[イギョラ杯]17歳でプロ契約を手繰り寄せたクラブの希望。「全てはファジのため!」を心の軸に据えた岡山U-18FW末宗寛士郎が明確に目指すのはJ1の舞台!

[3.20 イギョラ杯予選リーグ 岡山U-18 1-2 帝京高 赤羽の森G]
17歳で引き寄せた、Jリーグの舞台に立つチャンス。権利を勝ち獲ったのであれば、そこを目指さない選択肢なんて存在しない。全てはファジのため。全ては岡山のため。プロの世界で戦う背中を多くの人に見せることで、クラブの理念を誰よりも体現してみせる。
「プロ契約しているからにはJ1のリーグ戦の出場を目指さないといけないと思いますし、その中でもプレミアという舞台もあるので、そこもしっかりと生かしつつ、岡山出身の自分が先頭となって、『もっと大きな舞台でもやれるんだぞ』ということを証明することが大事なのかなと思います」。
2月に今季からのトップチーム昇格が発表された、ファジアーノ岡山U-18(岡山)のナンバー10。FW末宗寛士郎(2年=ファジアーノ岡山U-15出身)はよりシビアな環境の中に身を置くことで、日々成長していく自分を実感している。
「最初はなかなかプレースピードやフィジカル面で通用しない部分が多くあったんですけど、自分の武器でもある攻撃の部分は少しずつ出せているんじゃないかなと。具体的にはゴール前の部分だったり、フォワードの選手とコミュニケーションを取りながら出していくアタックの部分は、通用した部分かなと思います。トップの選手も『自信を持ってプレーしろよ』と言ってくれますし、やっぱり弱気のプレーをしているようでは、プロでは通用しないので、そこの自信は付いたかなと思います」(末宗)
クラブからもリリースが発表されていたが、岡山U-18に所属していた末宗とDF千田遼(2年)の2人は、今シーズンの始動からトップチームの活動に参加。プロの選手たちと宮崎キャンプを含めた日常を過ごすことで、小さくない刺激を受け続けてきた。
幅広く動いてボールを引き出す部分や、ゴール前での得点感覚に定評がある末宗は、昨シーズンのプレミアリーグWESTでも開幕戦の名古屋グランパスU-18戦でチームのプレミア初ゴールを叩き出し、第3節の神村学園高戦でも得点を奪って、記念すべきプレミア初勝利に大きく貢献。ケガもあって後半戦は棒に振ってしまう格好になったが、前半戦の11試合に出場して6得点と一定の結果を残している。
また、昨年8月には『Balcom BMW CUP 広島ユース』に臨むU-17日本代表に選出され、同世代のタレントたちと切磋琢磨する機会を得ると、さらに今月に入ってからもU-18日本代表の一員として『J-VILLAGE CUP U-18』に参戦。大会期間中には得点も記録していた中で、「プロ契約したからには当たり前に通用するところを見せていかないといけないと思うので、代表でも自分の点を獲るプレーはもっともっと出さないといけないなと思います」と言い切っており、確実に以前より自身の中での視座も上がっている様子が窺える。
チームを率いる梁圭史監督も、「常に良いポジションを取りながら、シュートレンジを見つけながらプレーするタイプだと思うので、その回数をどれだけ増やせるかが大事だと思います」と末宗のプレースタイルに言及しつつ、「最後のクオリティのところはトレーニングマッチでも出してくれているので、そこは違いを見せてくれていると思いますし、オフ・ザ・ピッチのところでも会話の中心になって、いろいろな選手を引っ張ってくれている部分もありますね」と信頼を口にする。
この日の帝京高(東京)戦ではFW安西来起(1年)と縦関係になりながら、起点作りに奔走したものの、「帝京さんは個人で剥がす部分の連動性があって、そこに対応するのが少し難しかったと思います」と本人も話した通り、ややボールも握られる中で、なかなか思ったようなアタックを繰り出すまでには至らない。
試合は前半10分にDF脇本祐希(2年)のクロスから、MF行友翔音(1年)のゴールで岡山U-18が先制するも、結果は1-2で逆転負け。「プレミアの舞台で戦っていくには、まだまだ強度の部分で低いのかなと思うので、そこはチームとしてもっと上げていきたいなと思います」と末宗も現時点での課題をはっきりと感じたようだ。


トップチームでの活動を通じて、今季から加入した1つ年上の俊英には学ぶべきところが多かったという。「佐藤龍之介くんはU-20日本代表に行っていて、そこでも結果を出しているのは凄いと思いますし、ほぼここまではチームにいなかったんですけど、いろいろコミュニケーションを取った中で、ちょっと意識が違うなと思いました」。
もともと先輩とコミュニケーションを取ることに苦手意識はないタイプ。キャンプ中に過ごした楽しい“リラックスタイム”のことも笑顔で明かしてくれる。「先輩たちは食事の時にも話をしてくれましたし、柳育崇さんと竹内涼さんと木村太哉さんがカフェに連れて行ってくれたのは楽しかったです。木村太哉さんが誘ってくれたんですけど、その時はあまりサッカーの話はしなかったですね。『若いね~』とか言われました(笑)」。着実にトップチームの中でも立ち位置を築いていることは間違いない。
今季は基本的にトップチームの練習に参加しつつ、プレミアとの行き来も予想される中で、「試合勘という部分も皆さんが考えてくれていることは本当にありがたいですし、そこで自分がやるべきことをやることは本当に大事だと思います」と口にした決意も頼もしい。
周囲の期待は十分に感じている。2025年の目標は、明確過ぎるぐらい明確だ。「個人でもっと打開することや、もっと点を獲ることは(木山隆之)監督にも求められていると思いますし、プレミアやルヴァンカップでも頑張りたいですけど、目標はJ1リーグの舞台で活躍することです」。
小さいころから憧れてきたスタジアムのピッチで繰り広げられるJ1の舞台に、この雉のエンブレムが刻まれたユニフォームを纏って、堂々と立つ。岡山生まれ、岡山育ちの17歳。ファジアーノの未来にして、確かな希望。末宗寛士郎は目の前に広がるいばらの道を、自らの結果で力強く切り拓く。


(取材・文 土屋雅史)
17歳で引き寄せた、Jリーグの舞台に立つチャンス。権利を勝ち獲ったのであれば、そこを目指さない選択肢なんて存在しない。全てはファジのため。全ては岡山のため。プロの世界で戦う背中を多くの人に見せることで、クラブの理念を誰よりも体現してみせる。
「プロ契約しているからにはJ1のリーグ戦の出場を目指さないといけないと思いますし、その中でもプレミアという舞台もあるので、そこもしっかりと生かしつつ、岡山出身の自分が先頭となって、『もっと大きな舞台でもやれるんだぞ』ということを証明することが大事なのかなと思います」。
2月に今季からのトップチーム昇格が発表された、ファジアーノ岡山U-18(岡山)のナンバー10。FW末宗寛士郎(2年=ファジアーノ岡山U-15出身)はよりシビアな環境の中に身を置くことで、日々成長していく自分を実感している。
「最初はなかなかプレースピードやフィジカル面で通用しない部分が多くあったんですけど、自分の武器でもある攻撃の部分は少しずつ出せているんじゃないかなと。具体的にはゴール前の部分だったり、フォワードの選手とコミュニケーションを取りながら出していくアタックの部分は、通用した部分かなと思います。トップの選手も『自信を持ってプレーしろよ』と言ってくれますし、やっぱり弱気のプレーをしているようでは、プロでは通用しないので、そこの自信は付いたかなと思います」(末宗)
クラブからもリリースが発表されていたが、岡山U-18に所属していた末宗とDF千田遼(2年)の2人は、今シーズンの始動からトップチームの活動に参加。プロの選手たちと宮崎キャンプを含めた日常を過ごすことで、小さくない刺激を受け続けてきた。
幅広く動いてボールを引き出す部分や、ゴール前での得点感覚に定評がある末宗は、昨シーズンのプレミアリーグWESTでも開幕戦の名古屋グランパスU-18戦でチームのプレミア初ゴールを叩き出し、第3節の神村学園高戦でも得点を奪って、記念すべきプレミア初勝利に大きく貢献。ケガもあって後半戦は棒に振ってしまう格好になったが、前半戦の11試合に出場して6得点と一定の結果を残している。
また、昨年8月には『Balcom BMW CUP 広島ユース』に臨むU-17日本代表に選出され、同世代のタレントたちと切磋琢磨する機会を得ると、さらに今月に入ってからもU-18日本代表の一員として『J-VILLAGE CUP U-18』に参戦。大会期間中には得点も記録していた中で、「プロ契約したからには当たり前に通用するところを見せていかないといけないと思うので、代表でも自分の点を獲るプレーはもっともっと出さないといけないなと思います」と言い切っており、確実に以前より自身の中での視座も上がっている様子が窺える。
チームを率いる梁圭史監督も、「常に良いポジションを取りながら、シュートレンジを見つけながらプレーするタイプだと思うので、その回数をどれだけ増やせるかが大事だと思います」と末宗のプレースタイルに言及しつつ、「最後のクオリティのところはトレーニングマッチでも出してくれているので、そこは違いを見せてくれていると思いますし、オフ・ザ・ピッチのところでも会話の中心になって、いろいろな選手を引っ張ってくれている部分もありますね」と信頼を口にする。
この日の帝京高(東京)戦ではFW安西来起(1年)と縦関係になりながら、起点作りに奔走したものの、「帝京さんは個人で剥がす部分の連動性があって、そこに対応するのが少し難しかったと思います」と本人も話した通り、ややボールも握られる中で、なかなか思ったようなアタックを繰り出すまでには至らない。
試合は前半10分にDF脇本祐希(2年)のクロスから、MF行友翔音(1年)のゴールで岡山U-18が先制するも、結果は1-2で逆転負け。「プレミアの舞台で戦っていくには、まだまだ強度の部分で低いのかなと思うので、そこはチームとしてもっと上げていきたいなと思います」と末宗も現時点での課題をはっきりと感じたようだ。


トップチームでの活動を通じて、今季から加入した1つ年上の俊英には学ぶべきところが多かったという。「佐藤龍之介くんはU-20日本代表に行っていて、そこでも結果を出しているのは凄いと思いますし、ほぼここまではチームにいなかったんですけど、いろいろコミュニケーションを取った中で、ちょっと意識が違うなと思いました」。
もともと先輩とコミュニケーションを取ることに苦手意識はないタイプ。キャンプ中に過ごした楽しい“リラックスタイム”のことも笑顔で明かしてくれる。「先輩たちは食事の時にも話をしてくれましたし、柳育崇さんと竹内涼さんと木村太哉さんがカフェに連れて行ってくれたのは楽しかったです。木村太哉さんが誘ってくれたんですけど、その時はあまりサッカーの話はしなかったですね。『若いね~』とか言われました(笑)」。着実にトップチームの中でも立ち位置を築いていることは間違いない。
今季は基本的にトップチームの練習に参加しつつ、プレミアとの行き来も予想される中で、「試合勘という部分も皆さんが考えてくれていることは本当にありがたいですし、そこで自分がやるべきことをやることは本当に大事だと思います」と口にした決意も頼もしい。
周囲の期待は十分に感じている。2025年の目標は、明確過ぎるぐらい明確だ。「個人でもっと打開することや、もっと点を獲ることは(木山隆之)監督にも求められていると思いますし、プレミアやルヴァンカップでも頑張りたいですけど、目標はJ1リーグの舞台で活躍することです」。
小さいころから憧れてきたスタジアムのピッチで繰り広げられるJ1の舞台に、この雉のエンブレムが刻まれたユニフォームを纏って、堂々と立つ。岡山生まれ、岡山育ちの17歳。ファジアーノの未来にして、確かな希望。末宗寛士郎は目の前に広がるいばらの道を、自らの結果で力強く切り拓く。


(取材・文 土屋雅史)