともと白井(誠也)とはバディーで一緒でしたけど、三鴨(奏太)とか福島和毅とか篠塚玲音は一緒の部屋で話すことも多いですし、いろいろな人と仲良くなれたかなと思います」。
3日目に行われた東京国際大(関東大学L1部)とのトレーニングマッチ(30分×4)でも、1本目の1トップとしてピッチに送り出されると、10分に掴んだ決定機は相手GKのファインセーブに阻まれたものの、直後のCKをMF安藤晃希(流通経済大柏高/2年)へと素早く蹴り出し、MF山崎絢心(富士市立高/2年)のゴールを演出。前日に続いて得点シーンに関わり、コーチングスタッフへきっちりとアピールしてみせた。
選抜への招集に繋がった高校選手権では、15年ぶりに全国へと帰ってきた帝京の“ジョーカー”として、いきなり大舞台でその実力の一端を見せ付ける。国立競技場で開催された開幕戦の京都橘高(京都)戦。後半途中から投入されると、同点に追い付かれた直後の35分に劇的な決勝ゴールをゲット。得点後はピッチサイドへと全速力で駆け出し、華麗な“膝スラ”まで披露したのだ。
「嬉し過ぎてとっさに出てしまった感じです(笑)。自分が交代で出てから点を決められて、正直メチャメチャ焦っていたので、あそこで決められて安心しましたし、嬉しくてついやっちゃいましたね」。
続く2回戦の金沢学院大附高(石川)戦でも、途中出場で1ゴールを記録。結果的に敗退を突き付けられた3回戦の明秀日立高(茨城)戦でも、やはり最初の交代カードとして後半開始早々から起用され、PK戦では1人目のキッカーとして冷静に成功。出場時間を考えても、一定以上のパフォーマンスを発揮していた印象もあるが、宮本は『できたこと』よりも『できなかったこと』を冷静に見つめている。
「金沢学院の時ももう1点決められましたし、京都橘の時も1対1は決められましたし、そういう大事なところをちゃんと決めないと得点王にはなれないと思いますし、シュートの調子はあまり良くなかったかなと。明秀の試合も最後の1対1を決めたら勝てたので、ここからも1個1個のシュートを意識してやっていきたいと思います」。
ただ、もちろん全国のステージを味わったことで、経験値が格段に上がったことは言うまでもない。とりわけ“聖地”のピッチに立った40分近い時間は、明らかに自身のメンタルにもポジティブな影響をもたらしてくれたようだ。
「国立のピッチに立ったからこそ、こういう選抜のピッチでも緊張はしなくなりましたね。実際は国立でもそこまで緊張はしなかったですけど、ああいう舞台でやりたい気持ちがもっと芽生えてきましたし、もっとレベルの高いところでやりたいという想いが強くなりました」。明らかに視線の先に捉え始めた、たどり着くべき“目的地”。チームとしてのそれも、以前よりはっきりと輪郭を帯びている。
「3つ上の代がインターハイで全国準優勝しましたけど、選手権までは正直全国優勝はあまり目に見えるような目標ではなかったんです。でも、今回選手権に出たことで『そこにも届きそうだな』と感じましたし、来年こそは先輩たちが開いてくれた扉をちゃんと使って、絶対に全国で優勝したいなと思っています」。
中学時代に所属していたバディージュニアユース横浜のチームメイトには、既にトップチームとプロ契約を締結した横浜FCユースのDF秦樹(2年)と、今回の選手権で大ブレイクを果たした前橋育英高のMF白井誠也(2年)が。「白井も秦も凄いので、負けてられないなと思っています」という言葉にも、負けず嫌いが垣間見える。彼らを超えるためには、とにかく結果。誰もが認める結果を出し続けるしかない。
その期待感は、間違いなく纏っている。2025年のカナリア軍団を、あるいはこの世代を牽引し得る、野心にあふれたストライカー。ここからの宮本周征が自身の名前をどこまで轟かせてくれるのか、今からとにかく楽しみだ。
(取材・文 土屋雅史)
●第103回全国高校サッカー選手権特集