[プリンスリーグ東北]尚志が後半3発で学法石川とのインハイ出場校対決を制し、暫定首位浮上。今夏に「歴史を動かしていきたい」
[7.5 プリンスリーグ東北第10節 尚志高 3-0 学法石川高 尚志高校サッカー場]
尚志が地元開催のインターハイへ向けて課題と弾みの白星。高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2025 東北は5日、第10節1日目を行い、2位の尚志高(福島)と9位・学法石川高(福島)が対戦。尚志が3-0で勝ち、暫定首位に浮上した。
両校は今年、東北高校新人大会決勝をはじめ3度目の対戦をしており、いずれも尚志が勝利。約1か月前のインターハイ福島県予選決勝でも尚志が4-1で快勝している。ともに地元・福島開催のインターハイ出場を決めている2校が、全国大会前ラストとなる公式戦に臨んだ。
尚志は開幕戦で学法石川を10-1で破るなど、ここまで7勝1分1敗。先発はGKが門井宏樹(3年)で、DFは右SB榎本司(3年)、CB松澤琉真(3年)、CB西村圭人主将(3年)、左SB木村心貴(3年)の4バック。中盤中央にはアンカーの小曽納奏(3年)、阿部大翔(3年)、臼井蒼悟(3年)が構え、右SH日比野修吾(3年)、左SHが前節まで12得点で得点ランキング首位の田上真大(3年)、そして最前線にFW根木翔大(3年/U-17日本高校選抜候補)が入った。
一方の学法石川は1勝4分4敗だが、5月以降の5戦で1敗と黒星が減少。先発GKが小嶺秀介(3年)で、DFは右SB高野陽斗(3年)、CB野口侑真(3年)、CB石野裕也主将(3年)、左SB阿部遙希(3年)の4バック。ひし形の中盤はアンカーに中山拓翔(2年)が入り、右が豊島光稀(3年)、左が諸根優冴(2年)、トップ下が前田昇太朗(3年)、そして村田駿助(3年)と前田翔汰(2年)が2トップとして先発した。


立ち上がりは尚志が自信を持ってアタック。押し込んで見せるが、学法石川はこれまでの戦い方と変え、前からボールを奪いに行く。立ち上がりこそやや寄せが遅れてしまっていたものの、すぐに修正。豊島、諸根の両MFがインサイドに絞って前田昇、中山らとともに圧縮するなど積極的な守りで相手のミスを誘う。
8分には、奪い返しから村田が右足シュート。直後にも右ショートコーナーから豊島がクロスを上げ、中山がゴール前へ折り返す。好守からのショートカウンターや前田翔のロングスローなどのセットプレーでゴール前へ。相手キーマンのMF小曽納に村田へのパスコースを消されるなど、攻め切れないシーンもあったが、26分にも奪い返しから村田が右足を振り抜き、相手を上回るような内容で試合を進めた。




一方の尚志はビルドアップや崩しでのミスが目立っていた。だが、ロングキック一本で局面を変えられる選手が多数。大きな展開を交えてボールを動かし、相手の守りを広げる。そして、サイド攻撃を図る中、特に右SB榎本が躍動。ワンツーで一気に前進してスルーパスを通したほか、クロスから根木のシュートシーンを創出する。
35分には右サイドからゴール方向へのドリブルで大きく前進し、PAへ侵入して田上へラストパス。強みの一つである小曽納、阿部の回収から、尚志らしい追い越す動きも増えた。スペースを見つけて的確に、また力強く突いていた榎本や、ドリブルの止まらない臼井の個の力のほか、ショートコンビネーション、木村、小曽納のCK、FKでもゴールに迫った。


だが、学法石川は石野のカバーリングや野口の身体を張った守りなどゴール前でも粘る。中でも右SB高野は出足の鋭いアプローチで幾度も相手の前進を阻止。稲田正信監督も「(開幕戦で)10-1で負けた時は本当に全部くらいやられたけど、アイツは今日、1番の収穫でした」と称賛するパフォーマンスを見せていた。


好守に加え、シュート意識の高い学法石川は前半、相手の5本を上回る7本のシュートを放った。40分、中山の左クロスからファーサイドの豊島がフィニッシュ。直後には阿部の左CKがゴール前にこぼれ、前田翔が狙うも尚志はGK門井や成長株だというCB松澤、CB西村らDF陣がゴールを死守する。逆に尚志はスルーパスで抜け出した根木がGKをかわすも、学法石川は阿部、石野がゴールをカバー。42分には榎本の右クロスから臼井が決定的なヘッドを放ったが、枠を外れ、0-0で前半を折り返した。
尚志は今年4回目の対戦でやりづらさがあったことは確か。だが、仲村浩二監督は「そんなことでブレていたら話にならない。今日のあの入り方は全然ダメだったから」と厳しい。前節までの9試合で39得点。田上、根木、臼井らどこからでも得点できる力があるが、余力を残したまま淡々と戦い、自分たちで難しい試合にしてしまうことが課題になっている。
それでも、後半は立ち上がりからプッシュ。4分、右クロスがファーサイドへ流れたものの、田上が左から上げ直すと、走り込んだ臼井が頭で学法石川ゴールをこじ開ける。さらに7分、西村の縦パスを収めた田上が右サイドへ展開。日比野が縦への仕掛けからラストパスを通し、これを田上がゴールへ押し込んだ。






尚志は日比野、田上も中でボールに係わるなど相手の守りを巧みに攻略。学法石川は13分、右ロングスローのこぼれ球を阿部がループシュートで狙うもわずかに左外へ外れる。すると14分、尚志は日比野のスルーパスで根木が右中間を抜け出し、そのまま右足で3点目を決めた。


尚志は17分、田上と日比野をMF若林衣武希(2年)とMF大熊瑠空(2年)へ交代。学法石川も諸根と豊島を左SB市川青空(1年)とFW比佐光来(3年)へ代え、本来アタッカーの阿部を前線へ押し出した。
尚志は攻撃の手を緩めることなく次の1点を目指す。若林投入でよりテンポ良くボールが動くようになった尚志は、後半だけでシュート11本。27分に小曽納と阿部をMF角虎一(3年)とFW岡大輝(3年)へ交代した直後には、木村の左クロスを大熊が1タッチで狙う。だが、学法石川GK小嶺の好守に止められ、4点目を奪うことができない。
学法石川は25分に前田翔をMF川名愛稀(3年)へ交代。34分には前田昇と阿部をMF板倉紘誠(3年)とMF小原悠暉(3年)へ入れ替えた。失点後に崩れた部分があり、稲田監督は「1点目取られた後にメンタルが落ちたり、急に下がっちゃったりするのがまだまだ。(逆転負けした首位・)ベガルタ(仙台ユース戦)も2失点連続ですよ。ここで1回切れちゃうので、経験を積んでいくしかない」と改善を求める。昇格したプリンスリーグ東北で一戦一戦着実に成長しているが、失点後の切り替えや選手層の厚みなどは今後への課題。それでも試合終盤、最前線の村田が運動量を増やしたほか、GK小嶺が決定機を阻止するなど諦めない戦いで最後まで強敵に食い下がった。


尚志は39分に西村をCB星宗介(2年)と交代。臼井や岡が決定機を迎えたほか、セットプレーの本数も増やしていたものの、仕留めることができなかった。逆に試合終了間際、学法石川の川名にスルーパスを通されてピンチ。だが、GK門井が板倉との1対1を止め、3-0で試合を終えた。




尚志の仲村監督は松澤中心に守備が構築されてきている部分や攻撃力について一定の評価をしていたが、この日苦戦した要因であり、課題になっている部分について言及。「(余力を残すのではなく、)フルパワーでやらなきゃいけないっていうのが、分かってくれればいい」と語る。加えて、フィニッシュの精度や守備で隙を見せないことを突き詰めてインターハイへ向かう。
インターハイは昨年から福島開催。昨年、尚志は3回戦で市立船橋高(千葉)に0-1で敗れている。西村は「先輩たちの悔しい姿も見てきているんで、その分、自分たちがしっかり勝ち上がって優勝したいなって思っています。歴史を動かしていきたいなっていう風に思っています」と意気込んだ。実力は出場校で上位。開催県のアドバンテージも活かし、最高記録のベスト4を超えて歴史を変える。




(取材・文 吉田太郎)
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尚志が地元開催のインターハイへ向けて課題と弾みの白星。高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2025 東北は5日、第10節1日目を行い、2位の尚志高(福島)と9位・学法石川高(福島)が対戦。尚志が3-0で勝ち、暫定首位に浮上した。
両校は今年、東北高校新人大会決勝をはじめ3度目の対戦をしており、いずれも尚志が勝利。約1か月前のインターハイ福島県予選決勝でも尚志が4-1で快勝している。ともに地元・福島開催のインターハイ出場を決めている2校が、全国大会前ラストとなる公式戦に臨んだ。
尚志は開幕戦で学法石川を10-1で破るなど、ここまで7勝1分1敗。先発はGKが門井宏樹(3年)で、DFは右SB榎本司(3年)、CB松澤琉真(3年)、CB西村圭人主将(3年)、左SB木村心貴(3年)の4バック。中盤中央にはアンカーの小曽納奏(3年)、阿部大翔(3年)、臼井蒼悟(3年)が構え、右SH日比野修吾(3年)、左SHが前節まで12得点で得点ランキング首位の田上真大(3年)、そして最前線にFW根木翔大(3年/U-17日本高校選抜候補)が入った。
一方の学法石川は1勝4分4敗だが、5月以降の5戦で1敗と黒星が減少。先発GKが小嶺秀介(3年)で、DFは右SB高野陽斗(3年)、CB野口侑真(3年)、CB石野裕也主将(3年)、左SB阿部遙希(3年)の4バック。ひし形の中盤はアンカーに中山拓翔(2年)が入り、右が豊島光稀(3年)、左が諸根優冴(2年)、トップ下が前田昇太朗(3年)、そして村田駿助(3年)と前田翔汰(2年)が2トップとして先発した。


ともにインターハイ出場の尚志高と学法石川高が対戦
立ち上がりは尚志が自信を持ってアタック。押し込んで見せるが、学法石川はこれまでの戦い方と変え、前からボールを奪いに行く。立ち上がりこそやや寄せが遅れてしまっていたものの、すぐに修正。豊島、諸根の両MFがインサイドに絞って前田昇、中山らとともに圧縮するなど積極的な守りで相手のミスを誘う。
8分には、奪い返しから村田が右足シュート。直後にも右ショートコーナーから豊島がクロスを上げ、中山がゴール前へ折り返す。好守からのショートカウンターや前田翔のロングスローなどのセットプレーでゴール前へ。相手キーマンのMF小曽納に村田へのパスコースを消されるなど、攻め切れないシーンもあったが、26分にも奪い返しから村田が右足を振り抜き、相手を上回るような内容で試合を進めた。


前半、学法石川はCB石野裕也主将中心に集中した戦い


尚志の中盤で効いていたMF小曽納奏
一方の尚志はビルドアップや崩しでのミスが目立っていた。だが、ロングキック一本で局面を変えられる選手が多数。大きな展開を交えてボールを動かし、相手の守りを広げる。そして、サイド攻撃を図る中、特に右SB榎本が躍動。ワンツーで一気に前進してスルーパスを通したほか、クロスから根木のシュートシーンを創出する。
35分には右サイドからゴール方向へのドリブルで大きく前進し、PAへ侵入して田上へラストパス。強みの一つである小曽納、阿部の回収から、尚志らしい追い越す動きも増えた。スペースを見つけて的確に、また力強く突いていた榎本や、ドリブルの止まらない臼井の個の力のほか、ショートコンビネーション、木村、小曽納のCK、FKでもゴールに迫った。


尚志の右SB榎本司は攻撃の中心に
だが、学法石川は石野のカバーリングや野口の身体を張った守りなどゴール前でも粘る。中でも右SB高野は出足の鋭いアプローチで幾度も相手の前進を阻止。稲田正信監督も「(開幕戦で)10-1で負けた時は本当に全部くらいやられたけど、アイツは今日、1番の収穫でした」と称賛するパフォーマンスを見せていた。


学法石川は右SB高野陽斗が対人守備で強さを発揮
好守に加え、シュート意識の高い学法石川は前半、相手の5本を上回る7本のシュートを放った。40分、中山の左クロスからファーサイドの豊島がフィニッシュ。直後には阿部の左CKがゴール前にこぼれ、前田翔が狙うも尚志はGK門井や成長株だというCB松澤、CB西村らDF陣がゴールを死守する。逆に尚志はスルーパスで抜け出した根木がGKをかわすも、学法石川は阿部、石野がゴールをカバー。42分には榎本の右クロスから臼井が決定的なヘッドを放ったが、枠を外れ、0-0で前半を折り返した。
尚志は今年4回目の対戦でやりづらさがあったことは確か。だが、仲村浩二監督は「そんなことでブレていたら話にならない。今日のあの入り方は全然ダメだったから」と厳しい。前節までの9試合で39得点。田上、根木、臼井らどこからでも得点できる力があるが、余力を残したまま淡々と戦い、自分たちで難しい試合にしてしまうことが課題になっている。
それでも、後半は立ち上がりからプッシュ。4分、右クロスがファーサイドへ流れたものの、田上が左から上げ直すと、走り込んだ臼井が頭で学法石川ゴールをこじ開ける。さらに7分、西村の縦パスを収めた田上が右サイドへ展開。日比野が縦への仕掛けからラストパスを通し、これを田上がゴールへ押し込んだ。


後半4分、尚志MF臼井蒼悟が先制ヘッド


後半にギアを上げ、スコアを動かした


尚志は後半7分に10番MF田上真大が追加点
尚志は日比野、田上も中でボールに係わるなど相手の守りを巧みに攻略。学法石川は13分、右ロングスローのこぼれ球を阿部がループシュートで狙うもわずかに左外へ外れる。すると14分、尚志は日比野のスルーパスで根木が右中間を抜け出し、そのまま右足で3点目を決めた。


後半14分、尚志はFW根木翔大が3点目をマーク
尚志は17分、田上と日比野をMF若林衣武希(2年)とMF大熊瑠空(2年)へ交代。学法石川も諸根と豊島を左SB市川青空(1年)とFW比佐光来(3年)へ代え、本来アタッカーの阿部を前線へ押し出した。
尚志は攻撃の手を緩めることなく次の1点を目指す。若林投入でよりテンポ良くボールが動くようになった尚志は、後半だけでシュート11本。27分に小曽納と阿部をMF角虎一(3年)とFW岡大輝(3年)へ交代した直後には、木村の左クロスを大熊が1タッチで狙う。だが、学法石川GK小嶺の好守に止められ、4点目を奪うことができない。
学法石川は25分に前田翔をMF川名愛稀(3年)へ交代。34分には前田昇と阿部をMF板倉紘誠(3年)とMF小原悠暉(3年)へ入れ替えた。失点後に崩れた部分があり、稲田監督は「1点目取られた後にメンタルが落ちたり、急に下がっちゃったりするのがまだまだ。(逆転負けした首位・)ベガルタ(仙台ユース戦)も2失点連続ですよ。ここで1回切れちゃうので、経験を積んでいくしかない」と改善を求める。昇格したプリンスリーグ東北で一戦一戦着実に成長しているが、失点後の切り替えや選手層の厚みなどは今後への課題。それでも試合終盤、最前線の村田が運動量を増やしたほか、GK小嶺が決定機を阻止するなど諦めない戦いで最後まで強敵に食い下がった。


学法石川のFW村田駿助は前線でハードワークを続けた
尚志は39分に西村をCB星宗介(2年)と交代。臼井や岡が決定機を迎えたほか、セットプレーの本数も増やしていたものの、仕留めることができなかった。逆に試合終了間際、学法石川の川名にスルーパスを通されてピンチ。だが、GK門井が板倉との1対1を止め、3-0で試合を終えた。


尚志の守りを安定させたCB松澤琉真


尚志が3-0で勝利
尚志の仲村監督は松澤中心に守備が構築されてきている部分や攻撃力について一定の評価をしていたが、この日苦戦した要因であり、課題になっている部分について言及。「(余力を残すのではなく、)フルパワーでやらなきゃいけないっていうのが、分かってくれればいい」と語る。加えて、フィニッシュの精度や守備で隙を見せないことを突き詰めてインターハイへ向かう。
インターハイは昨年から福島開催。昨年、尚志は3回戦で市立船橋高(千葉)に0-1で敗れている。西村は「先輩たちの悔しい姿も見てきているんで、その分、自分たちがしっかり勝ち上がって優勝したいなって思っています。歴史を動かしていきたいなっていう風に思っています」と意気込んだ。実力は出場校で上位。開催県のアドバンテージも活かし、最高記録のベスト4を超えて歴史を変える。


尚志のチームリーダー、CB西村圭人は日本一を誓う


今夏、名門・尚志が地元開催のインターハイで歴史を塗り替える
(取材・文 吉田太郎)
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