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[新人戦]台頭してきた2年生も躍動の神村学園が日章学園に2-0で勝利。男女での九州連覇に王手

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後半34分、神村学園高はU-17日本高校選抜候補MF福島和毅(14番)が決めて2-0

[2.17 九州高校新人大会準決勝 神村学園高 2-0 日章学園高 ブラックモンブランフットボールセンター南]

 KYFA男子第46回九州高等学校(U-17)サッカー大会は17日午後、準決勝を行い、前回大会優勝の神村学園高(鹿児島1)が2-0で日章学園高(宮崎1)に勝利。神村学園は18日の決勝で東福岡高(福岡1)と戦う。

 神村学園はこの日午前の準々決勝で東海大熊本星翔高(熊本2)を3-1で退け、予選リーグから4連勝で準決勝進出。先発はGK江田優大(2年)、右SB富松颯人(2年)、U-17日本高校選抜候補CB中野陽斗主将(2年)、CB春田和哉(2年)、左SB中村大志(2年)、中盤は中央にU-17日本高校選抜候補MF佐々木悠太(2年)と岡本桂乙(2年)が構え、右に樹本琉空(2年)、左に大田翔亜(2年)、そしてFW倉中悠駕(2年)と東若泰雅(2年)の11人。準々決勝から先発4人を入れ替えた。

神村学園の先発イレブン

 一方の日章学園も予選リーグ3連勝。準々決勝ではGK西森和浩(2年)がPK戦で2本を止め、飯塚高(福岡2)に競り勝っている。準決勝の先発はGKが西森で右SB玉井結翔(1年)、CB久田朝日(2年)、CB藤山真(2年)、左SB小林祐輔(2年)、中盤はダブルボランチが野口昊平主将(2年)と松田恭成(2年)で、右SH田口眞(2年)、左SH脇元亮汰(2年)、そして矢野瑛大(1年)と大平陽稀(1年)が2トップを務めた。こちらも準々決勝から2人を入れ替えて準決勝に臨んだ。

日章学園の先発イレブン

 立ち上がりから神村学園がボールを保持。樹本、大田の両翼が縦へ仕掛けたほか、富松、中村の両SBも積極的に攻め上がった。3分には右CKをファーの中野が頭で合わせ、10分には岡本の右足ミドルが枠を捉える。このシュートは日章学園GK西森が反応良く手に当て、クロスバーをヒット。日章学園も矢野が浮き球を胸で収めて起点となり、自らフィニッシュに持ち込むなど攻め返すも、前半は神村学園が主導権を握って試合を進めた。

日章学園のGK西森和浩はゴール前で存在感

「予測して相手の位置とかも確認しながら、できるだけ多く回収して、2次攻撃できるようには意識しています」という岡本が攻撃でもギャップでボールを受けながらテンポ良くパス。独特の感覚のパス、ゲームコントロールを見せる佐々木とともに攻撃を組み立て、倉中や東若がスペースを鋭く突いてゴール前のシーンを作り出していた。

神村学園のMF岡本桂乙はボール奪取力と前へ姿勢も発揮。右足シュートを日章学園CB藤山真がブロック

 そして、果敢にゴール前へ潜り込む岡本がワンツーやドリブルからシュート。一方の日章学園も選手権で右SBを務めていた野口がボランチのポジションで回収力を発揮し、縦パスをつけるなど存在感を放つ。24分には玉井と右SB柴尾大夢(1年)を交代。サイドを破られてもゴール前で藤山や久田が粘り強く弾き返し、ハイボールに絶対の自信を持つGK西森がチームに安心感を与えていた。

日章学園の中盤で攻守に効いていたMF野口昊平主将

 日章学園の強度や切り替えのスピードが試合の中で向上。矢野、大平の2トップが健闘し、前半終了間際には脇元の右FKから久田がヘディングシュートを放った。前半は0-0で終了。神村学園は後半開始から富松、大田、東若、樹本に代えて右SB堀ノ口瑛太(2年)、U-17日本高校選抜候補のボランチMF福島和毅(2年)、右SH細山田怜真(2年)、準々決勝で2得点1アシストのFW徳村楓大(2年)を投入し、佐々木を左SHへ移した。

 徳村が前線から落ちて力強くボールを受けたほか、鋭くスペースへ。岡本が「前に徳村とか入ると推進力がかなり出るんで、相手のボランチがプレスバックしに落ちた時とかには、自分の前のスペースはかなりできると思うんで、かなりやりやすかった」というように、攻撃に変化が生まれる。また、圧倒的なキープ力を持つ福島がドリブルとテンポの速いパスを織り交ぜたゲームメイク。これに佐々木、岡本らが係わって攻めたが、日章学園は集中した守備を続けて簡単にはシュートを打たせない。

 その日章学園は9分に松田と田口をMF渡会楓馬(2年)とMF谷恭輔(1年)へスイッチ。13分には右SB柴尾の右足ミドルがゴールを脅かし、14分には谷が意表を突くロングシュートにチャレンジする。これが前目のポジションを取っていたGKの頭上を襲ったが、神村学園GK江田が対応してキャッチ。日章学園は前への姿勢も見せていたが、原啓太監督が試合後「攻撃能力をもっと上げてやろう」と指摘したように、「育成年代応援プロジェクト JFA アディダス DREAM ROAD」でメキシコの名門クラブ、UANLティグレスへ短期留学中のU-16日本代表候補MF吉崎太珠(1年)を欠く中で攻撃力の差が出る結果となった。

神村学園のCB中野陽斗主将は最終ラインの中央で安定感の高い動き

 後半25分、神村学園は左SB中村の縦パスに左中間で反応した徳村が持ち込んでから左足を一閃。これがニアサイドを破り、先制ゴールとなった。その後もサイドを崩して決定機を作った神村学園に対し、日章学園は脇元、大平をFW黒木宏大(2年)、FW島村陽斗(1年)へ入れ替えて反撃する。

後半25分、神村学園FW徳村楓大が先制ゴール

 日章学園は神村学園の最終ラインで際立つ中野や春田に跳ね返されていたものの、同点機を作る。31分、左スローインの流れから野口がクロス。これを渡会が頭で合わせてネットを揺らすも、オフサイドの判定で得点は認められなかった。すると、34分、神村学園はカウンターから徳村が一気に前進して左へ展開。パスを受けた福島が切り返しからの左足シュートをゴールへ突き刺し、2-0とした。神村学園はこの後、倉中をMF倉橋勇成(2年)へ交代。無失点のまま勝利した。

日章学園は後半31分、左クロスからMF渡会楓馬がネットを揺らすもオフサイドの判定

神村学園は後半34分、U-17日本高校選抜候補MF福島和毅がダメ押しゴール

 神村学園の有村圭一郎監督は先を見据えて今大会の登録20人を全て2年生にすることを決断。1年生にも力のある選手は多いが、彼らにはより突き抜けてくることを求める一方、チャンスを与えられた2年生が結果を残している。

 岡本は昨年からのレギュラーや高校選抜候補、年代別日本代表で活躍する同級生たちに対し、「悔しい気持ちは、去年はずっとあったんで、今こうやってピッチに立たせてもらっている以上、そういう選抜にも個としても選抜されないといけないと思うし、評価されていくような選手になりたいです」。タレントたちの陰で努力してきた岡本や倉中らが特長を発揮。連覇に王手をかけた。

 徳村は「やっぱり後輩の力を借りてチームを強くするっていうのも大事なんですけど、まずは自分たちが最上学年になるので、自分たち(2年生)だけでも絶対にやらないといけないですし、そういう面では絶対に優勝しないといけないっていうのはあると思います」と語り、岡本は「女子も優勝して責任っていう部分はあるんですけど、絶対2連覇できるようにチーム一丸で頑張っていきたいと思っています」と力を込めた。この日、女子は決勝が行われ、神村学園が3連覇を達成。男子も決勝で勝ち、男女アベック連覇を成し遂げる。

(取材・文 吉田太郎) 
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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