[MOM5025]尚志MF小曽納奏(2年)_課題を改善し、今や“守備職人”に。東北新人も「守備は誰よりも頑張った自信があります」
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[2.3 東北高校新人大会準決勝 尚志高 2-0 東北学院高 JヴィレッジP5]
第24回東北高等学校新人サッカー選手権大会で2連覇を果たした尚志高(福島1)は、4試合で14得点を奪った攻撃陣に目が行くが、主将を務めるMF小曽納奏(2年)の存在は欠かせなかった。
目を惹くのは守備能力の高さだ。「前に上がりたくなっちゃう選手が多いので、自分は常に周り見てリスク管理したり、攻撃のこぼれ球を拾うために頭を動かして常に予測して動いている」。言葉通り、セカンドボールの落下点やピンチになりそうな場面に先回りしてボール奪取。抜かれそうになってもスライディングで刈り取り、攻撃へと繋いでいく。大会を通して攻撃陣だけでなく、守備の選手も思い切りよく前に出ていけたのはボランチに安心できる彼がいたからだ。
東北学院高(宮城2)と対戦した準決勝でも彼のプレーは光っていた。前日に挑んだ2回戦の青森山田高戦では自陣からのビルドアップを奪われ、先制点を献上。小室雅弘コーチに「終わったことは振り返られないで、試合が終わってから反省しろ」と言われたことでうまく気持ちを切り替えた結果、後半の逆転劇に繋げたものの、準決勝は「自信を持ってプレーできなかった」と振り返える。
ただ、この日はビルドアップの際に周りの選手が小曽納を上手くサポート。周りとの距離感が近くなったことで受けてからパスも展開しやすく、タッチ数を減らそうと意識して前にボールを付けた結果、小曽納から攻撃が前進できるシーンが増えた。持ち味である守備での貢献度も高く、試合後はこう胸を張る姿が印象的だった。「攻撃は周りに助けてもらっていたのですが、得意な守備だけは絶対に頑張ろうと思っていた。決勝に行くために守備は誰よりも頑張った自信があります」。
今でこそ守備職人としての立場を確立しているが、鹿島アントラーズノルテジュニアユース時代はパサータイプの選手で守備は苦手だったという。進学先として尚志を選んだ理由もパスサッカーがしたかったから。練習参加した際に仲村浩二監督が、選手自らが考えて上手くなれるように指導をしているとも知り、入学する意思を固めたが、当時の評価は決して高くなかった。
高校に入学した当初は1年生チームでも出番が少なく、スタッフからも「守備ができないと試合には出られない」と言われていた。小曽納自身も同級生のライバルとプレーする中、攻撃で目立つのは厳しいと感じ、守備を頑張るようになった。プレッシャーをかける際は寄せる角度や相手がどこに視線を送っているかなど細かな部分まで気を配るようになった。また、これまでは練習でしてこなかったスライディングもするようになったという。
守備での成長を認められ、昨年はプリンスリーグ東北を戦ったBチームで出場機会を重ねながら、シーズン終盤にはAチームが戦うプレミアリーグも経験。出場時間は3試合で10分だったが、「勝っている中での試合の締め方を経験して段々、守備力を上げることができた」。
最終学年を迎えた今年はキャプテンを任されるまでになったが、現状に満足していない。「今は守備を頑張っていますが、全部できる選手にならないなといけない。奪ってからの一歩目でスルーパスを通したり、質を上げないとボランチで生きていけないと思うので、取ってからの質をどんどん上げていきたい」。これから1年間、小曽納の存在感が更に高まればチームもより高みへと行くことができるはずだ。
(取材・文 森田将義)
[2.3 東北高校新人大会準決勝 尚志高 2-0 東北学院高 JヴィレッジP5]
第24回東北高等学校新人サッカー選手権大会で2連覇を果たした尚志高(福島1)は、4試合で14得点を奪った攻撃陣に目が行くが、主将を務めるMF小曽納奏(2年)の存在は欠かせなかった。
目を惹くのは守備能力の高さだ。「前に上がりたくなっちゃう選手が多いので、自分は常に周り見てリスク管理したり、攻撃のこぼれ球を拾うために頭を動かして常に予測して動いている」。言葉通り、セカンドボールの落下点やピンチになりそうな場面に先回りしてボール奪取。抜かれそうになってもスライディングで刈り取り、攻撃へと繋いでいく。大会を通して攻撃陣だけでなく、守備の選手も思い切りよく前に出ていけたのはボランチに安心できる彼がいたからだ。
東北学院高(宮城2)と対戦した準決勝でも彼のプレーは光っていた。前日に挑んだ2回戦の青森山田高戦では自陣からのビルドアップを奪われ、先制点を献上。小室雅弘コーチに「終わったことは振り返られないで、試合が終わってから反省しろ」と言われたことでうまく気持ちを切り替えた結果、後半の逆転劇に繋げたものの、準決勝は「自信を持ってプレーできなかった」と振り返える。
ただ、この日はビルドアップの際に周りの選手が小曽納を上手くサポート。周りとの距離感が近くなったことで受けてからパスも展開しやすく、タッチ数を減らそうと意識して前にボールを付けた結果、小曽納から攻撃が前進できるシーンが増えた。持ち味である守備での貢献度も高く、試合後はこう胸を張る姿が印象的だった。「攻撃は周りに助けてもらっていたのですが、得意な守備だけは絶対に頑張ろうと思っていた。決勝に行くために守備は誰よりも頑張った自信があります」。
今でこそ守備職人としての立場を確立しているが、鹿島アントラーズノルテジュニアユース時代はパサータイプの選手で守備は苦手だったという。進学先として尚志を選んだ理由もパスサッカーがしたかったから。練習参加した際に仲村浩二監督が、選手自らが考えて上手くなれるように指導をしているとも知り、入学する意思を固めたが、当時の評価は決して高くなかった。
高校に入学した当初は1年生チームでも出番が少なく、スタッフからも「守備ができないと試合には出られない」と言われていた。小曽納自身も同級生のライバルとプレーする中、攻撃で目立つのは厳しいと感じ、守備を頑張るようになった。プレッシャーをかける際は寄せる角度や相手がどこに視線を送っているかなど細かな部分まで気を配るようになった。また、これまでは練習でしてこなかったスライディングもするようになったという。
守備での成長を認められ、昨年はプリンスリーグ東北を戦ったBチームで出場機会を重ねながら、シーズン終盤にはAチームが戦うプレミアリーグも経験。出場時間は3試合で10分だったが、「勝っている中での試合の締め方を経験して段々、守備力を上げることができた」。
最終学年を迎えた今年はキャプテンを任されるまでになったが、現状に満足していない。「今は守備を頑張っていますが、全部できる選手にならないなといけない。奪ってからの一歩目でスルーパスを通したり、質を上げないとボランチで生きていけないと思うので、取ってからの質をどんどん上げていきたい」。これから1年間、小曽納の存在感が更に高まればチームもより高みへと行くことができるはずだ。
(取材・文 森田将義)