[新人戦]準決勝から先発総入れ替えの決勝も3-0。選手層の厚さを示した尚志が東北連覇

[2.3 東北高校新人大会決勝 学法石川高 0-3 尚志高 JヴィレッジP3]
第24回東北高等学校新人サッカー選手権大会(福島・Jヴィレッジ)は3日午後に決勝を行い、尚志高(福島1)が3-0で学法石川高(福島2)に快勝。2年連続5回目の優勝を飾った。
決勝は尚志対帝京安積高だった前回大会に続き、福島県勢対決に。学法石川の先発はGK福岡琉真(2年)、DF小高陽葵(2年)、石野裕也主将(2年)、野口侑真(2年)、高畑光汰(2年)、MF前田昇太朗(2年)、板倉紘誠(2年)、阿部遙希(2年)、中山拓翔(1年)、FW豊島光稀(2年)、前田翔汰(1年)の11人。エースFW村田駿助(2年)とGK小嶺秀介(2年)を欠く中での戦いも、堅い守りで1点差ゲームを制して勝ち上がってきた。


一方、尚志は東北学院高(宮城2、2-0)との準決勝から先発11人を総入れ替え。GK門井宏樹(2年)、DF中村快生(1年)、迫田悠聖(1年)、中村一平(1年)、星宗介(1年)、ゲーム主将のMF角虎一(2年)、若林衣武希(1年)、日比野修吾(2年)、奥村玲央(1年)、FW永岡透弥(2年)、京増倫泰(1年)の11人でスタートした。


稲田正信監督が「この冬は守備とか。全国レベルのチームに守って守ってじゃなくて自由を奪いに行くということに焦点を絞ってやってきた」と語ったように、立ち上がりは学法石川が前からの守備で主導権。高い位置でボールを奪い返し、右SB小高のミドルシュートや阿部、板倉の縦へのドリブル、前田の裏抜け、ロングスローなどで先制点を目指した。前半14分には豊島がDFをかわして左足シュート。だが、これは尚志GK門井が横っ飛びで弾き出した。


尚志は1年生の4バックがややバタつくシーンもあったが、梅津知巳コーチが「練習を見ていると(現在の主軸組と)そんなに変わらないですよ。出来ないわけではないので、出来れば点数は入るだろうなと思っていました」と振り返る。左SB星が対人の強さを見せたほか、CB中村一とCB迫田の両CBも徐々に落ち着いて力を発揮するようになっていった。
そして、中村快の攻め上がりから、永岡、日比野と繋いで押し返したシーンや、若林のループパスに奥村が反応するシーンも。だが、学法石川もGK福田やCB石野の身体を張ったプレーを見せたほか、CB野口が高さを発揮するなど対抗する。また、前田がセカンドボールを回収し、1年生MF中山はプレーエリア広くボールに係わるなど存在感のある動きを見せていた。
23分には豊島が相手のミスパスをインターセプトし、PAへ。だが、尚志MF若林がスライディングタックルでブロックする。また、尚志はMF角が身体を張ったプレーでチームを鼓舞。相手の浅いDFラインの背後を突くなど、徐々に攻撃のリズムも出ると33分、グラウンダーの縦パスが前線へ入り、右中間で前を向いた京増がスルーパスを通す。これで永岡が抜け出し、右足で先制点を流し込んだ。




先制した尚志は、後半開始から日比野に代えてMF大熊瑠空(1年)を投入。6分には京増の落としから奥村の放ったシュートが右ポストを叩いた。後半は立ち上がりから尚志がゴール前へ攻め込むシーンを増やしたが、学法石川もCB石野のシュートブロックなどで食い下がる。それでも13分、尚志は角の左CKから中村快がヘディングシュート。クロスバーの跳ね返りを星が左足で押し込み、2-0とした。


学法石川は17分にFW比佐光来(2年)とFW佐藤叡心(2年)を同時投入。尚志もCB桑原快斗(2年)を投入して最終ラインの並びを変え、星を中盤へ上げた。尚志は22分、交代出場の大熊や後半にスキルとアイディアを見せつけていた若林が連続で決定的なシュート。学法石川は左SB高畑がタックルを決めたほか、GK福田の好セーブなどで粘り強く戦っていたが、尚志はGK青山昂生(2年)投入後の後半25分に追加点を奪う。


大熊のパスを右サイドで受けたSB迫田が右足を振り抜くと、ボールはGK頭上を越えて逆サイドのゴールネットを揺らした。学法石川は24分にMF東日下翔太(1年)とDF加藤依吹(2年)、34分にMF諸根優冴(1年)を加えて反撃したが、1点を奪えずに試合終了。尚志が2連覇を達成した。


今大会、尚志は仲村浩二監督が不在の中で各選手がアピール。現時点でのサブ組中心、1年生8人が先発した決勝を勝ち切るなど、選手層の厚さも示した。梅津コーチは「今回は色々ポジションを動かしたので。右、左に変えたり、トップ下行けとかやれる場所を増やしたのでいい経験になったかなと思います」と頷く。昨年からセカンドチームとしてプリンスリーグ東北や遠征を経験している2年生たちは順調な仕上がり。ここから本格的なシーズン開幕へ向け、再構築しながらチームを作り上げていく。
今回の優勝は選手たちにとって“恩返し”のタイトル奪取でもあった。仲村監督が習志野高(千葉)時代に指導を受けた恩師で、7年間に渡って尚志の指導をしてきた小室雅弘コーチが退任。地元に戻り、母校・習志野の指導を続ける予定なのだという。
主将のMF小曽納奏(2年)は「勝って終わりたいと思っていたので、小室さんに良い思い出を作れたので良かった。(学んだことの)一番は自分にフォーカスするということで、人に矢印を向けてしまうこともあるけれど、その中でまず自分の原因を探して自分を変えれば、チームも変わっていくのでそういうところを意識していました」。今大会の青森山田高(青森1)戦で小曽納は失点に繋がるミス。だが、「(試合中に後悔するのではなく)『試合が終わってから反省しろ』と言われて、その中で上手く切り替えて山田戦の後半に臨めたので、そのアドバイスのお陰で山田戦勝てたんで感謝しています」と語った。
また、今大会でブレイクした一人、187cmCB松澤琉真(2年)も「小室さん、結構(Aチームに上がった)去年から自分お世話になっていて、色んなことを教えてもらいました。小室さんのお陰でサッカーが楽しくなったし、やれることも増えたので、最後の最後にいいプレゼントができて良かったと思います」。小室コーチは最終戦も普段通りにベンチから立たずに、選手に考えさせる指導。尚志での7年間を「幸せだったね」と振り返った。選手たちはここからまた努力を重ね、個人、チームで成長した姿を恩師に見せる。


(取材・文 吉田太郎)
第24回東北高等学校新人サッカー選手権大会(福島・Jヴィレッジ)は3日午後に決勝を行い、尚志高(福島1)が3-0で学法石川高(福島2)に快勝。2年連続5回目の優勝を飾った。
決勝は尚志対帝京安積高だった前回大会に続き、福島県勢対決に。学法石川の先発はGK福岡琉真(2年)、DF小高陽葵(2年)、石野裕也主将(2年)、野口侑真(2年)、高畑光汰(2年)、MF前田昇太朗(2年)、板倉紘誠(2年)、阿部遙希(2年)、中山拓翔(1年)、FW豊島光稀(2年)、前田翔汰(1年)の11人。エースFW村田駿助(2年)とGK小嶺秀介(2年)を欠く中での戦いも、堅い守りで1点差ゲームを制して勝ち上がってきた。


学法石川の先発メンバー
一方、尚志は東北学院高(宮城2、2-0)との準決勝から先発11人を総入れ替え。GK門井宏樹(2年)、DF中村快生(1年)、迫田悠聖(1年)、中村一平(1年)、星宗介(1年)、ゲーム主将のMF角虎一(2年)、若林衣武希(1年)、日比野修吾(2年)、奥村玲央(1年)、FW永岡透弥(2年)、京増倫泰(1年)の11人でスタートした。


尚志は準決勝から先発11人を入れ替えて決勝に臨んだ
稲田正信監督が「この冬は守備とか。全国レベルのチームに守って守ってじゃなくて自由を奪いに行くということに焦点を絞ってやってきた」と語ったように、立ち上がりは学法石川が前からの守備で主導権。高い位置でボールを奪い返し、右SB小高のミドルシュートや阿部、板倉の縦へのドリブル、前田の裏抜け、ロングスローなどで先制点を目指した。前半14分には豊島がDFをかわして左足シュート。だが、これは尚志GK門井が横っ飛びで弾き出した。


学法石川のFW豊島光稀がドリブルシュート
尚志は1年生の4バックがややバタつくシーンもあったが、梅津知巳コーチが「練習を見ていると(現在の主軸組と)そんなに変わらないですよ。出来ないわけではないので、出来れば点数は入るだろうなと思っていました」と振り返る。左SB星が対人の強さを見せたほか、CB中村一とCB迫田の両CBも徐々に落ち着いて力を発揮するようになっていった。
そして、中村快の攻め上がりから、永岡、日比野と繋いで押し返したシーンや、若林のループパスに奥村が反応するシーンも。だが、学法石川もGK福田やCB石野の身体を張ったプレーを見せたほか、CB野口が高さを発揮するなど対抗する。また、前田がセカンドボールを回収し、1年生MF中山はプレーエリア広くボールに係わるなど存在感のある動きを見せていた。
23分には豊島が相手のミスパスをインターセプトし、PAへ。だが、尚志MF若林がスライディングタックルでブロックする。また、尚志はMF角が身体を張ったプレーでチームを鼓舞。相手の浅いDFラインの背後を突くなど、徐々に攻撃のリズムも出ると33分、グラウンダーの縦パスが前線へ入り、右中間で前を向いた京増がスルーパスを通す。これで永岡が抜け出し、右足で先制点を流し込んだ。


尚志のゲーム主将、MF角虎一がセカンドボールを追う


前半33分、尚志FW永岡透弥が先制ゴール
先制した尚志は、後半開始から日比野に代えてMF大熊瑠空(1年)を投入。6分には京増の落としから奥村の放ったシュートが右ポストを叩いた。後半は立ち上がりから尚志がゴール前へ攻め込むシーンを増やしたが、学法石川もCB石野のシュートブロックなどで食い下がる。それでも13分、尚志は角の左CKから中村快がヘディングシュート。クロスバーの跳ね返りを星が左足で押し込み、2-0とした。


後半13分、ゴール前の混戦から尚志DF星宗介(22番)が追加点
学法石川は17分にFW比佐光来(2年)とFW佐藤叡心(2年)を同時投入。尚志もCB桑原快斗(2年)を投入して最終ラインの並びを変え、星を中盤へ上げた。尚志は22分、交代出場の大熊や後半にスキルとアイディアを見せつけていた若林が連続で決定的なシュート。学法石川は左SB高畑がタックルを決めたほか、GK福田の好セーブなどで粘り強く戦っていたが、尚志はGK青山昂生(2年)投入後の後半25分に追加点を奪う。


学法石川DF陣もよく食い下がった
大熊のパスを右サイドで受けたSB迫田が右足を振り抜くと、ボールはGK頭上を越えて逆サイドのゴールネットを揺らした。学法石川は24分にMF東日下翔太(1年)とDF加藤依吹(2年)、34分にMF諸根優冴(1年)を加えて反撃したが、1点を奪えずに試合終了。尚志が2連覇を達成した。


後半25分、尚志DF迫田悠聖が右サイドから右足を振り抜き、3点目のゴール
今大会、尚志は仲村浩二監督が不在の中で各選手がアピール。現時点でのサブ組中心、1年生8人が先発した決勝を勝ち切るなど、選手層の厚さも示した。梅津コーチは「今回は色々ポジションを動かしたので。右、左に変えたり、トップ下行けとかやれる場所を増やしたのでいい経験になったかなと思います」と頷く。昨年からセカンドチームとしてプリンスリーグ東北や遠征を経験している2年生たちは順調な仕上がり。ここから本格的なシーズン開幕へ向け、再構築しながらチームを作り上げていく。
今回の優勝は選手たちにとって“恩返し”のタイトル奪取でもあった。仲村監督が習志野高(千葉)時代に指導を受けた恩師で、7年間に渡って尚志の指導をしてきた小室雅弘コーチが退任。地元に戻り、母校・習志野の指導を続ける予定なのだという。
主将のMF小曽納奏(2年)は「勝って終わりたいと思っていたので、小室さんに良い思い出を作れたので良かった。(学んだことの)一番は自分にフォーカスするということで、人に矢印を向けてしまうこともあるけれど、その中でまず自分の原因を探して自分を変えれば、チームも変わっていくのでそういうところを意識していました」。今大会の青森山田高(青森1)戦で小曽納は失点に繋がるミス。だが、「(試合中に後悔するのではなく)『試合が終わってから反省しろ』と言われて、その中で上手く切り替えて山田戦の後半に臨めたので、そのアドバイスのお陰で山田戦勝てたんで感謝しています」と語った。
また、今大会でブレイクした一人、187cmCB松澤琉真(2年)も「小室さん、結構(Aチームに上がった)去年から自分お世話になっていて、色んなことを教えてもらいました。小室さんのお陰でサッカーが楽しくなったし、やれることも増えたので、最後の最後にいいプレゼントができて良かったと思います」。小室コーチは最終戦も普段通りにベンチから立たずに、選手に考えさせる指導。尚志での7年間を「幸せだったね」と振り返った。選手たちはここからまた努力を重ね、個人、チームで成長した姿を恩師に見せる。


尚志はインターハイ、選手権、プレミアリーグ昇格を目指す
(取材・文 吉田太郎)