ボール支配、判断力で勝負の武南が関東高校大会Bグループ制覇。ズレが生じても勝ち切る強さを発揮
[5.26 関東高校大会Bグループ決勝 武南高 1-0 帝京三高 NACK]
令和7年度 第68回 関東高等学校サッカー大会Bグループ決勝が26日に行われ、武南高(埼玉)が1-0で帝京三高(山梨)に勝利。各都県2位チームによって争われたBグループ優勝を果たし、関東3位となった。
ともに3連戦の3試合目。インターハイ予選を控えていることから、武南は10番MF有川達琉(3年)がベンチスタートで、帝京三も主軸MF星野哲平(3年)がベンチから外れるなど、コンディション面を考慮しながら現時点のベストの陣容で勝利を目指した。
武南は佐野日大高(栃木)に1-0、東洋大牛久高(茨城)に1-1(PK4-3)で勝利。決勝の先発はGKが金昶銖(2年)で、DFは右SB津山琥(3年)、CB小田村直澄(3年)、CB倉本健二(3年)、左SB滝沢大輔(3年)の4バック。中盤中央は小山一絆(2年)、田中理月(3年)、平野琉斗主将(3年)の3人で構成し、右SH八百川尚輝(2年)、左SH渡辺悠(2年)、そして最前線に塚田恵斗(2年)が入った。


一方の帝京三は前橋育英高(群馬)に1-1(PK7-6)、東海大相模高(神奈川)に1-0で勝利し、決勝進出。決勝の先発はGK長沢光(3年)、DFは本間竜有主将(3年)、伊東玲司(3年)、高橋康太(3年)、岡宗斗(3年)、益子恭輔(3年)の5バック、中盤に藪下颯太(3年)、穂満蒼心(2年)、大塚誉生(3年)が構え、松井海理(3年)と石井夏輝(3年)が2トップを組んだ。


地元応援の後押しを受ける武南が立ち上がりから積極的な攻撃。左SB滝沢が高い位置で崩しに係わり、自らシュートも放つ。また、右SB津山がボランチの脇に入る形で攻撃に厚み。ともにボールを運ぶ力と展開力も備えた注目ダブルボランチ、田中、小山の両MFを中心に、運動量豊富な平野らが距離感良くボールを動かし、突破力も光る渡辺や田中、塚田のフィニッシュに結びつけた。


一方の帝京三は守備重視の入り。相手にボールを保持される時間が増えていたが、個々のアプローチが鋭く、球際で厳しく戦っていた。前半から8本のシュートを打たれたものの、同時に目立ったのがシュートブロックする本数の多さ。ゴール前の攻防を特に重視する帝京三の特長が出ていた。高橋康を中心に伊東、岡の両ストッパーや右WB岡、左WB益子のカバーリングの意識が高く、GK長沢も身体を張って0-0を維持。そして、ボールを奪うと高橋康や岡から丁寧にビルドアップした。


また、中盤の底の位置で存在感を放つ薮下のインターセプトからカウンター攻撃も発動。ともに力強い石井、松井の2トップや推進力のある右WB本間を起点に攻め返し、34分にはショートカウンターから大塚のスルーパスで松井が抜け出す。だが、武南GK金が1対1をストップ。逆に武南が先制して前半を終える。


前半39分、武南は小山が自陣で相手選手を剥がして右前方へパス。塚田が中央のスペースへボールを流し込むと、渡辺が抜け出してGKと1対1になった。渡辺はGKに寄せられる前に右足シュート。これをゴール右へ決め、1-0とした。






ハーフタイムに武南は津山と右SB内田周治(3年)を交代。帝京三も益子と左WB高橋奏多(3年)を入れ替えた。武南は後半開始直後、左サイドから押し込み、田中が決定的な右足シュート。だが、帝京三GK長沢が好反応でストップする。
4分、帝京三は右ハイサイドへ飛び出した松井が決定的なクロス。だが、武南GK金がバックステップからわずかにボールに触れ、石井は合わせることができない。帝京三は11分にも投入されたばかりのMF矢崎健太朗(3年)がカットインで中へ潜り込むが、武南は小田村、倉本の両CBが対応して決定打を打たせない。
武南は18分に滝沢とMF関口海龍(3年)を交代。その関口の仕掛けや左SBへ移った八尾川の左足シュートなどで追加点を目指す。武南はボール支配と判断力がベースのスタイル。内野慎一郎監督はキーとなる中盤でボールがズレていたことを指摘するが、「悪いなりにやっていた。(今大会は)PKで倒れないとかそういうところは凄く良かった」と頷く。
また、平野は「今回3試合とも結構自分たち的には得意じゃない相手だったけど、やっぱり繋げるところは繋げたし、逆に焦る時間帯もあったけど、そこを上手く全員で声出して修正したっていうところは、ほんとに良くなってきた」と説明する。
この試合も思い通りの内容ではなかったものの、DF陣が集中して相手のシュートコースを消し、平野や塚田が良く走るなど相手の勢いに呑まれなかった。帝京三は25分に接触プレーで傷んだ本間と伊東に代えて右WB竹内海偉(3年)とMF井上理生(3年)を投入。薮下を本職のDFへ下げ、穂満が回収役となって反撃を続ける。


武南は31分、田中と塚田をMF小川慈生(2年)と189cmFW千葉龍ノ介(3年)へ交代。帝京三は相手MF小山に連続でシュートまで持ち込まれていたが、1点差を維持してサイド攻撃、セットプレーから同点を目指す。38分、帝京三は高橋康の右CK後の混戦から石井が右足で狙うが、わずかに左外へ。対する武南は直後にMF柴田流偉(3年)を投入すると、その柴田のチャンスメイクから関口、千葉が決定機を迎える。追加点こそ奪えなかったものの、武南は最後まで攻め続け、1-0で勝利した。




武南の平野は「日にちを重ねていくにつれて、全員の意識が3位だけど、そこに向かって1つになっていくっていうことに関しては、ほんとにいい大会だったかなと思います」と喜ぶ。今回は地元開催だったが、宿舎に泊まって大会に挑戦。主将は「個人個人で話し合いをする人もいたし、ミーティングの時にチームのことを話す時間もあったし、ほんと試合中とかも、試合前、ハーフタイムの時とかも、常に全員が勝利するためにはどうすればいいのかっていうのを話していたからこそ、ほんとに成長したかなと思います」と頷いた。
6月7日にはインターハイ埼玉県予選初戦を迎える。内野監督は「最後の崩し、決定力のところは、これからちょっと高めていきたい」と語り、平野は「絶対優勝して、全国に繋げたい」と誓った。今大会の3試合を勝ち抜いた経験は貴重。OBで元大宮MFの斉藤雅人コーチや元浦和GKの都築龍太GKコーチが今年から指導陣に加わったことによる影響も大きい。課題を改善し、武南のスタイルをより表現して全国切符を勝ち取る。
(取材・文 吉田太郎)
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令和7年度 第68回 関東高等学校サッカー大会Bグループ決勝が26日に行われ、武南高(埼玉)が1-0で帝京三高(山梨)に勝利。各都県2位チームによって争われたBグループ優勝を果たし、関東3位となった。
ともに3連戦の3試合目。インターハイ予選を控えていることから、武南は10番MF有川達琉(3年)がベンチスタートで、帝京三も主軸MF星野哲平(3年)がベンチから外れるなど、コンディション面を考慮しながら現時点のベストの陣容で勝利を目指した。
武南は佐野日大高(栃木)に1-0、東洋大牛久高(茨城)に1-1(PK4-3)で勝利。決勝の先発はGKが金昶銖(2年)で、DFは右SB津山琥(3年)、CB小田村直澄(3年)、CB倉本健二(3年)、左SB滝沢大輔(3年)の4バック。中盤中央は小山一絆(2年)、田中理月(3年)、平野琉斗主将(3年)の3人で構成し、右SH八百川尚輝(2年)、左SH渡辺悠(2年)、そして最前線に塚田恵斗(2年)が入った。


武南の先発メンバー
一方の帝京三は前橋育英高(群馬)に1-1(PK7-6)、東海大相模高(神奈川)に1-0で勝利し、決勝進出。決勝の先発はGK長沢光(3年)、DFは本間竜有主将(3年)、伊東玲司(3年)、高橋康太(3年)、岡宗斗(3年)、益子恭輔(3年)の5バック、中盤に藪下颯太(3年)、穂満蒼心(2年)、大塚誉生(3年)が構え、松井海理(3年)と石井夏輝(3年)が2トップを組んだ。


帝京三の先発メンバー
地元応援の後押しを受ける武南が立ち上がりから積極的な攻撃。左SB滝沢が高い位置で崩しに係わり、自らシュートも放つ。また、右SB津山がボランチの脇に入る形で攻撃に厚み。ともにボールを運ぶ力と展開力も備えた注目ダブルボランチ、田中、小山の両MFを中心に、運動量豊富な平野らが距離感良くボールを動かし、突破力も光る渡辺や田中、塚田のフィニッシュに結びつけた。


武南の攻守の中心、MF田中理月
一方の帝京三は守備重視の入り。相手にボールを保持される時間が増えていたが、個々のアプローチが鋭く、球際で厳しく戦っていた。前半から8本のシュートを打たれたものの、同時に目立ったのがシュートブロックする本数の多さ。ゴール前の攻防を特に重視する帝京三の特長が出ていた。高橋康を中心に伊東、岡の両ストッパーや右WB岡、左WB益子のカバーリングの意識が高く、GK長沢も身体を張って0-0を維持。そして、ボールを奪うと高橋康や岡から丁寧にビルドアップした。


帝京三はDF岡宗斗らがゴール前で粘り強い守備
また、中盤の底の位置で存在感を放つ薮下のインターセプトからカウンター攻撃も発動。ともに力強い石井、松井の2トップや推進力のある右WB本間を起点に攻め返し、34分にはショートカウンターから大塚のスルーパスで松井が抜け出す。だが、武南GK金が1対1をストップ。逆に武南が先制して前半を終える。


前半39分、武南は小山が自陣で相手選手を剥がして右前方へパス。塚田が中央のスペースへボールを流し込むと、渡辺が抜け出してGKと1対1になった。渡辺はGKに寄せられる前に右足シュート。これをゴール右へ決め、1-0とした。


前半39分、武南は注目の2年生MF小山一絆が相手を剥がして前進


FW塚田恵斗が右サイドからスルーパス


最後はMF渡辺悠が右足で決め、先制点
ハーフタイムに武南は津山と右SB内田周治(3年)を交代。帝京三も益子と左WB高橋奏多(3年)を入れ替えた。武南は後半開始直後、左サイドから押し込み、田中が決定的な右足シュート。だが、帝京三GK長沢が好反応でストップする。
4分、帝京三は右ハイサイドへ飛び出した松井が決定的なクロス。だが、武南GK金がバックステップからわずかにボールに触れ、石井は合わせることができない。帝京三は11分にも投入されたばかりのMF矢崎健太朗(3年)がカットインで中へ潜り込むが、武南は小田村、倉本の両CBが対応して決定打を打たせない。
武南は18分に滝沢とMF関口海龍(3年)を交代。その関口の仕掛けや左SBへ移った八尾川の左足シュートなどで追加点を目指す。武南はボール支配と判断力がベースのスタイル。内野慎一郎監督はキーとなる中盤でボールがズレていたことを指摘するが、「悪いなりにやっていた。(今大会は)PKで倒れないとかそういうところは凄く良かった」と頷く。
また、平野は「今回3試合とも結構自分たち的には得意じゃない相手だったけど、やっぱり繋げるところは繋げたし、逆に焦る時間帯もあったけど、そこを上手く全員で声出して修正したっていうところは、ほんとに良くなってきた」と説明する。
この試合も思い通りの内容ではなかったものの、DF陣が集中して相手のシュートコースを消し、平野や塚田が良く走るなど相手の勢いに呑まれなかった。帝京三は25分に接触プレーで傷んだ本間と伊東に代えて右WB竹内海偉(3年)とMF井上理生(3年)を投入。薮下を本職のDFへ下げ、穂満が回収役となって反撃を続ける。


帝京三のMF藪下颯太(6番)は中盤で存在感のある動き
武南は31分、田中と塚田をMF小川慈生(2年)と189cmFW千葉龍ノ介(3年)へ交代。帝京三は相手MF小山に連続でシュートまで持ち込まれていたが、1点差を維持してサイド攻撃、セットプレーから同点を目指す。38分、帝京三は高橋康の右CK後の混戦から石井が右足で狙うが、わずかに左外へ。対する武南は直後にMF柴田流偉(3年)を投入すると、その柴田のチャンスメイクから関口、千葉が決定機を迎える。追加点こそ奪えなかったものの、武南は最後まで攻め続け、1-0で勝利した。


武南はCB倉本健二らが落ち着いた対応で無失点


今大会2度目の無失点勝利でグループBを制した
武南の平野は「日にちを重ねていくにつれて、全員の意識が3位だけど、そこに向かって1つになっていくっていうことに関しては、ほんとにいい大会だったかなと思います」と喜ぶ。今回は地元開催だったが、宿舎に泊まって大会に挑戦。主将は「個人個人で話し合いをする人もいたし、ミーティングの時にチームのことを話す時間もあったし、ほんと試合中とかも、試合前、ハーフタイムの時とかも、常に全員が勝利するためにはどうすればいいのかっていうのを話していたからこそ、ほんとに成長したかなと思います」と頷いた。
6月7日にはインターハイ埼玉県予選初戦を迎える。内野監督は「最後の崩し、決定力のところは、これからちょっと高めていきたい」と語り、平野は「絶対優勝して、全国に繋げたい」と誓った。今大会の3試合を勝ち抜いた経験は貴重。OBで元大宮MFの斉藤雅人コーチや元浦和GKの都築龍太GKコーチが今年から指導陣に加わったことによる影響も大きい。課題を改善し、武南のスタイルをより表現して全国切符を勝ち取る。
(取材・文 吉田太郎)
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