beacon

責任感が芽生え、今度は2発!U-17年代の3年生ストライカー、桐蔭学園FW瀬尾凌太がアピールを続けて“人生を変える”

このエントリーをはてなブックマークに追加

桐蔭学園高(神奈川)のFW瀬尾凌太(3年=湘南ベルマーレU-15WEST出身)がU-17日本代表入りへアピールの2発

[5.17 プリンスリーグ関東1部第7節 横浜FMユース 1-4 桐蔭学園高 横浜国立大学フットボール場]

 早生まれの高校3年生ストライカーが、プリンスリーグ関東1部の最近3試合で6ゴールと大暴れだ。桐蔭学園高(神奈川)のFW瀬尾凌太(3年=湘南ベルマーレU-15WEST出身)は1点差とされて迎えた後半31分に右SB中田陸(2年)のクロスからヘディング弾。エースの一撃で再び2点差に突き放した。

「ほんとにいいボールが上がってきて、触るだけって感じでした。ファーが空いていたので、あそこで呼んでしっかり入れたので良かった」。FW渡辺啓太郎(1年)がDFを引き付けながらニアへ抜けたこともあり、外側でフリーに。元々、ヘッドは得意ではなかったというが、日々の練習の成果を表現し、角度のほとんどない位置から頭で決めた。

 さらに後半36分には、MF中西康和(3年)が獲得したPKを右足で決めてこの日2点目のゴール。この直前、右足PKでゴールを破っていたが、シュート直前に味方がPA内に入っていたという判定で蹴り直しになっていた。本人は「ちょっと動揺しちゃったんですけど、自信はあったんで」。冷静に“2本目”のPKも決め切った。

 181cm、78kgの身体を活かし、攻撃の起点になる動きが特長。だが、前半は前線でボールを収めることを意識し過ぎていた。八城修監督に裏抜けの回数を増やすことを求められて後半は改善。加えて、日頃から1トップの自分とトップ下のMF八尋海斗(3年)の守備が重要だと認識している瀬尾は、怠らずに走り続けて自身の2ゴールに結びつけた。

 瀬尾は1年時の夏頃から桐蔭学園のAチームで出場機会を増やし、同年度の選手権予選で準決勝まで3試合連続ゴール。また、2008年早生まれのストライカーは昨年、U-16神奈川県選抜の一員として国民スポーツ大会関東ブロック予選を戦っている。

 その一方、昨年の桐蔭学園は前線の層が厚く、主戦場はBチームの神奈川県1部リーグに。得点数を増やしたものの、Aチームでの活躍は限られた。そこから、「何か変えないとな」と自主練の量を増加。瀬尾は2年前、高校サッカーの強度の中で活躍するため、桐蔭学園入学前後の約半年間で15kgも増量している。そのFWは高校ラストイヤーの今季へ向け、再び肉体強化などに取り組んできた。

 それでも、今季のプリンスリーグ関東1部は開幕4試合で無得点。チームも1分3敗と苦しんだ。だが、「凄い苦しい時間が続いたんですけど、やっぱり自分が決めないとチームは勝てないんだなっていう責任感が自分の中で芽生えて」変化。第5節のRB大宮U18戦で決勝ゴールを決めると、続く第6節の矢板中央高(栃木)戦ではセットプレーからのヘッドを皮切りに3ゴールを挙げ、連勝へ導いた。

 意識が変わり、進化を示している3年生FWには“初代表”の期待が高まっている。U-17ワールドカップ(11月)出場を決めているU-17日本代表のコーチ陣が、RB大宮U18戦に続いて矢板中央戦も瀬尾を視察。U17アジアカップ(4月)メンバー3選手のいる横浜FMユース戦は廣山望監督が会場に訪れていた。その前で3戦6発。高強度の中でのボールを収める力やフィニッシュの質に自信を持つ瀬尾はアピールに成功した。

 瀬尾は、横浜FMユースのMF加藤海輝(3年)とDF藤井翔大(2年)、川崎F U-18のDF藤田明日翔(2年)とU-16神奈川県選抜のチームメイトが年代別日本代表入りしていることもあり、「自分もチャンスがあるのかな」と感じていたという。U17アジアカップを見て、「レベルが高くて、全然自分よりもレベルの高い選手しかいない」と思ったが、チャンスを掴めるように日常の練習や1試合1試合を大事にする意気込みだ。

「常日頃から(八城修)監督には選抜とかに行くたびに、『ここでほんとに人生が変わるかもしれない』と言われてるので、日頃の練習から凄くそこは意識していて、いざ代表とかに選ばれた時でも結果が残せるように、いい準備をしていきたい」。前回の2023年U-17ワールドカップでは、DF布施克真(当時・日大藤沢高/現・筑波大)らがアジアでのメンバー外から21名入り。今年は伝統校・桐蔭学園のエースが、進化を続けて「人生を変える」。

後半31分、桐蔭学園FW瀬尾凌太が頭でゴール

後半36分、桐蔭学園FW瀬尾凌太がPKを決めて4-1

PKを獲得したMF中西康和とハイタッチ

(取材・文 吉田太郎)


●高円宮杯プリンスリーグ2025特集
▶ゲキサカでは高校サッカーの最新情報を伝えるポッドキャスト番組も配信中
吉田太郎
Text by 吉田太郎

「ゲキサカ」ショート動画

TOP