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名将も「全てのアベレージが高い」と高評価。立正大淞南の新1年生FW野田歩が入学前のフェスティバルから躍動中

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入学前のフェスティバルから活躍を続ける立正大淞南高FW野田歩(新1年)

 高校最後の1年間にかける想いを尊重し、最上級生が起用されるケースが多い立正大淞南高(島根)でルーキーが試合に出るのは異例とも言える。しかも、まだ入学前ながら10番を与えられることからもチームの期待を感じるのはFW野田歩(新1年)だ。

 今年に入ってから定期的に練習試合で起用されてきたが、3月20日から東京都で行なわれたイギョラカップで本格的にAチームデビュー。FC今治U-18との試合では2得点をたたき出し、レギュラー獲得に向けて最高のアピールを果たした。

 プレーを見れば将来性を買われて、起用されているわけではないと分かる。「全てのアベレージが高い」と評するのは、これまでFW金園英学(元磐田)やFW松田力(現富山)を筆頭に数多くの本格派ストライカーを育ててきた南健司総監督だ。

「前を向いてから、相手の重心を見てから仕掛けるのが得意」と本人が口にするドリブルはとても滑らかでそう簡単には失わない。身長171cm、体重67kgとフィジカル的に恵まれたタイプではないが、対人にも強く年上相手にも臆せず身体をぶつけにいける。「足は遅い」と本人は苦笑いするが、素走りをするとチームでも上位に入るという。

 3月下旬に行なわれた「PUMA CUP U-17 in SAKAI」で目を惹いたのはシュートセンスで、相手を抜ききらずにタイミングよくシュートを打てるため、相手はそう簡単には止められない。初日と2日目はボールが入れば力強く素早いドリブルでゴール前に入っていく場面が見られたが、劣勢を強いられた影響で良い形でボールを受けることができずに無得点で終わったが、3日目の浜松開誠館高戦では持ち味を発揮する。

 2点リードで迎えた後半からピッチに立つと、後半23分にはFW村崎斗士輝(新2年)からのパスを上手くゴール前で受けて右足でゴール。普段、パートナーを組む機会が多いU-17日本高校選抜候補のFW若槻大雲(新3年)が「昨年のエースだった三島拓人(現、大阪体育大)みたいに全てがハイアベレージ。全てのプレーができるし、シュートが凄い。びっくりする弾道でボールが飛んでいく」と太鼓判を押すのも頷けるプレーぶりだった。

 兄は5歳上の兄・野田叶(現・阪南大)が所属していた影響で、小学生の高学年から立正大淞南を意識して見るようになり、「強くて凄いなと思っていた」。黄色いユニフォームに憧れ、中学校に上がるタイミングで立正大淞南の下部組織である「FC tentar(テンター)」への加入を決意。指導役となる高校生と一緒にプレーすることで、持ち前のドリブルと得点感覚に磨きをかけてきた。

 入学前から起用されているのは将来への投資といった意味合いではなく、純粋に戦力として期待されているから。野田自身も「中学校でやっていた時とはレベル違って、相手の身体が強いけど、自分なりにしっかり身体を使ってキープして、攻撃の起点になれるように頑張っています。1年目からチームのために頑張れるような選手になりたい」と前線で奮闘を続ける。

 春休みに行なわれた2つのフェスティバルでの活躍によって、すでに大学とプロのスカウトからも知られる存在になった。中学時代は中国トレセン止まりだったが、注目度が高まる高校では世代別代表も十分狙えるだろう。1年目から若槻と並ぶダブルエースとして期待されている。

「将来的には高卒でJリーガーになって、活躍したい。立正大淞南では選手権で全国優勝できるように頑張りたい」。そう意気込む注目のストライカーが高校3年間で、どんな成長曲線を描くか楽しみだ。

(取材・文 森田将義)
森田将義
Text by 森田将義

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