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帝京長岡で活躍し、現Jリーガーの「お兄ちゃんの友達」を追って岡山から新潟へ。俊足レフティMF水澤那月が目指す憧れの存在とプロで戦うことと、兄の夢を代わりに叶えること

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帝京長岡高のチームリーダーの一人で、注目レフティのMF水澤那月(2年=FC Viparte出身)

 幼い頃から憧れていた存在の背中を追って岡山から新潟へ。帝京長岡高(新潟)の注目レフティ、MF水澤那月(2年=FC Viparte出身)が全国制覇、目標の存在とプロで戦うこと、そして兄への恩返しを掲げた。

 水澤は165cmと小柄だが身体能力の高さに自信を持っており、抜群のスピードや空中戦の強さ、左足のパンチ力を発揮する。元々守備を得意としていたMFは昨年、左SBや左SHとして起用され、インターハイでは全5試合で先発出場。初の4強入りに貢献し、準決勝・昌平高(埼玉)戦では追撃ゴールを決めている。

 新チームでは計5人いるリーダーのうちの一人。「自分はプレーとか、強く言ってチームを引っ張っていけることはできないんですけど、それを他の4人に任せて」鼓舞する声や、雰囲気づくりを心がけているという。

「サニックス杯国際ユースサッカー大会2025」(3月12日~16日、福岡)では、ウイングバック(WB)として躍動した。初戦(12日)で対峙した東海大福岡高DF斉藤大生(2年)は水澤について、「相手の7番(水澤)がもうホントに凄くて、圧倒されました。めちゃくちゃ速かったです」。昨年の国スポで福岡県選抜の右SBを務めて対人守備の強さを発揮し、同県の3位に貢献している実力派DFを驚かせていた。

 その水澤は翌日のリライアンスFYC U-17(インド)戦で左足シュートを決めると、順位決定戦の飯塚高(福岡)戦、G大阪ユース戦で鋭いドリブルや裏抜けから2試合連続ゴールを記録した。大会のベスト11にも選出。「自分はスピードが取り柄なんで。そのスピードっていう部分で誰にも負けないっていうのも1つありますし、ヘディングっていう部分も自分の中では強みなんで、それを誰にも負けないっていうのを突き詰めていきたい」というMFが結果を残した。

 水澤は岡山県のFC Viparte出身。帝京長岡の主力選手として選手権で大活躍し、2019年度大会で初の3位になっているMF田中克幸(FC Viparte出身、現札幌)の背中を追って、新潟県の強豪校への進学を決めたのだという。

「田中克幸選手と地元が一緒で、(6歳年上の)お兄ちゃんの友達だったんですけど。ちっちゃい時から一緒にいて、ずっと憧れてた存在だったんで、プレースタイルは全然違うんですけど、目標っていうか、憧れで追いかけて」。田中と同じ真庭市立遷喬小、真庭市立久世中で過ごし、高校も田中と同じ帝京長岡へ進むことを選んだ。

「(田中は)中学校とか小学校の時から、やっぱ人よりも抜けて上手いみたいな感じで。同じ左利きだったりして、ちょっと自分の中では似てるって言われることがあったんですけど、凄い嬉しくて。ちっちゃい時からお世話もしてもらって、自分の中ではお兄ちゃんよりも好きな存在っていう感じです。田中克幸選手を追いかけてきて、早く一緒にプロの世界で戦えたらいいなと」。憧れのプレーヤーは田中だが、水澤の兄・聖音さん(玉野光南高出身)に対する感謝の気持ちは非常に大きい。

 弟の将来のことも考え、高校で自身のサッカー人生に区切りをつけて「就職してサポートしてくれている」と水澤。だからこそ、「(応援してくれている家族の思いに応え、)お兄ちゃんの夢を自分が代わりに叶えられたら。それが一番の目標です。今年は(インターハイで3位に入った)去年の3年生を超えるっていうのもそうですし、自分の中で大学だったりプロだったりを狙っていけるような成績とかプレーをできるようにしていきたい」。チームとしての目標は、昨年のインターハイ3位や田中世代などの選手権3位を超える日本一。そして、水澤は得意とするクロスでのアシストやゴールを増やし、将来のプロ入りに近づく一年にする。

(取材・文 吉田太郎)

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