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1つずつ重ねていく勝利の先に見据えるのは「4度目の正直」。大成は選手権8強経験者の揃う堀越をウノゼロで撃破して「7月の効果」を実感するリーグ連勝!

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大成高は粘り強く戦って水谷良吾(10番、右)の決勝点でウノゼロ勝利!

[9.14 U-18東京都1部L第11節 大成高 1-0 堀越高 NICHIBUN SAKURA FIELD]

 自分たちの力には、良い意味で自信を持っている。思うような結果が出なかった前期を経て、とにかくこの夏はみんなで厳しいトレーニングを乗り越えてきた。ここから先は収穫の時。目の前の試合を1つずつ、1つずつ、確実に勝ち切って、必ず東京の頂点までたどり着いてやる。

「我々は関東大会予選で去年優勝させてもらって、インターハイも2019年に出て、選手権予選はファイナルに3回行っていますけど、結局は全国に出ていないと。私も指導者として大成高校に来て20年になるんですけど、私も経験した選手権の舞台の、『あの景色を見せたい』という想いから始めた中で、今年のチームはそこに近いかなと思っているので、後期は勝ち切る力、勝ち癖をしっかり付けて、選手権予選に臨んでいきたいです」(大成高・豊島裕介監督)

 粘り強く戦い抜いて、昨季の東京王者をウノゼロで撃破!14日、高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ2025 東京1部(T1)第11節が行われ、昨年度の高校選手権で全国8強へ進出した5位・堀越高相手に、エースのMF水谷良吾(3年)の決勝点で7位・大成高が1-0で勝利。前節から再開した後半戦は、これで2連勝と好スタートを切っている。


 10節終了時点で3勝5分け2敗の7位。前年王者として臨んだ関東大会予選はベスト16で、インターハイ予選は二次トーナメント2回戦で敗退と、今季のここまでは思うような結果に恵まれていない大成。この日のスタメンはGK鈴木稜人(3年)、DFラインは右からDF高橋佑弥(3年)、DF堀岡竜也(3年)、DF横川慧(3年)、キャプテンのDF秋間龍矢(3年)、中盤にはMF生駒大雅(2年)、MF山口哲蕉(3年)、MF鈴木琉世(3年)が配され、前線は右にMF斉藤一来(2年)、中央にFW田中莞太(3年)、左に水谷が並ぶ。



 一方、ここまでのリーグ戦では5勝1分け4敗と白星先行の5位。関東大会予選は堂々と東京制覇を達成したものの、インターハイ予選では準々決勝でPK戦の末に敗退。改めて選手権予選3連覇へと気を引き締めている堀越は、GKを高足導 (3年)が務め、4バックは右からDF平田蓮(1年)、DF山下聡太(1年)、DF横尾瑛人(3年)、DF三田広陽(3年)で構成。ボランチにはMF中野昂(3年)とMF小川稜太(2年)が入り、ウイングは右にMF杉村充樹(3年)、左にMF濱岡大世(2年)を配置。最前線にFW高橋李来(3年)、その下にキャプテンのFW三鴨奏太(3年)が構える。



 試合は「前半の入りからすると結構圧倒できたのかなと思います」と豊島裕介監督が言及したように、立ち上がりからリズムを掴んだのは大成。ボランチの生駒と山口が前向きにプレーする回数が多く、シンプルなフィードとビルドアップを使い分けつつ、右の斉藤、左の水谷で勝負する形で攻勢に。前半12分には右サイドを仕掛けた斉藤が折り返し、鈴木が放ったシュートは枠の右へ逸れたものの、ゴールへの意欲を前面に打ち出す。

 以降も「セカンド回収が結構できて、下からも繋げていましたし、シュートまで行けていたので、いい流れだったと思います」と水谷も話した大成は、流れを引き寄せたままに奪った先制点。30分。高い位置で田中が相手ボールを奪い、山口は丁寧に左へラストパス。「山口くんが良いパスを出してくれたので、得意の右足で打った方がいいかなと思って、そっちに置きました」と正確にボールを止めた水谷は、ループシュートでゴールネットを鮮やかに揺らす。

「良い守備から良い攻撃というところで言うと、あの得点は全員が連動して、ボールを奪ってからの得点だったので、ウチの狙いの1つかなとは思います」と胸を張ったのは豊島監督。長期離脱から帰ってきたエースが、きっちり一仕事。大成が先にスコアを動かした。

水谷がループシュートを鮮やかに沈める!



 一方、ビハインドを負った堀越は「前半は自分たちが1週間準備してきたものをなかなか出せなかったですね」と杉村。狙いとしていたセカンド回収からのアタックがほとんど繰り出せず、ボールを動かす時間も作り切れない。44分には杉村とのワンツーから、平田のスルーパスに濱岡が走るも、飛び出した鈴木がキャッチ。大成が1点をリードして、前半は終了した。


 後半はスタートから堀越が2枚代え。MF高橋琉(2年)とFW千葉慎之助(3年)を投入し、「人を代えて、セカンドボールの回収のところはミーティングでもとにかく強調して言いました」と三鴨。残された45分間に向けて、ねじを巻き直す。

 堀越の絶対的エースが一瞬で牙を剝いたのは後半15分。シンプルなフィードに走った三鴨は、相手DFの隙を突いてラインブレイク。丁寧に狙ったシュートは、しかし鈴木が間一髪のところでボールに触り、軌道はわずかにクロスバーの上へ。同点とは行かなかったものの、背番号10が改めて個の脅威を大成ディフェンスに突き付ける。

個での違いを見せ続けた堀越のキャプテン、FW三鴨奏太


 対する大成も、後半は早い時間でMF矢野陸太(2年)、DF吉田陽樹(3年)、FW中辻侑希(2年)、FW神谷修慈(3年)と相次いでカードを切りながら、「後半は相手も前から来ることはわかったので、リスク管理と距離感を意識して、4バックは対応していました」と秋間。ある程度後ろは耐えながらも、機を見て窺う次の1点。29分には斉藤のパスから高橋がクロスを上げ切り、飛び込んだ水谷のヘディングはゴール左へ外れたものの、惜しいシーンを創出する。

 3枚目のカードとしてMF田中豪(3年)を投入し、まずは何とか追い付きたい堀越は、終盤に2つのチャンスが。33分。杉村が右サイドを駆け上がって中へ。受けた三鴨のカットインシュートは、鈴木が丁寧にキャッチ。37分。投入されたばかりのMF吉田大海(3年)を起点に、高橋が打ち切ったシュートは枠を襲うも、ここも鈴木がビッグセーブで回避。どうしても1点が遠い。

 42分にDF下妻悠真(2年)を送り込み、ゲームクローズに入った大成は「日ごろの練習から小さいエリアでシュートを打たせないということを意識してやっていたので、最後までゴールを隠す、奪えなくてもゴールを守るということを意識していました」と秋間も口にした守備意識を徹底。ピンチの芽を1つずつ、確実に摘み取っていく。

 6分を超えるアディショナルタイムが過ぎ去ると、タイムアップのホイッスルが鳴り響く。「『うまくハマらなかった時に守るところはここだよね』というところは、みんなと話ができていますし、90分通して1本もシュートを打たれないなんて試合は絶対にないので、堀越さんに握られる時間も無理に追わずに、しっかり中央を閉めて、守備で集中してくれていたのかなと思います」(豊島監督)。シビアなゲームを大成がウノゼロで勝ち切って、勝点3を獲得。順位も2つ上げて、5位へと浮上する結果となった。


「前期は一人ひとりの意識や自覚が足りていなくて、やりたいサッカーを確認しきれていなかったところがあって、個人としても、チームとしてもまとまりがなかったというか、ちょっとフワッとしていたと思います」。

 キャプテンの秋間は夏前までのチームを、こんな言葉で振り返る。選手たちもスタッフも一定以上の自信は持っていたものの、それが結果に結び付かなかった現状を受けて、指揮官は7月を“鍛錬の時期”と位置づけ、フィジカルを重点的に鍛え上げる。

「前期は特にフィジカル面のところで、自分が思っている以上にコンディションが良くなかったというところで、そこにみんなで矢印を向けて、2部練も入れたりしながら、7月の終わりぐらいまで1か月ぐらいはみっちりトレーニングをやって、それを証明する青森と鹿嶋のフェスティバルで結果を出すよというところで、選手には7月の頭に話をしてやったので、そういった部分では選手たちもしっかりと応えてくれて、自信を付けてくれたのかなと思っています」(豊島監督)

 実際に8月のフェスティバルでは帝京長岡高や京都橘高、三田学園高といったプレミア勢やプリンス勢を相手にしても、勝ち切る試合を経験。「走りとフィジカルを主に鍛えたので、本当に夏のトレーニングはしんどかったですけど、頑張って良かったなと思いました。チームとしてもよりまとまってきて、そこが後期に生きてきているのかなと感じています」と秋間も語った通り、再開したT1リーグでは首位のFC町田ゼルビアユース戦、この日の堀越戦で勝点6を上積みしており、“7月の効果”は確実にピッチ上にも現れ始めている。

チームを束ねる大成のキャプテン、DF秋間龍矢


 冒頭で豊島監督の言葉を引用したが、大成は昨年度の関東大会予選で東京初制覇を達成し、2019年にはバーンズ・アントン(熊本)を擁し、インターハイで初の全国出場を勝ち獲ったものの、高校選手権予選では2018年度、2020年度、2021年度と3度決勝まで勝ち上がりながら、まだ最後の壁を打ち破るには至っていない。

 帝京高3年時に国立ファイナルを経験している豊島監督は、選手権への想いをこう語っている。「あの時、自分に見えた景色が今の僕の財産になっているので、やはり彼らにも同じ景色を見せたいですし、あの正月の、あの雰囲気の中で、東京代表として戦いたい想いは捨て切れず、選手権はどうしても一番重きを置いてしまう大会ではあります。彼らを全国の一発トーナメントで戦わせたいですし、どれくらいできるのかを見たいと思うんです」。

 指揮官の想いは選手も十分にわかっている。「まだ大成高校は選手権で全国に出たことがないので、それがチームとしての目標です。もちろんまだ全国に出られるかはわからないですけど、東京都で優勝するという目標だけだとそれで満足してしまって、全国に出られたとしても初戦で負けてしまうと思うので、個人としては全国ベスト8を目指してやっていますし、チーム全員もそう思っていると思います」(水谷)

 チーム全員で目指すのは『4度目の正直』と、その先にある全国8強。間違いなく機は熟しつつある。新たな歴史を切り拓き、まだ見ぬ景色をみんなでその瞼に焼き付けるため、大成は目の前の試合を1つずつ、1つずつ、確実に勝ち切って、必ず東京の頂点までたどり着く。



(取材・文 土屋雅史)
土屋雅史
Text by 土屋雅史

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