フィリピンA代表に初選出され、学んだ「国を代表することの大切さ」。GKギマラエス・ニコラス(市立船橋)が日本高校選抜のゴールを守り抜く

日本高校選抜候補GK
[1.27 練習試合 日本高校選抜候補 5-7 東京国際大]
日本高校選抜の正守護神候補は、フィリピンA代表経験者だ。GKギマラエス・ニコラス(市立船橋高/3年=Wings U-15出身)は、東京国際大戦(30分×4本)に先発出場。1本目1-0だった駒澤大戦(26日)に続く無失点を目指してゴール前で存在感を放っていたが、味方のミス絡みの失点もあって2-2で30分間を終えた。
ただし、1年前のU-17日本高校選抜で主力を担ったギマラエスは、GK練習から成長した姿。「今年に向けて、特に足元で成長しようと思って1年間やったんで、その部分では他のGKに負けないようにプレーすることと、自分の持ち味である反応を活かしたシュートストップとかは見せたいと思っている」。その言葉通りのプレーに加え、課題だったキャッチングでも一発で取り切るなど、選考合宿でしっかりと実力を示している印象だ。
2年時から名門・市立船橋のゴールを守るギマラエスは、1年前の選手権で全国3位。今冬は優勝して日本高校選抜入りすることが目標だったが、チームは千葉県予選準決勝で敗れた。ギマラエスはPK戦を含めて好守を連発したものの、惜敗。それでも、プレミアリーグEAST終盤戦で5連勝、逆転残留を果たすなどチームが積み重ねてきたものに不満はない。千葉県内のライバル・流通経済大柏高が選手権決勝まで勝ち進んでくれて「良かった」という感情を持っていた。
選手権日本一の夢は叶わなかったものの、ギマラエスは掛け替えのない経験をして、日本高校選抜選考合宿に参加している。昨年12月、フィリピンA代表初選出。ブラジル人の父とフィリピン人の母を持つギマラエスはU-16フィリピン代表に選出された経歴を持っているが、海外組の招集が難しかったこともあって18歳でのA代表抜擢となった。
ギマラエスは市立船橋のプレミアリーグEAST最終節(12月8日)を欠場し、東南アジア最強を争うASEANカップに参戦するフィリピン代表に合流。同代表の3番手GKとして、準決勝までの全6試合でベンチ入りを果たした。特にグループステージのインドネシア戦(1-0で勝利)では立ち上がりに先発GKが負傷交代。2番手GKが交代出場したが、激しい試合の中でギマラエスはいつでもA代表デビューを果たせるように心身の準備をしていた。
チームは準決勝で敗れ、最後まで出場機会はなかった。だが、「いい経験でした。日本じゃ見れないような視野だとか経験だとか、たくさん積ませてもらえたので。選手がどういう価値観を持ったり、プロになることに対してどのように考えてるかとか、そういう知識を凄く頂くことができました」。プロになるには年齢は関係なく、生まれ育った国から外へ出てプロになることも多い。「常識が自分の中では変わった」。そして、フィリピン代表として戦っていく覚悟もより強固なものになった。
「もう、フィリピンを背負って戦いたい。この大会がきっかけで、凄いフィリピンが伸びそうな感じがありましたし、今、凄いサッカーする環境に対して国自体が取り組んできているので」。ギマラエスは日本で生まれ育っているが、幼少期に震災の影響で1年間、フィリピンで生活。その期間に英語を学び、日本に戻ってからもたびたび旅行に行ってフィリピンと接してきた。
「フィリピンを背負って戦えるっていうのは、凄い誇らしいものだなっていう風に自分の中で感じています」
国を背負って戦うのは、日本高校選抜も同じ。市立船橋の選手にも、選手権に出場した選手にも日本高校選抜に選ばれたかった選手は多数いるはずだ。「A代表やって、やっぱ国を代表することの大切さも理解できましたし、高校を代表するっていう、その大切さも凄く理解できています。(全国の高校生の)思いを背負って、誇らしいプレーをしたい」。強豪・順天堂大からプロ入りを目指すギマラエスは、高校3年生のこの時期に本気でサッカーできることに感謝。まずは競争を勝ち抜き、日本高校選抜メンバー入りを果たす。そして、特別な経験をしてきた守護神が、「NEXT GENERATION MATCH」(対U-18Jリーグ選抜)、大学生と戦う「デンソーカップチャレンジ」、そして欧州遠征で日本高校選抜のゴールを守り抜く。
(取材・文 吉田太郎)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
日本高校選抜の正守護神候補は、フィリピンA代表経験者だ。GKギマラエス・ニコラス(市立船橋高/3年=Wings U-15出身)は、東京国際大戦(30分×4本)に先発出場。1本目1-0だった駒澤大戦(26日)に続く無失点を目指してゴール前で存在感を放っていたが、味方のミス絡みの失点もあって2-2で30分間を終えた。
ただし、1年前のU-17日本高校選抜で主力を担ったギマラエスは、GK練習から成長した姿。「今年に向けて、特に足元で成長しようと思って1年間やったんで、その部分では他のGKに負けないようにプレーすることと、自分の持ち味である反応を活かしたシュートストップとかは見せたいと思っている」。その言葉通りのプレーに加え、課題だったキャッチングでも一発で取り切るなど、選考合宿でしっかりと実力を示している印象だ。
2年時から名門・市立船橋のゴールを守るギマラエスは、1年前の選手権で全国3位。今冬は優勝して日本高校選抜入りすることが目標だったが、チームは千葉県予選準決勝で敗れた。ギマラエスはPK戦を含めて好守を連発したものの、惜敗。それでも、プレミアリーグEAST終盤戦で5連勝、逆転残留を果たすなどチームが積み重ねてきたものに不満はない。千葉県内のライバル・流通経済大柏高が選手権決勝まで勝ち進んでくれて「良かった」という感情を持っていた。
選手権日本一の夢は叶わなかったものの、ギマラエスは掛け替えのない経験をして、日本高校選抜選考合宿に参加している。昨年12月、フィリピンA代表初選出。ブラジル人の父とフィリピン人の母を持つギマラエスはU-16フィリピン代表に選出された経歴を持っているが、海外組の招集が難しかったこともあって18歳でのA代表抜擢となった。
ギマラエスは市立船橋のプレミアリーグEAST最終節(12月8日)を欠場し、東南アジア最強を争うASEANカップに参戦するフィリピン代表に合流。同代表の3番手GKとして、準決勝までの全6試合でベンチ入りを果たした。特にグループステージのインドネシア戦(1-0で勝利)では立ち上がりに先発GKが負傷交代。2番手GKが交代出場したが、激しい試合の中でギマラエスはいつでもA代表デビューを果たせるように心身の準備をしていた。
チームは準決勝で敗れ、最後まで出場機会はなかった。だが、「いい経験でした。日本じゃ見れないような視野だとか経験だとか、たくさん積ませてもらえたので。選手がどういう価値観を持ったり、プロになることに対してどのように考えてるかとか、そういう知識を凄く頂くことができました」。プロになるには年齢は関係なく、生まれ育った国から外へ出てプロになることも多い。「常識が自分の中では変わった」。そして、フィリピン代表として戦っていく覚悟もより強固なものになった。
「もう、フィリピンを背負って戦いたい。この大会がきっかけで、凄いフィリピンが伸びそうな感じがありましたし、今、凄いサッカーする環境に対して国自体が取り組んできているので」。ギマラエスは日本で生まれ育っているが、幼少期に震災の影響で1年間、フィリピンで生活。その期間に英語を学び、日本に戻ってからもたびたび旅行に行ってフィリピンと接してきた。
「フィリピンを背負って戦えるっていうのは、凄い誇らしいものだなっていう風に自分の中で感じています」
国を背負って戦うのは、日本高校選抜も同じ。市立船橋の選手にも、選手権に出場した選手にも日本高校選抜に選ばれたかった選手は多数いるはずだ。「A代表やって、やっぱ国を代表することの大切さも理解できましたし、高校を代表するっていう、その大切さも凄く理解できています。(全国の高校生の)思いを背負って、誇らしいプレーをしたい」。強豪・順天堂大からプロ入りを目指すギマラエスは、高校3年生のこの時期に本気でサッカーできることに感謝。まずは競争を勝ち抜き、日本高校選抜メンバー入りを果たす。そして、特別な経験をしてきた守護神が、「NEXT GENERATION MATCH」(対U-18Jリーグ選抜)、大学生と戦う「デンソーカップチャレンジ」、そして欧州遠征で日本高校選抜のゴールを守り抜く。
(取材・文 吉田太郎)
●第103回全国高校サッカー選手権特集