20ゴールを積み重ねたプレミア得点王は思考するストライカー。大津FW山下景司は選手権と高校選抜選考合宿で得た「今の自分に足りないもの」を追求し続ける
日本高校選抜候補のストライカー、
[1.27 練習試合 日本高校選抜候補 5-7 東京国際大]
シーズンの最後の最後で突き付けられた悔しさは、自分に成長の余地が十分残されていることを教えてくれた。ゴールを重ねることで積み上げた自信を纏いつつ、逆に覆い隠されていた課題を見つめ直して、必ずこの世代を代表するストライカーになってやる。
「自分は身体能力もそんなに高くないですし、速くもなくて、大きくもないので、総合的に何でもできる選手にならないといけないですし、ゴール前の一瞬のところで、より違いを見せられる選手になっていきたいと思います」。
プレミアリーグWESTの得点王に輝いた、火の国に育まれた才気あふれるストライカー。FW山下景司(大津高/3年=ソレッソ熊本出身)は高校選手権と日本高校選抜の選考合宿で実感した『今の自分に足りないもの』を、より追及する日常と向き合っていく。
「もっとゴールを決めるイメージを持っていたんですけど、そんなに甘くなかったですね。あれだけしっかり警戒された中での大会は初めてだったので、そこで3試合を戦った経験は本当に貴重でしたし、そういった中で何ができるのかというところで、自分の力をまだまだつけていかないといけないなと思いました」。
プレミア王者の称号を胸に、1年間の集大成として臨んだ高校選手権。優勝候補筆頭という評価も得ながら、明確に日本一だけを目指して挑んだ大会は、大津高(熊本)にとっても、山下にとっても、望んだような結果は手繰り寄せられなかった。
とりわけ印象深いのは、大会ベストゲームという声も多かった3回戦の流通経済大柏高(千葉)戦。「ずっと一発を狙っていたのに仕留め切れなかったところはありますし、前線で基点になることもできなかったので、勝負は紙一重ではあったと思うんですけど、まだまだ力が足りなかったかなと思います」と振り返る山下は決定機をモノにできず、試合は1-2で敗戦。高校年代二冠へのチャレンジはベスト16で幕を閉じることになる。
周囲の期待を集めたプレミア得点王も、3試合で奪ったのは初戦の福井商高(福井)戦で挙げた1ゴールのみ。2回戦の札幌大谷高(北海道)戦ではPK失敗も味わい、大会前に掲げていた“10得点”という大会記録には及ばなかった。
「プレミアファイナルに勝って、本当に価値のあるタイトルを獲れたと思うんですけど、自分としても、チームとしても、選手権で勝ちたい想いが一番強かったので、ファイナルで日本一になった後に、選手権で日本一になれなかったことで、『まだまだだぞ』とサッカーの神様から言われたような気がしますし、自分も1年間のリーグ戦で20点を獲って、自信がある中で臨んだ大会で1得点ということで、『まだ力が足りないぞ』というのを教えられた感じがしました」。
対戦相手からの警戒度も、周囲から見られるハードルも上がった中で、結果を出すのが本物のストライカー。もともと合わせ持っている成長への強い意欲が、選手権での体験を経てより刺激されたであろうことは、想像に難くない。
流経大柏戦から約3週間が経ち、招集された日本高校選抜の選考合宿。山下は自分の力を出し切れないもどかしさを感じていた。
「フォワードは8人いるんですけど、全員良い選手ですし、まだ自分の良さは全然出せていないかなと。大津高校でやっていることとやり方も違いますし、周りの選手がどういったプレーをするかもわからないところもあって、自分は特にわかりやすいプレーヤーではないので、ちょっと難しいところはあるかなと思います」。
2日目は駒澤大(関東大学2部L)、3日目は東京国際大(関東大学1部L)と対峙したトレーニングマッチでも、なかなか良い形でフィニッシュに関わるまでには至らず、「ゴール前のところには入っていけていないので、ちょっとビルドアップに参加するところも頑張ってチャレンジしています」とチームの中で果たすべき役割を探っていく。
一方でオフ・ザ・ピッチでは、新鮮な発見もあったという。「今回は4人部屋なんですけど、ケリー(オノノジュ慶吏)と粕谷(悠)と森田(晃)が一緒で、みんな1回も喋ったことがなかったんですけど、喋ってみたら凄く人間味があるというか、サッカーをしているところしか見たことがなかったので、『同じ高校生なんだな』と思いましたね(笑)」
「対戦相手で試合をやったことのある選手が、しかも相手にいて嫌だった選手が味方になるのは凄く心強いですし、勉強にもなりますし、この選抜でも最後まで選ばれて、彼らとチームメイトになりたいなと思っています」。少しずつ周囲とのコミュニケーションも深めながら、自分の色を周囲に浸透させることにも懸命に取り組んでいるようだ。
卒業後には大学屈指のタレントが居並ぶ筑波大へと進学する。フォワード陣には高校の先輩でもある小林俊瑛や、既に大学サッカー界を代表するストライカーとして知られる内野航太郎を筆頭に、強力な選手が揃っているだけに、シビアな競争が待っていることは間違いない。
「今までのサッカー人生の中でも一番レベルの高い、凄く競争の激しいところに行くので、もちろんポジションを取りたい気持ちはありますけど、この3年間は試合に出てきたことでごまかしてきた部分もあったので、焦らずに課題を克服しながら、成長するところにフォーカスしてやっていきたいと思います。1年目に関しては、途中からでもいいのでリーグ戦に出て、得点を決めてチームを勝たせる気持ちでやっていきたいです」。
世代有数の守備者たちを向こうに回し、プレミアで20ゴールを積み重ねた得点感覚は伊達ではない。自分の核にある『ゴールを奪う』という絶対軸はブラすことなく、さらにプレーの幅を広げて、必ず誰もが認める存在にのし上がってやる。謙虚な向上心と自分を客観視できる思考力を備えたストライカー。山下景司は自らが出し続ける結果で、煌く未来へと続いていく道を切り拓く。


(取材・文 土屋雅史)
●第103回全国高校サッカー選手権特集
シーズンの最後の最後で突き付けられた悔しさは、自分に成長の余地が十分残されていることを教えてくれた。ゴールを重ねることで積み上げた自信を纏いつつ、逆に覆い隠されていた課題を見つめ直して、必ずこの世代を代表するストライカーになってやる。
「自分は身体能力もそんなに高くないですし、速くもなくて、大きくもないので、総合的に何でもできる選手にならないといけないですし、ゴール前の一瞬のところで、より違いを見せられる選手になっていきたいと思います」。
プレミアリーグWESTの得点王に輝いた、火の国に育まれた才気あふれるストライカー。FW山下景司(大津高/3年=ソレッソ熊本出身)は高校選手権と日本高校選抜の選考合宿で実感した『今の自分に足りないもの』を、より追及する日常と向き合っていく。
「もっとゴールを決めるイメージを持っていたんですけど、そんなに甘くなかったですね。あれだけしっかり警戒された中での大会は初めてだったので、そこで3試合を戦った経験は本当に貴重でしたし、そういった中で何ができるのかというところで、自分の力をまだまだつけていかないといけないなと思いました」。
プレミア王者の称号を胸に、1年間の集大成として臨んだ高校選手権。優勝候補筆頭という評価も得ながら、明確に日本一だけを目指して挑んだ大会は、大津高(熊本)にとっても、山下にとっても、望んだような結果は手繰り寄せられなかった。
とりわけ印象深いのは、大会ベストゲームという声も多かった3回戦の流通経済大柏高(千葉)戦。「ずっと一発を狙っていたのに仕留め切れなかったところはありますし、前線で基点になることもできなかったので、勝負は紙一重ではあったと思うんですけど、まだまだ力が足りなかったかなと思います」と振り返る山下は決定機をモノにできず、試合は1-2で敗戦。高校年代二冠へのチャレンジはベスト16で幕を閉じることになる。
周囲の期待を集めたプレミア得点王も、3試合で奪ったのは初戦の福井商高(福井)戦で挙げた1ゴールのみ。2回戦の札幌大谷高(北海道)戦ではPK失敗も味わい、大会前に掲げていた“10得点”という大会記録には及ばなかった。
「プレミアファイナルに勝って、本当に価値のあるタイトルを獲れたと思うんですけど、自分としても、チームとしても、選手権で勝ちたい想いが一番強かったので、ファイナルで日本一になった後に、選手権で日本一になれなかったことで、『まだまだだぞ』とサッカーの神様から言われたような気がしますし、自分も1年間のリーグ戦で20点を獲って、自信がある中で臨んだ大会で1得点ということで、『まだ力が足りないぞ』というのを教えられた感じがしました」。
対戦相手からの警戒度も、周囲から見られるハードルも上がった中で、結果を出すのが本物のストライカー。もともと合わせ持っている成長への強い意欲が、選手権での体験を経てより刺激されたであろうことは、想像に難くない。
流経大柏戦から約3週間が経ち、招集された日本高校選抜の選考合宿。山下は自分の力を出し切れないもどかしさを感じていた。
「フォワードは8人いるんですけど、全員良い選手ですし、まだ自分の良さは全然出せていないかなと。大津高校でやっていることとやり方も違いますし、周りの選手がどういったプレーをするかもわからないところもあって、自分は特にわかりやすいプレーヤーではないので、ちょっと難しいところはあるかなと思います」。
2日目は駒澤大(関東大学2部L)、3日目は東京国際大(関東大学1部L)と対峙したトレーニングマッチでも、なかなか良い形でフィニッシュに関わるまでには至らず、「ゴール前のところには入っていけていないので、ちょっとビルドアップに参加するところも頑張ってチャレンジしています」とチームの中で果たすべき役割を探っていく。
一方でオフ・ザ・ピッチでは、新鮮な発見もあったという。「今回は4人部屋なんですけど、ケリー(オノノジュ慶吏)と粕谷(悠)と森田(晃)が一緒で、みんな1回も喋ったことがなかったんですけど、喋ってみたら凄く人間味があるというか、サッカーをしているところしか見たことがなかったので、『同じ高校生なんだな』と思いましたね(笑)」
「対戦相手で試合をやったことのある選手が、しかも相手にいて嫌だった選手が味方になるのは凄く心強いですし、勉強にもなりますし、この選抜でも最後まで選ばれて、彼らとチームメイトになりたいなと思っています」。少しずつ周囲とのコミュニケーションも深めながら、自分の色を周囲に浸透させることにも懸命に取り組んでいるようだ。
卒業後には大学屈指のタレントが居並ぶ筑波大へと進学する。フォワード陣には高校の先輩でもある小林俊瑛や、既に大学サッカー界を代表するストライカーとして知られる内野航太郎を筆頭に、強力な選手が揃っているだけに、シビアな競争が待っていることは間違いない。
「今までのサッカー人生の中でも一番レベルの高い、凄く競争の激しいところに行くので、もちろんポジションを取りたい気持ちはありますけど、この3年間は試合に出てきたことでごまかしてきた部分もあったので、焦らずに課題を克服しながら、成長するところにフォーカスしてやっていきたいと思います。1年目に関しては、途中からでもいいのでリーグ戦に出て、得点を決めてチームを勝たせる気持ちでやっていきたいです」。
世代有数の守備者たちを向こうに回し、プレミアで20ゴールを積み重ねた得点感覚は伊達ではない。自分の核にある『ゴールを奪う』という絶対軸はブラすことなく、さらにプレーの幅を広げて、必ず誰もが認める存在にのし上がってやる。謙虚な向上心と自分を客観視できる思考力を備えたストライカー。山下景司は自らが出し続ける結果で、煌く未来へと続いていく道を切り拓く。


(取材・文 土屋雅史)
●第103回全国高校サッカー選手権特集


